租税の直間比率でおさえておきたいこと

所得税などの直接税と消費税などの間接税との比率を直間比率などと呼びますが、これについては各国の状況が異なり、ヨーロッパなどでは20%程度の間接税が当たり前だったり、アメリカでも5%よりも高い州が多かったりする関係から、日本の消費税は低すぎる!直間比率を見直すべき!という意見を時々見ます。 僕としては、そういった各国の状況は参考にはなるものの、他の国がみんなそうだからといって必ずしも良いこととは限らないと思っています。 なので、直接税と間接税って根本的にはそんなに違いはないってことと、実務的な面から直間比率を考えなきゃならんでしょうってことを提案しました。
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ナイト @night_in_tunisi

直間比率についてどう考えるか、という質問を受けたので考えてみたい。

2011-06-21 17:14:18
ナイト @night_in_tunisi

ある程度理想化・単純化して考えたいのだが、定率(たとえば20%)であれば所得税でも消費税でもあまり違いはない。とくにライフサイクル仮説的に生涯の所得を全部使い切る想定であれば、両者の税額は一致する(最終的に)。消費者行動・労働者行動として考えてもあんまり違いはない。

2011-06-21 17:34:24
ナイト @night_in_tunisi

ちょっと簡単に考えてみたんだけど、消費税にしても所得税にしてもそれらに変更がなければ異時点間の配分には影響しないっぽい。影響するのは労働と消費の代替。消費と労働は消費財を価値基準財とすればそれらの限界代替率が賃金に等しくなるように配分される。

2011-06-21 17:38:21
ナイト @night_in_tunisi

所得税と消費税ではかかり方が違ってくるので、税率を直接比べるのはマズイ。例えば消費税は100%以上にすることもできるけど、所得税は100%が上限。

2011-06-21 17:39:56
ナイト @night_in_tunisi

消費税率をs、所得税率をr、賃金をwと書くことにすると、限界代替率がw/(1+s)となるのが消費税、(1-r)wとなるのが所得税。なので、1/(1+s)=1-rという関係式で所得税率と消費税率を変換・比較できるだろう。

2011-06-21 17:42:08
ナイト @night_in_tunisi

この変換を頭に入れておけば、ある程度単純化・理想化された世界では所得税と消費税は「同じもの」と考えて良いことがわかる。

2011-06-21 17:44:47
ナイト @night_in_tunisi

この変換を頭に入れておけば、ある程度単純化・理想化された世界では所得税と消費税は「同じもの」と考えて良いことがわかる。

2011-06-21 17:44:47
ナイト @night_in_tunisi

具体的にどう単純化・理想化しているかを書き出せと言われると困るんだけど、一つは生涯所得を使い切るという仮定。あとは所得は完璧に補足できる、などかしら。

2011-06-21 17:50:37
ナイト @night_in_tunisi

なので、僕が次に考えることは累進性にしたときにどう影響が出るか、ということ。消費税を消費額に応じて累進性にするのは実務上難しいと思う。それは番号制が導入できたとしても難しいんじゃないかと思う。すべての取引を記録するわけではないだろうから。

2011-06-21 17:53:46
ナイト @night_in_tunisi

よくあるのは「生活必需品」の消費税率を軽減し、「嗜好品」の税率を上げること。でもこれは「産業政策」ないしは「ロビー活動の結果」だし、資源配分を不公平に歪めるものだと思ってます。

2011-06-21 17:54:59
ナイト @night_in_tunisi

年間の支出額をある程度正確に補足できるのであれば、支出に対して累進課税をかけるのがよいと思っています。累進性の場合は非線形なので、金額が安定しやすい支出にかけるほうが合理的だと思っています。

2011-06-21 17:57:37
ナイト @night_in_tunisi

殆どの人にはあまり関係ないでしょうけど、累進の所得税との比較では人生のある一時期に稼ぐタイプの人との不公平があると思います。

2011-06-21 17:57:41
ナイト @night_in_tunisi

そのへんはサムナーの議論を読んでもらえば一番いいです。http://bit.ly/hMqx3K

2011-06-21 18:05:14
ナイト @night_in_tunisi

理想的にはサムナーに全く同意で、法人税も相続税もないほうがよいと思ってます。

2011-06-21 18:06:28
ナイト @night_in_tunisi

現実問題として、実務上(つまり税務署員が増えるとか、彼らの権限が増えることのないように)望ましいのは、所得税だろうと思っています。これでも補足は十分でないという批判はあります。所得は補足できでも経費を認めるかが難しい。職業によって経費になるものが変わるので。

2011-06-21 18:08:53
ナイト @night_in_tunisi

現実問題として、実務上(つまり税務署員が増えるとか、彼らの権限が増えることのないように)望ましいのは、所得税だろうと思っています。これでも補足は十分でないという批判はあります。所得は補足できでも経費を認めるかが難しい。職業によって経費になるものが変わるので。

2011-06-21 18:08:53
ナイト @night_in_tunisi

支出税でも実は消費財なのか資産なのかってグレーな部分があるんで、悪用される可能性はある。バブル時代によく使われたのは絵画。今の文脈とはあんま関係ないかもしれないけど。

2011-06-21 18:10:08
ナイト @night_in_tunisi

で、直間比率を考える上で大事なのは実務として何が効率的かってことなんだと思ってます。「理想的な世界」においては両者は同じなので。

2011-06-21 18:11:58
ナイト @night_in_tunisi

前にもツイートしたけど、一番大事なのは、税収ではなく「何に使うか」という国としての方針。どういう国家にしたいのか、ということ。再分配を強化したいのかどうか、とか、そういうことによって変わってくる。日本人として長期的にどういう国家像を望んでいるのか、明確にして欲しい。

2011-06-21 18:13:49
ナイト @night_in_tunisi

それほど大きな違いはないと思うので。アメリカだって2大政党制でリバタリアンとリベラル(なんのこっちゃ(;´∀`))で対立してるけど、実はカネの問題としてはそこまで大きな差はないんじゃないかな。

2011-06-21 18:14:52
ナイト @night_in_tunisi

ま、そこが決まって、長期的な水準がわかった前提で考えると、一定部分は消費税でとり、累進部分を所得税で取るのがよいだろうと思ってます。今の日本は高福祉低負担だと思うので、このような状態が持続可能なのかしら、と心配です。公的部門がものすごい効率的だってんならいいですけど。

2011-06-21 18:16:23
ナイト @night_in_tunisi

負の所得税推進者なので、BIにも賛成です。なので、低所得者層の所得税はマイナスになるのが望ましいでしょう。

2011-06-21 18:17:40
ナイト @night_in_tunisi

ものすごく基本的なことしか言ってないので恐縮ですが、このぐらいを共有しておくと議論しやすいかな、と思います。国税と地方税とかによる再分配だとか地方自治体ごとの競争とかもあり得るし、いろいろ議論の種はあると思います。

2011-06-21 18:19:12