虚淵さんのラストオリジン二次創作がいつの間にかTwitterで始まってた。【第二話】

虚淵玄 @Butch_Gen

「既に経済も、産業も、完全にバイオロイドに依存しきっている。今更バイオロイドを抜きに社会を立て直すのは、到底不可能だろう」 「過去の文明は化石燃料やフロンガスにも大きく依存していたと聞きます。それらから脱却することで危機的状況を回避してきた、とも」 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

「まるでバイオロイド・ラッダイトのような言い分だな」 苦笑するコスター氏には、なぜか私の発言が滑稽に思えたらしい。つとめて理に叶った言説だったと思うのだが。 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

「君たちに対する悪感情は結局のところ表面的なものだ。問題はもっと根が深い。人間はバイオロイドを貶めることで、自らに内在する、もっと観念的なものに復讐をしようとしている。…そうだな、敢えて言葉にするなら“憧憬”とでも言うべきか」 「憧憬…ですか？」 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

憧憬。明確な定義は難しいが共感はできる。つまりは私がアタランテに懐いているような類の情動だろう。だがそれが憎しみや復讐心を誘発することになるというのは理解できない。 「憧憬が…なぜ憎しみに繋がるんですか？」 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

「人間は長らく憧憬の奴隷だったからだよ。その感情に苛まれ、縛られ、餓えながら人は歴史を積み重ねてきた。そして今、ようやく『究極の人間』という憧憬の極致が人の手の届く所にまで来てしまった」 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

いつしかスタッフロールを長し始めた無声のホロ映像を眺めながら、コスター氏は疲れ切ったかのような溜息をついた。 「手が、届いてしまったんだよ。首を絞め、引き裂けるほどにね」 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

「…話が随分と横道に逸れてしまったね。ともあれ、君は伝説社の勤務環境に何ら不満はないと、そういう理解で良いのだろうか？」 「はい」 コスター氏はさらに何か言いかけたが言葉を呑み込み、席を立った。 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

「もし何か話したいことが出来たらその名刺の連絡先に。君自身ではなく、君の同僚からの相談であっても構わない」 「はい。ありがとうございます」 コスター氏が退室した後、私は彼の名刺をそっとディスポーザーに押し込んだ。 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

本人はおくびにも出さなかったが、彼が大変な危険を冒して私に面談を申し込んだことは想像に難くない。バイオロイドを擁護するのは、バイオロイドを憎む全ての人々を敵に回すのと同義だ。証拠になるような品を残しておいては後々、彼の災厄になりかねない。 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

コスター氏の語った、憧憬と憎しみの相関にについて考える。私もいつか、アタランテに対して憎しみを懐くようになるのだろうか。苦しんで死ぬ様を鑑賞したいと欲するほどに？ #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

それがコスター氏の語る通り、人間にとって自然な心の動きだとするならば…私はバイオロイドとして生まれてきたことを感謝する。ただコロシアムで殺し殺されるだけの生涯だったとしても。 #LO_DENSETSU

虚淵玄 @Butch_Gen

第二話、おしまいです。では4-4Exに戻ります…