過失割合について~別冊判例タイムズ38の読み方~part2

結果を聞くのが怖いから最近健康診断を受けていないミドル弁護士です。過失割合についての「別冊判例タイムズ38」の読み方を解説したものをまとめました。今回は後半で、「第1 38の読み方」の後半「第2 38未掲載の過失割合」「第3 過失割合の争い方」を載せています。 気が向いたらまた別ジャンルのレジュメ作ります。
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ミドル巻き @igiarigodoudesu

ぼちぼち投下していきます。 twitter.com/igiarigodoudes…

2020-06-04 11:24:36
ミドル巻き @igiarigodoudesu

今日はいったんここで終わります。 また数日後に続きを投下します。 次回のラインナップは以下の通りです。 3 具体的な図の読み方 (1)37図を基に解説 (2)修正要素 (3)夜間 (4)横断禁止の規制あり (5)集団横断 (6)車の著しい過失 (7)まとめ

2020-06-01 16:43:36
ミドル巻き @igiarigodoudesu

コメントやRT大歓迎ですので、「こういう方法もある」「こういう点にも注意」「それって本当にそうなの?」等ございましたらどしどしお願いします。 そうやって皆でスキルアップできればと思います。

2020-06-04 11:35:08
ミドル巻き @igiarigodoudesu

3 具体的な図の読み方 (1)37図を基に解説 では、具体的に図の読み方を解説します。 事例としては、20時頃に歩行者3人が片側1車線の道路を横断中に、直進車にはねられたという事例にします。 37図(110頁)の基本的過失割合は80対20(歩行者20)です。

2020-06-04 11:36:44
ミドル巻き @igiarigodoudesu

刑事記録上、車道の制限速度は時速40kmで、加害車両は時速50kmで走行していて、点灯は下向き(いわゆるロービーム)だったと記載されているとします。

2020-06-04 11:37:36
ミドル巻き @igiarigodoudesu

(2)修正要素 次に、修正要素がないかを検討します。 この事例では「夜間」「横断禁止の規制あり」「集団横断」「車の著しい過失」に該当する可能性があると設定します(ほかにも該当可能性ありますが省略します)。

2020-06-04 11:38:02
ミドル巻き @igiarigodoudesu

(3)夜間 それぞれの要素の定義を確認するために、「1 序文」に戻ります。 「夜間」の61頁を見ると、定義として「日没時から日の出までの時間をいう」と記載されています。20時は夜間ですので、通常であれば、修正をくらいます。このままでは歩行者に不利に5修正されます。

2020-06-04 11:48:33
ミドル巻き @igiarigodoudesu

しかし、「夜間」(61頁)をよく見ると、「夜間であっても街路灯等の照明によって歩行者の発見が容易な場所や、そうでなくとも車が前照灯を点灯せずに走行していた場合(この場合にはかえって減算要素となる)には適用されない」とあります。 ここで先ほどの刑事記録上の設定を思い出してください。

2020-06-04 11:50:32
ミドル巻き @igiarigodoudesu

車は、いわゆるロービームでした。法律上はいわゆるハイビームが原則です(前照灯とはハイビームのことを指します)。 そのため、このケースでは、夜間による不利な修正は行われず、かえって、ロービームであった加害者側に不利に修正される可能性が出てきます。

2020-06-04 11:56:39
ミドル巻き @igiarigodoudesu

(投稿の順番間違えました。) (4)横断禁止の規制あり 37図(110頁)の「横断禁止の規制あり」に①と書かれています。 下の注釈を見ると、「①【34】の柱②を参照」とあるので、そこを見ると「横断禁止の規制ありの意味・内容については本章序文(3)エを参照。横断禁止の道路標識等に加え、

2020-06-04 13:05:05
ミドル巻き @igiarigodoudesu

ガードレール・フェンス等が設置されている道路において、歩行者がガードレール・フェンスなどを乗り越えて横断を開始した場合には、10%の加算修正をする」と書かれているので、序文で横断禁止の規制の意味を確認した上で、被害者がガードレールなどを乗り越えていないかどうかを確認します。

2020-06-04 13:05:30
ミドル巻き @igiarigodoudesu

(5)集団横断 集団横断の説明(62頁)を見ると、「集団登下校が典型例である」と書かれています。設例では3人での横断であり、集団登下校に近い態様かといわれると微妙なので、とりあえず主張するだけ主張してあまり期待しないようにしようかなという予測を立てます。

