カレイドスコープ・オブ・ケオス＃6

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

後ろから来ている奴と、挟み撃ちの格好。アナイアレイター達の状況判断を待たず、女のニンジャはタバコを咥えたまま、遮蔽物となった市民を指差し、呟いた。「ブーム」BOOOM！市民の頭が破裂した！「アバーッ！」脳症が、血が噴出し、砕け散った頭蓋骨が手榴弾めいて周囲の人々を殺傷し！ナムサン！ 22

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「ブーム。ブーム」BOOOM！BOOOOM！市民の頭が次々に爆発する！アナイアレイターは右手でアズールを掴むと、左手を横に突き出し、螺旋に渦巻く鉄条網を「柿のや」のノレンの奥へ飛ばした。一瞬後、彼らは店内に自ら引きずり込まれた！「アイエエエ！」「アイエエエ！」通りはアビ・インフェルノ！　23

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「アイエエエ！」イタマエが悲鳴をあげる！「テメェ―」アナイアレイターは金色の瞳で睨んだ。「しゃがんで黙るか、裏から逃げろ。邪魔だ」「アイエエエ！」裏から逃走！店先には先程のニンジャのシルエット！肩の尖ったスーツ装束の女は悠然とアイサツした。「ドーモ。ヘッドバンガーです」　24

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「ドーモ。アナイアレイターです」「ドーモ。アズールです」「何を探ってるのか知らないけど……フーッ……」ヘッドバンガーはハスキーな声で言った。「インターネット最終処分塔は観光地じゃないんだよね……逮捕しろって言われてるが、この街じゃ、怪しい奴は殺してもいいんだ」　25

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「勉強になった」アズールはヘッドバンガーを睨み、言った。アナイアレイターは片膝をつき、杖にカラテを込めた。そして金色の目を光らせ……地面に突き立てる！「イ……」ドクン……心臓が強く打ち、時間の流れが鈍化する。ジツの行使に伴い、ニューロンが異常加速する。店の窓が立て続けに破砕。　26

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それは店外を横飛びに飛翔するもう一人の敵ニンジャだ。飛翔。そう。ジェットパックを着けたニンジャが、外の市民を撥ね飛ばしながら回り込み、外から連続スリケン投擲を仕掛けてきたのである。「……ヤーッ！」アナイアレイターは左手を床に押しつけた。左手は無数の有刺鉄線に融解した。　27

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「プッ」ヘッドバンガーはタバコをアズールに向かって吐き捨てた。タバコはクルクル回転しながら飛翔した。アズールはガン・ホルスターに手を降ろしている。首を傾げてタバコをかわす。ヘッドバンガーは人差し指をアズールに定める。「ブー……」アズールは49マグナムをスピンさせながら引き抜く。　28

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渦巻く鉄条網が店内を縦横に突き刺し、店外から連続投擲されたスリケンを絡め取った。アナイアレイターは叫び、左半身を押さえた。KRAAASH……KRAAAASH……鉄の触手じみた有刺鉄線の群れが窓から飛び出す。ジェットパックのニンジャはキリモミ上昇して回避する。アズールはスピンさせた銃を定める。 29

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「……ム」KBAM！爆発した。ヘッドバンガーの頭が。彼女の顔の四分の三が消失。大口径弾丸がこそぎ取ったのだ。「サヨ……」KRAASH！KRAASH！鉄条網が屋根を裂き、上空へ跳ね、瓦礫がバラバラと降り注ぐ。「……ナラ！」ヘッドバンガーは爆発四散した。アナイアレイターは叫んだ。「おおお！」30

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KRAAAASH！崩落するスシ飲み屋！蜘蛛の子を散らすように走る路上の市民が互いにぶつかり合い、赤いチョウチンが揺れる！瓦礫の中から二人が飛び出す！空を飛んでいると思いきや、違う、アナイアレイターとアズールは透明の狼めいた獣にしがみついているのだ。　31

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「アイエエエエエ！？」「グワーッ！」逃げ惑う市民を撥ね飛ばし、透明の獣はドリフトする。上空のジェットパックのニンジャは光るカラテの帯を異色の空に山なりに刻みつけ、斜めに襲いかかった。「イイイイヤーッ！」スリケンを連続投擲！アナイアレイターは光る目で後方を睨む！「チィーッ！」　32

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「とりあえず平気だね、その様子」アズールは殺処分をにおわせた。アナイアレイターは頷いた。「おう、まだ殺すんじゃねえぞ」「仕留め損ねたのは抑えたせい？」「クチの悪りい女だぜ。昔の俺だったらただじゃ置かねえ……」「イイイヤアアーッ！」敵は追いながらスリケン連続投擲！　33

