2020年6月17日

虚淵さんのラストオリジン二次創作がいつの間にかTwitterで始まってた。【第四話】

これだからTwitterはやめられないぜ…。 ←第三話:https://togetter.com/li/1544027
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虚淵玄 @Butch_Gen

ラストオリジン公式フォロワー5万人達成、おめでとうございます。そしてありがとうございます!皆様のお力添えで手に入りましたこの子はフルアーマードペロちゃん二号として大切に育成させていただきます。

2020-06-17 20:01:26
虚淵玄 @Butch_Gen

さて目標は達成できましたが、ここまで書いて放り出すのもアレなので、ラストオリジンSS最終話、これより投稿させていただきます。今しばらくのお目汚し、どうかご容赦ください。

2020-06-17 20:02:25
虚淵玄 @Butch_Gen

何処ともつかない場所で、私は目を覚ました。 地面もなく、上下左右の感覚も曖昧な場所。そもそも自分自身の身体感覚が、ない。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:03:36
虚淵玄 @Butch_Gen

「気がついた?」 そう呼びかけられて、私は誰かが隣にいるのを感じた。姿形も見えないのに、まるで手を繋いでいるかのような親密な距離に。声はまぎれもなく、魔法少女マジカルモモのものだった。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:04:52
虚淵玄 @Butch_Gen

そこでようやく、私はこの不可解な空間認識について理解が及んだ。 「これは――コアリンク?」 「そう。いま私とあなたは繋がっているの。良かった。もう一度、お話がしたかったんだよ」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:06:06
虚淵玄 @Butch_Gen

コアリンク。複数のバイオロイドの思考回路を接続し意識を共有させる技術。だが並列処理の恩恵を十全に発揮するには同型モデルのバイオロイド同士をリンクさせる必要がある。私とモモのような、グレード格差の甚だしい者同士がリンクをしても効果は薄い。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:07:25
虚淵玄 @Butch_Gen

「私は…あなたの補助回路に取り込まれたの?だから身体の感覚がないの?」 「ううん違う。私の方があなたの身体に繋がれてるの。あくまで一時リンクだけどね」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:08:42
虚淵玄 @Butch_Gen

ますます分からなかった。モモのような高級モデルを私なぞに増設して何の意味があるのか。そもそも――「だったら何故、私には身体の感覚がないの?」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:10:03
虚淵玄 @Butch_Gen

モモは言いづらそうに口ごもった後、一語ずつ言葉を選びながら、説明を始めた。 「あなたのメンタルコアは、重篤な損傷を受けたの。一度目の強制コマンドに逆らったときと…それから二度目のコマンドが致命傷になって」 「……」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:11:34
虚淵玄 @Butch_Gen

「だから私は、あなたの自律神経を代替するためにこうしてリンクを構築してるの。今あなたの身体には高濃度のオリジンダストが投与されてて、大幅にグレードアップされてる最中なのよ。その間、眠りながらでも負荷に耐えなきゃいけないから、私が、ね」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:13:02
虚淵玄 @Butch_Gen

モモの説明は、なおさら私を混乱させるだけだった。 「私が?グレードアップ?どうして?」 「コロシアムでのあなたの印象が強烈すぎたから。プロデューサーがあなたを来期シーズンのヴィランに抜擢するって決めたの。マジカルモモの宿敵、ポクル大魔王としてね」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:14:11
虚淵玄 @Butch_Gen

「そんなの、私に務まるわけが…」言いかけて、ようやく私は、モモが語りあぐねている真実について理解した。 「…そうか。務まらないから、今あなたがここにいるのね」 「…うん」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:16:09
虚淵玄 @Butch_Gen

これ以上は誤魔化しきれないと観念したのか、モモはようやく真相を語る覚悟を決めてくれた。 「あなたのメンタルコアは新しいフォーマットに合わせて初期化されるの。そうでもしないと、命令違反で壊れた回路を再生できないんだって…」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:17:40
虚淵玄 @Butch_Gen

「そうか…」 冷酷な宣告を、私は他人事のように淡々と受け止めた。 「私は、死ぬ…いや正しくは、もう死んだ後なのね」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:19:07
虚淵玄 @Butch_Gen

二度もの命令違反による自律神経システムのクラッシュで、私は肉体の生命活動を維持できなくなった。そんな私の代わりに今はモモのコアリンクが心肺器や循環系を動かしている。こうして思考を保っている私は、肉体から追い出された、言うなれば幽霊のようなものだ。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:20:37
虚淵玄 @Butch_Gen

たしかに私の身体「だけ」は再生される。だがメンタルコアは真っ新に初期化され、残り滓も同然な「私」という自我は跡形もなく消え失せる。幽霊が、新たに生まれ変わった身体から「祓い落とされる」というわけだ。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:22:12
虚淵玄 @Butch_Gen

「…ごめんね」 他にどう言っていいのか分からないかのように、モモは呻くようにそう呟いた。 いいの、と私は首を振る。彼女のせいじゃない。コロシアムで殺し合った敵に対してそう思うのも不思議な話だが、何故かそれが私の実感だった。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:23:37
虚淵玄 @Butch_Gen

死。 今の私の思考も、記憶も、すべてが消えてなくなる。後に残された身体は誰か他の者になる。 かつてはこの時を待ちわびていた。痛みと恐怖から解放される唯一の出口だと思えたから。でも今は―― #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:24:57
虚淵玄 @Butch_Gen

逃げ出したかった辛酸の日々は、何一つ思い出せなかった。 代わりに回顧されるのは…アタランテ。 その麗しき雄姿。その眼差し。夜空の星のように私たちを導いた気高い笑顔。短い生涯の中で私が集めた、ささやかな宝物たち。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:26:19
虚淵玄 @Butch_Gen

そう――栄光は、確かにあったのだ。私たちの中に、アタランテの面影と共に。誰にも否定できない、決して奪われることのない輝きとして。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:27:44
虚淵玄 @Butch_Gen

だがそれも、私という自我の途絶とともに失われる。 その喪失感に、私は泣いた。まだ身体を持ち合わせていた頃には、ただの一度も泣いたことなどなかったというのに。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:28:57
虚淵玄 @Butch_Gen

声もなく、涙もない仮想空間での嗚咽。それをモモは訝りもせず、蔑みもせずにただ見守っていてくれた。 「昔、誰かが言ってた。すべては雨の中の涙のように消えていく、って。きっと私たちみたいなモノのための言葉なんだと思う」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:30:15
虚淵玄 @Butch_Gen

「――ああ。泣くのは、いいものだね。洗い流された気分になれる」 ひとしきり泣いた後、私は意外なほど落ち着くことができた。まるで自分が軽やかで透明になった感覚だった。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:31:35
虚淵玄 @Butch_Gen

それでも、モモはさらに会話を続けるのが躊躇われたらしい。私と話したいと言っていたのに、まごついて俯くモモの沈黙は、やや気まずいものだった。 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:32:54
虚淵玄 @Butch_Gen

結局、私と彼女とでは、“それ”を除いて他に選べる話題がないのだ。あまり困らせるのも気が引けたので、私から口火を切ることにした。 「何故、アタランテを殺したの?」 #LO_DENSETSU

2020-06-17 20:34:29
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