2020-06-04 12:21:18
ミドル巻き @igiarigodoudesu

(6)車の著しい過失 62頁に解説があります。例としては「脇見運転等著しい前方不注意」「著しいハンドルブレーキ操作」「携帯電話等の無線通話装置を通話のために使用したり画像を注視しながら運転すること」「おおむね15km以上30m未満の速度違反」があげられると書かれているので

2020-06-04 13:29:04
ミドル巻き @igiarigodoudesu

これに該当したり、それに類似する過失があるか否かを刑事記録を基に検討します。 設例では、時速は10kmオーバーなので、速度違反としての修正は難しそうです。

2020-06-04 13:29:21
ミドル巻き @igiarigodoudesu

(7)まとめ このように、まずは、修正要素の各項目に該当するかを確認し、図の下の注釈を確認してから、序文の用語の定義を確認します。 4 最後に これで「第1 38の読み方」は終了です。   簡単なようで案外、奥が深いんですよね。 次は「第2 38未掲載の過失割合」に行きます。

2020-06-04 13:37:50
ミドル巻き @igiarigodoudesu

第2 38未掲載の過失割合 1 自転車同士の事故 自転車同士の事故は、38には載っていません。 しかし、いわゆる赤い本の2018年下巻に「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案、2014年2月公表)」が載っています。 試案ですが、話し合いの土台になるので使えます。

2020-06-04 14:00:17
ミドル巻き @igiarigodoudesu

この試案を使うか、私は、38の「自動車」同士の事故のどちらかを基に決めています。 ぶっちゃけ、2018年下巻の試案か、38図自動車同士のやつを比べてこちらに有利な方を主張しています。

2020-06-04 14:01:43
ミドル巻き @igiarigodoudesu

2 赤い本上巻の過失割合 赤い本上巻の後ろの方にも過失割合の図があります。 ただし、私は使ったことがありません。 赤い本の過失割合図は、修正要素が微妙に38とは異なっています。 逆に皆さんにお尋ねしたいのですが、あえて赤い本の過失割合図を使ったことってありますか?

2020-06-04 14:18:40
ミドル巻き @igiarigodoudesu

3 書籍 ・自転車事故過失相殺の分析―歩行者と自転車との事故・自転車同士の事故の裁判例(日弁連交通事故相談センター東京支部過失相殺研究部会・編著/ 2009/10/07発刊) ・交通事故における過失相殺率 自転車・駐車場事故を中心にして(伊藤秀城・著発刊年月:2016年2月) などがあります。

2020-06-04 14:38:19
ミドル巻き @igiarigodoudesu

裁判例を集積したものですが、非典型事例が多いので(典型事例だとわざわざ書籍化する意味ないので当然ですが)、あんまり使ったことはありません。 ほかにお勧めの書籍とかあったら是非教えてくださいm(_ _)m

2020-06-04 14:39:36
ミドル巻き @igiarigodoudesu

今日はこれで終了します。 次で最後です。次は土日か来週予定です。 後でまた「まとめ」を作ります。

2020-06-04 14:40:51
ミドル巻き @igiarigodoudesu

それは大きいですね。そうなると、やはり逐一赤い本も確認したほうが良いですね。 twitter.com/kai_lawyer/sta…

2020-06-04 15:38:53
カイローヤー @kai_lawyer

横断歩道付近の事故(四輪対歩行者)で、歩車道の区別がない場合とか。 別冊判タ38【33】では歩行者30-5=25に対し、赤本〔8〕では25-10=15と大きく異なるので。 後者を主張して、最終的に両者の間で和解しました。 twitter.com/igiarigodoudes…

2020-06-04 15:15:02
ミドル巻き @igiarigodoudesu

@masuco73 嬉しいコメントありがとうございます。気力が続く限り発信していきます。修習がんばってください。

2020-06-04 21:13:49
ミドル巻き @igiarigodoudesu

ぼちぼち投下していきます。 コメントやRT大歓迎ですので、「こういう方法もある」「こういう点にも注意」「それって本当にそうなの?」等ございましたらどしどしお願いします。 そうやって皆でスキルアップできればと思います。

2020-06-09 15:51:01
ミドル巻き @igiarigodoudesu

目次から 第3 過失割合の争い方 1 基本的な考え方 2 ドライブレコーダーや防犯カメラ 3 物件事故 4 事故鑑定 5 目撃者 6 初期供述 7 まとめ

2020-06-09 15:51:01
ミドル巻き @igiarigodoudesu

第3 過失割合の争い方 1 基本的な考え方 当たり前ですが、刑事記録が鉄板です。 逆に、刑事記録に出ている態様以外の事故態様を主張することは原則困難だと思います。 防犯ビデオ等があれば別ですが。

2020-06-09 16:09:35