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「イヤーッ！」アナイアレイターは鉄条網をバリアめいて展開し、スリケンを絡め取った。BLAMN！アズールが49マグナムで撃った。しかしジェットパックのニンジャは回転しながら速度を上げ、彼らの前方、上下逆さに飛行しながらアイサツした！「ドーモ。コントレイルです。イヤーッ！」スリケン投擲！ 34

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「ゴウオオオン！」透明の獣が吠え、バラック建築をキックして方向転換した。「この後どうする」「そうさな……」街の高台中央、塔の黒いシルエットを一瞥する。「城下にLAN直結者は見当たらなかった。なら直接行って確かめるのが話が早え……時間をかけて、危ねえ橋は渡りたくねえからな」　35

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「イヤッ！イヤッ！イヤーッ！」コントレイルはジグザグに飛行しながら、スリケン投擲で襲いかかった。アナイアレイターは鉄条網融解した半身を触手めいて繰り出し、スリケンを絡め取る。ダカダ！ダカダ！透明の獣は黒い金属塔に通ずる道へ入り込む。「面倒くせえな。一気にやるぜ」「何？」　36

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透明の獣がブレーキをかけた。アナイアレイターは逆らって後方に跳んだ。一方スリケンを無効化され続けたコントレイルはしびれを切らし、背中のカタナを抜いて、ジェットパックを急加速させた。キリモミ回転しながら突っ込んでくる！アナイアレイターは……斜めに勢いよく跳び上がり、迎え撃った！　37

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「イヤーッ！」此は、如何に！？透明の獣が後ろ足でアナイアレイターを蹴り上げたのである。アナイアレイターは発射台めいてそれを利用し、高く跳んだのだ！相手の予想外の急接近にコントレイルは斬撃の間合いを外された。そしてアナイアレイターは左腕を振り上げ……コントレイルを、食らった！　38

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「イヤーッ！」「グワーッ！？」膨れ上がったアナイアレイターの左腕は、蠢く幾筋もの鉄であって、鋭利な刃でコントレイルの肉を切り裂き、引き裂いた。それはスリケンの刃の集合体なのだ！「イイイイヤアアーッ！」「アババーッ！」四方八方に飛び出す鉄条網！コントレイル爆発四散！「サヨナラ！」39

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火を噴くジェットパックを無理矢理に動かし、強引な方向制御をすると、アナイアレイターは黒い塔をめがけて墜落した。眼下の街の屋根を、透明の獣が飛び渡る。獣は給水タンクに飛び乗り、さらに跳んで、塔を囲む高圧電流の塀を飛び越えた。　40

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「イヤーッ！」アナイアレイターは左手を構成する鉄条網の一部ごとジェットパックを切り離し、透明な毛皮の背中に落下した。獣は二人を背に乗せ、見事に敷地内への着地を果たした。爪痕が大地に刻まれた。「グワーッ！」着地の衝撃で横に転がり落ちたアナイアレイターを、アズールは振り返った。　41

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◆◆◆ 42

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トムは鉄格子の中でアグラ・メディテーション姿勢を維持していた。ぞんざいに出されたオキアミ糧食にも手を付けず、そのまま、じっと動かずにいた。「何です？それ」向いの鉄格子の中から声がした。サクタ・イイダ博士である。トムは片目を開けて答えた。「ザゼンだ。俺の隊長が、よくしていた」　43

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「効果あるんですか」「集中力を高める」トムは言った。「あんたが色々質問してこなければ、もっと効く」「ははは！」サクタは手を叩いて笑った。「いやあ、しかし強硬ですね。留置場とは」「ああ、留置場だ」彼らは基地地下にある大規模データセンターへの侵入を決め……悶着を起こし、逮捕された。44

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「僕、留置場なんて入ったことないですよ」「いい機会だ」トムは言った。「少しザゼンをさせてくれ……」「いやあ、僕、黙ってられないタチなんですよね！特に、大仕事となると、興奮しちゃうんだなあ……！」「おい」通路を歩いてきた男が彼らを咎めた。「己の行いの意味を、わかっているのか」　45

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「勿論です」サクタは力強く頷いた。「貴方も、わかってくれたと考えたいです、エヴァンズ中尉」然り、エヴァンズ中尉である。「私が来なければどうするつもりだった、貴様ら」「なんとかするか、諦めるか！」「諦めはしません」トムがエヴァンズ中尉を見た。「我々の行動の意図は貴方に伝わる」　46