「殆どの警官はそれに従い武器を使用している」”アメリカ警察の武器使用に関する基準”に関する話が興味深い

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副赤 @ATOR86

昼に「危険に立ち向かうアメリカ警察の実情」みたいなツイートを見たので、少し「アメリカ警察の武器使用に関する基準」について語ってみようと思った。 こんな話に興味持つのはミリクラのフォロワー諸氏くらいだろうが、まぁ暇潰しにでも読んでけ。

2020-06-09 19:07:41
副赤 @ATOR86

艦これ・ガルパン二次創作SSもやってます。pixiv.net/member.php?id=…SS用アカウント @ATOR86_2 ator86.booth.pm

副赤 @ATOR86

容疑者と見れば即座に銃を抜き、ちょっとでも怪しい動きをしたら即発砲。法なんて関係無ぇ俺が正義だ! …なんて感じだとアメリカの警察を認識しているのなら、それは映画の観過ぎである。 警察官の武器使用についてはきちんとルールが設けられており、殆どの警官はそれに従い武器を使用している。 pic.twitter.com/McQEfncz8Y

2020-06-09 19:10:37
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副赤 @ATOR86

ではそのルールとは何か?アメリカンポリスが銃を使う為にはどんな理由が必要なのか?というのを最近勉強する機会があったので、少し解説してみよう。 TVやYoutubeで流れてくる、一見理不尽な行動や行き過ぎた武力行使であるかのように見える警察の映像も、これを読めば違った見方ができると思う。 pic.twitter.com/HRWhgUw5Yk

2020-06-09 19:10:39
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副赤 @ATOR86

あとこれはお願いなのだけど、もし詳しい人がいて、僕が間違ってる事を言ってたら訂正して頂きたい(他力本願)

2020-06-09 19:10:39
副赤 @ATOR86

さて、アメリカ警察の(致死性、非致死性を問わない)武器使用に際しては2つの重要な要件が存在する。 即ち「客観的正当性」と「状況の総合性」である。 「客観的正当性」というのはとある裁判の判例から生み出されたガイドラインで、逮捕、拘束、武器使用の際の必要条件を示したものである。

2020-06-09 19:10:40
副赤 @ATOR86

とりわけ重要な要素として挙げられているのは、 1. 犯罪の重大性 2. その者が警察官や他者に対し直近の脅威であるか 3. その者が積極的に抵抗しているか 4. その者が逃亡して逮捕を逃れようとしているか の4要素である。この4つの条件のうちどれかを満たしていれば武器の使用は許可される事になる。

2020-06-09 19:10:40
副赤 @ATOR86

だからと言っていきなり丸腰の人間相手に発砲してもOK、という訳ではない。当たり前だ。 ここで出てくるのが「状況の総合性」という概念。犯人と対峙した警官がどの武器(徒手、警棒、催涙スプレー、テイザー、銃)を選ぶべきなのか、そしてそれは適切な選択&使用なのかを判断せよ、という事だ。

2020-06-09 19:10:40
副赤 @ATOR86

これについては「客観的正当性」のような明確な基準は存在せず、その事件の状況によってその都度確認されるものだ。事件発生時の客観的状況や警官の(武器使用に至った)判断の根拠から、武器の選択、そしてその使用についての妥当性を判断していく事になる。 ジャスティファイとか言ったりする。 pic.twitter.com/tqroJClmpy

2020-06-09 19:10:42
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副赤 @ATOR86

ここで重要なのは、武器の使用については「必要最小限」ではなく「適切と判断される」武器を選択せよ、となっている点だ。 つまり相手がバットやナイフ等の近接武器を持っていたとしても、必要と判断するなら警棒や体術ではなくテイザーや拳銃を指向する事も出来るという事だ。

2020-06-09 19:10:42
副赤 @ATOR86

おっと早まるなよ? ナイフを持った相手に銃を向けるという事と実際にハジくという事は別の問題だ。ナイフ持ってる犯人だからって理由だけで射殺したんじゃ捕まるのはアンタの方だぜ。

2020-06-09 19:10:43
副赤 @ATOR86

武器選択と使用の前提についてはこんな感じだが、銃、つまり致命的武力を行使するにあたっては前述2つに加えてまだ条件が存在する。 ・本人の自己防衛権他者の防護 ・国家安全保障に不可欠な資産の保護 ・危険物質の保護 ・国の施設の保護 ・他者に対する重大犯罪 ・逃亡 ・逮捕・拘束

