「尿管結石症」についてのお話

うちの相方が尿路結石になっちゃった! 言葉はよく見聞きするけど、どんなのかはよく判らない。 なのでお医者さんに訊いてみちゃいました。
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みゃあ公 @mya_koh

今日は朝から通常通りお仕事をしている相方。坐薬さんも昨日のお昼から使ってないそうです。「もう痛くないの?」と訊くと「じわじわとした痛みはあるけど平気~」とのこと。でもやっぱり心配よね。だって結石のこと、ほとんど知識がないんだもの;;

2011-06-20 16:40:44
みゃあ公 @mya_koh

病院に行ったら症状のこと詳しく訊きたい。いつもそう思うんだけど、実際には先生が忙しそうでそんな雰囲気じゃなかったり、緊張で忘れちゃったりってことで聞きそびれることが多いのです;;

2011-06-20 16:41:13
みゃあ公 @mya_koh

なので、今回はお医者さんが職業のお友達に結石についてのお話をしてくださいとリクエストしちゃいました。身近なのに他人事だと思っちゃってた結石のことを噛み砕いて説明していただきましたので、まとめてRTしますね。しばらく連投になりますがお付き合いくださいませ。

2011-06-20 16:42:38
モク @moku1968

尿路結石症は日本人の10人に1人はかかるといわれます。発症した部位によって呼び方は変ります。腎臓にできれば腎臓結石、尿管にあれば尿管結石。膀胱に見つかれば膀胱結石。尿道にみつかれば尿道結石。もっとも痛みを生じやすいのは尿管結石症です。身の置き所のない腰痛と血尿が主訴です。

2011-06-20 14:19:43
モク @moku1968

尿管結石が痛いのは石そのものが動くことによる痛みもありますが、腎臓で作られた尿が石の詰まった部位でダムのように堰き止められるために水圧があがる、いわゆるback pressureが原因です。尿管は腎臓から膀胱まで尿を運ぶ管なのでここが詰まると痛みが出やすい。

2011-06-20 14:23:19
モク @moku1968

腎臓も尿管も左右にありますから尿管結石の痛みは背中の真ん中ではなく、左腰や右腰、あるいは左側腹部や右側腹部に発作的におこります。夜中から明け方に痛み発作が起きることが多いです。

2011-06-20 14:25:02
モク @moku1968

結石の痛み発作はかなり激烈であり、夜間だと一般外来は閉まっていますから救急病院受診となるケースが多いです。救急車で運ばれてくることもしばしばです。ところが何かのきっかけで詰まっていた尿が石の脇を通って流れると圧が下がりますからフッと痛みが楽になったりします。

2011-06-20 14:27:24
モク @moku1968

激しい痛みで救急車を呼んだのに、病院に着いたころにはケロッとしてしまって申し訳なさそうに降りてくる方もおられますが、結石発作は十分に救急対応の対象です。生死にかかわる病気となることは稀ですが、その痛みたるや経験された方ではないと分からないほど辛いものです。

2011-06-20 14:29:42
モク @moku1968

放置すると尿の流れが悪い状態が続くために腎臓が腫れて「水腎症」となり、ついには尿を作るのをやめてしまって無機能腎となってしまいます。尿の流れが悪くなると炎症を起こしやすくもなりますから腎盂腎炎などを併発して高熱が続き、敗血症に至ることもあります。

2011-06-20 14:33:30
モク @moku1968

結石の治療にはいくつかの方法がありますが、小さい石ならば内服治療にて痛みを抑えながら自排(尿路に沿って自然に石が尿といっしょに排出される)を待ちます。しかし痛み止めについては内服は効果が弱いです。一般的には坐薬を用います。それでも厳しいときは病院で鎮痛剤を注射します。

2011-06-20 14:37:00
モク @moku1968

今現在でもっともポピュラーな治療法はESWL(体外衝撃波結石破砕術)です。これはお腹を切らずに石だけを砕く治療法です。

2011-06-20 14:38:14
モク @moku1968

このESWLの技術はもともと医療用に開発されたものではありません。実は第2次世界大戦中にナチスドイツが研究していた技術です。たしか潜水艦の中の人間だけを殺傷するように開発されていたと聞きます。戦後これが医療用として転用されて現在に至っています。

2011-06-20 14:40:53
モク @moku1968

ESWLで石を細かく砕くことによって石がスムーズに尿とともに排出されるという治療原理です。機械によって違いはありますが、超音波ないしはレントゲンの透視で3次元的に石の位置を捉えて、そこに断続的に衝撃波をあてていきます。

2011-06-20 14:44:05
モク @moku1968

しかしESWLも万能ではありません。他臓器への影響もありますから衝撃波の強さにも限界があります。与えうる衝撃波の強さよりも石の硬さが上回る場合は数回にわけてESWLするか、別の治療法が必要となってきます。

2011-06-20 14:46:05
モク @moku1968

TUL(経尿道的結石破砕術)は尿道から細い内視鏡を入れて膀胱内の石や尿管の石までカメラの先端を進ませ、直視下にて石に音波をぶつけて石を割ります。もちろん、麻酔下にて手術室にておこないます。PNL(経皮腎的結石破砕術)は背中から穴をあけて腎臓にカメラを入れて石を割る治療です。

2011-06-20 14:51:42
モク @moku1968

それでも厳しい場合は切石術となります。これはメスで石のある部分を切開して取り出す通常手法の手術となります。最近ではめったにおこなわれることはありませんが、石があまりに大きいとこの方法じゃないと治療は難しくなることがあります。

2011-06-20 14:54:10
モク @moku1968

結石を溶かすお薬もなくはないのですが、それは結石の成分によって効果が違ってきます。内服治療がでいればそれが一番侵襲が少なくて済むのですが、残念ながら一度できてしまった石はなかなか思うように溶けてはくれないのが現実です。

2011-06-20 14:56:42
モク @moku1968

でいれば→できれば

2011-06-20 14:57:08
モク @moku1968

したがって尿管結石は治療することよりも予防することが大切です。一度結石を経験された方はまた結石を作りやすい傾向にあります。また血縁で結石を経験されたご家族がいる場合、やはりなりやすい傾向にあります。

2011-06-20 14:58:52
モク @moku1968

副甲状腺機能障害や高尿酸血症など、結石になりやすい基礎疾患がある場合にはそのコントロールをきっちりとやっていきましょう。

2011-06-20 15:05:54
モク @moku1968

しかし、そういった基礎疾患がなくても結石は生じえます。

2011-06-20 15:06:35
モク @moku1968

もっとも多い結石はシュウ酸カルシウムという成分で出来ていますが、これには原因となる基礎疾患は存在しないことがほとんどです。つまり、尿管結石症の患者さんの大半は基礎疾患がなく発症しています。

2011-06-20 15:08:42
モク @moku1968

ではなぜ石ができてしまうのか? 簡単には尿が濃くなると結石になりやすいということがあります。食塩水と同じと考えてください。食塩濃度が濃くなると食塩は結晶化します。それと同じです。

2011-06-20 15:10:17
モク @moku1968

尿が濃くなるとそれだけ結晶化して結石を作りやすくなるということです。とくに夏場の暑い季節など、水分の摂取を怠っていると不感蒸泄で水分は逃げてしまいますからどんどん尿は濃縮されて石ができやすくなります。

2011-06-20 15:21:56
モク @moku1968

というわけで一番の予防法はしっかりと水分を摂ること!単純ですがとても大切なことです。夏場に知らず知らずに作られた石が、秋以後になって尿管まで落ちてきて痛みの発作を起こすのです。健康診断で胸のレントゲンは撮りますが、腹部のレントゲンは撮りません。尿検査で異常なければ見過ごしがちです

2011-06-20 15:42:54