2020-06-09 19:10:43
副赤 @ATOR86

「客観的正当性」「状況の総合性」に加えて上記8つの条件のどれかを満たしたと判断される時のみ致死性武器の使用が許可されるのである。 前の例だと「ナイフを持った犯人が自分/他人へ向けてダッシュした為、自分/他人の生命身体に危機が迫った」等の理由が無い限り発砲までは出来ないという事だ。

2020-06-09 19:10:43
副赤 @ATOR86

ボディカム動画で、ナイフを持った犯人相手に銃を向けたまま「武器を捨てろ!」と怒鳴るだけの警官の映像を観た事はあるかい? あれはそういう理由で「射殺」以外の穏当な着地点を必死に目指しているのだ。 youtu.be/KT0KcenH_eQ

2020-06-09 19:10:43
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副赤 @ATOR86

アメリカ警察の武器使用基準について僕が認識している事はこんな所だ。 拙い上にとっ散らかった説明になってしまったが、読んだ物好き諸君の参考になれば幸いだ。 あと冒頭でも言ったけど、僕が何か間違った事言ってたら突っ込み入れて下さい識者の皆様方。

2020-06-09 19:10:44
ひろ団員 @hiro_danin

@ATOR86 詳細な説明ありがとうございました。 ところで米国の場合は〈連邦〉と〈自治体〉の警察に大別されますが、武器使用の基準については全国統一なのでしょうか?

2020-06-09 21:12:33
鉄パイ @tetupai

@ATOR86 解説ありがとうございます。 すごくわかりやすいです、日本とそんなに変わらないなと思いました。 pic.twitter.com/NiFNAFDAHv

2020-06-09 19:43:53
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副赤 @ATOR86

@tetupai 逆に「あれ、制度上は日本の警察こんなに簡単に拳銃抜けるの?」ってびっくりしてるマン。

2020-06-09 20:27:08
鉄パイ @tetupai

@ATOR86 抜ける制度なのに抜かないので規範の解釈として例を上げて見たところ世界でもまれなトリガープルの軽さが見えてしまった感じですかね(汗)

2020-06-09 20:49:29
Tom @Tom_Lumber

@tetupai @ATOR86 割りと拳銃使用の敷居軽そうに見えますが、この事例読んでも事前の情報によるところ大きいですよね。 あとこれは「予告なく射撃できる」事例で、ここに挙げられてるような個々の具体的状況以外だと、警告射撃からということです。

2020-06-10 08:47:51
Tom @Tom_Lumber

@tetupai @ATOR86 米国との大きい違いで、副赤さんの挙げている重大な4要素のうちの4番目、逃亡の阻止に関しては日本では拳銃による阻止はできないようです。 鉄パイさんが上げてくれた表にも、拳銃所持して逃亡の内容がありますが、強制捜査という状況での限定されています。

2020-06-10 08:53:10
Tom @Tom_Lumber

@tetupai @ATOR86 警察官の拳銃使用シミュレーターで、拳銃持った容疑者に対峙した状況から、逃亡を図ったので背中から撃ったらNGくらったという話が20年ぐらい前ですがありました。その後規定が変わってるか確認してないですが、表の解釈する限り、拳銃所持でも事前情報ない限り、逃亡阻止の為の射撃ができなそうです。

2020-06-10 09:02:39
JapanCat @Japan_Cat

@ATOR86 興味深いお話ありがとうございます。ふと疑問に思ったのは、動画の様な場合、脚を撃ち動きを止めるという判断は無いのだろうかと思った。射撃に練習位はしてるだろうしほぼ上半身急所狙ってる様に見えます。今回の暴動の原因はもっと闇が深い気がします。

2020-06-10 00:41:17
副赤 @ATOR86

@Japan_Cat 素早く動く身体の末端部分を狙うのは極めて難しく、外した場合状況が更に悪化する危険性の方が高いので、基本的には胴体に向けて射撃します。

2020-06-10 03:54:02
ヒネノ556 @HINO261

@ATOR86 @paramilipic すごく分かりやすかったです。 勉強になりました。 もう読んでいたら申し訳ないですがこの論文も分かりやすくてよかったです(日本の警察官が米国警察について纏めたもの銃社会で難しい対応をする米警官に同情はするけども…)pdf注意 asss.jp/report/%E8%AD%…

2020-06-09 21:05:54