#twhihyo 【まとめ】 お気に入りついのべ作品集(第五回 #twnovelOFF 参加者作品・自薦)

第五回 #twnovelOFF 参加者各位に選択してもらった、自作Twitter小説のお気に入り作品集です。 他薦集はこちら http://togetter.com/li/156098 お気に入りついのべ作品集(自薦・他薦)まとめのまとめ 続きを読む
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水木ナオ @nayotaf

「アンパンのパン言葉は『愛と勇気』。食パンのパン言葉は『曲がり角の出会い』。メロンパンのパン言葉は『内柔外剛』。クロワッサンのパン言葉は『散る』。菓子パンのパン言葉は、『待ちぼうけ』……」「おいうるさいぞ新人、黙って張り込みしろ!」「はい……」 #twnvday #twnovel

2011-01-14 12:22:51
水木ナオ @nayotaf

『夜分すいません。明日イギリスに留学します』起きたら後輩からメールが届いていた。ふうん、と驚くこともなく、出社の準備をする。空港に見送りに、なんて間柄でもないし。だからいつも通り仕事を終えた帰り道、ふと電車の窓を見て。今日はピアスをし忘れていたことに気が付いた。 #twnovel

2010-08-30 12:41:10
水木ナオ @nayotaf

幼馴染の引越す日。「これ」彼女がペットボトルのコーラを差し出した。と、それを全力で振りやがった。「後で飲めば?」けらけらと、彼女は去っていった。3日後、冷蔵庫から出したそれを飲んで、ふと。慌てて飲み干した、透明の空ボトルには、黒いマジックで。『ずっと好きでした』 #twnovel

2011-01-04 20:05:30
水木ナオ @nayotaf

卒業式を終え、一頻り皆と騒いだ所で職員室へ行く。「あら」居た。「先生、ボタン取れそうなんだ。縫ってよ」「あ、第二ボタンじゃない。先生に頂戴よ」「いいから!」「はいはい」くすくすと、白い指で胸元に縫い取めてもらったのは、三年分の俺の想い。先生、先生。好きだったよ。 #twnovel

2011-03-01 22:01:04
水木ナオ @nayotaf

今夜も「えへ、来ちゃった」と神様が来る。用意したお茶菓子を前に、私と神様はお喋りに花を咲かせる。翌朝には、手の付けられていないお茶菓子が残される。もしかしたら神様は居ないのかもしれない。だけど私は毎晩幸せだ。幸せなど、死ぬまでそうだと勘違いし続ければ勝ちなのだ。 #twnovel

2011-01-16 22:28:06
とをあまりむつ @towoamari

冷蔵庫のドアを閉めると、中の電灯は消えるらしい。みんながそう信じている。でも、僕は信じない。冷蔵庫の電灯が消えたところを、僕はこの目で一度も見たことがないから。 #twnovel

2009-11-17 02:32:06
とをあまりむつ @towoamari

私は監獄にいる。なぜなのかはわからない。そこで看守に理由を聞いてみた。しかし看守は何も教えてくれない。ある日、新しい囚人がやってきた。彼もまた、収監された理由がわからない。けれども、諦めたようにこう呟いた。「罰を受けていると言うことは、きっと罪を犯したのだろう」 #twnovel

2009-11-17 04:19:34
とをあまりむつ @towoamari

絶対に予測の外れない機械が、ある日「1年後に人類は絶滅する」と予測した。仕方なく人類は、意識だけを機械に移して生き延びることにした。意識を失った身体はすぐに死んでしまうが、自分自身は機械に残っているから、人々は安心して死んでいった。1年後、全ての作業は完了した #twnovel

2009-11-19 03:54:56
とをあまりむつ @towoamari

私には、彼のことがまるでわからない。わかろうと努力すればするほど、傷つけられてしまう。でもね、別れるなんてできない。ベッドの中では、お互い素直になれるから。彼の温もりを感じられるから。だから今夜も、彼をベッドに誘う。「さぁ、おいで。今日は冷えるからね」「ニャー」 #twnovel

2009-11-29 23:26:03
とをあまりむつ @towoamari

大地震の後、とある詐欺師が被災地を目指した。被災して弱っている人は騙しやすいからだ。渋滞を抜け、荒れた道を何度も通り、瓦礫を乗り越え、ただ騙すために先を急ぐ。避難所に着いて泣きじゃくる子供を見つけた詐欺師は、子供の目を見て話し始めた。「大丈夫、もうすぐ帰れるよ」 #twnovel

2011-03-12 23:33:20
リオ @urufffayn

「おとーたん、ゆちや、ゆち。」おまえは、ぽむぽむと赤い手袋をはめた手をたたき、嬉しそうに言った。ゆちや、ゆち。ぴょんぴょんと跳ねていたよ。手袋が濡れるのもおかまいなしに、雪にさわってきゃっきゃっと笑っていた。「ゆちや、ゆち」「そうだね、お父さん。今年も降ったよ」 #twnovel

2011-02-11 10:13:27
リオ @urufffayn

#twnovel 胸の中が、虹色に熱く光っている人を見かけた。ああ、あの人もまた「知ってしまった人」だ。戻れないことを奥底でわかっていて、逃げようとしない。ただ大切にしようとするものをわかっている。天使をやめた私に未来をいじる力はない。私にも神様より大切な人がいるから。

2010-12-05 20:24:03
リオ @urufffayn

ノックすると、しゃらっと軽い音がした。「ははあ、だいぶためこんでますな。」その人は鍵束から小さな銀の鍵を選び、私の胸に差し込んで回した。しゃらしゃらとこぼれ落ちたのは、淡い色のこんぺいとう。みるみるうちに瓶にたまった。ひとつつまんで口に入れると、涙が頬を伝った。 #twnovel

2010-12-27 00:28:40
リオ @urufffayn

「行くよ。」「ん。」北風がひゅいーっと歌う間を走り抜ける。マフラーがなびく。あなたの背中から安心するにおいがするの。いっそう嬉しくなってつんつん髪をひっぱる。「ちゃんとつかまってなよー」という白い息が流れて行く。ねぇほらっ、昨日より太った三日月! #twnovel

2010-11-11 18:00:39
リオ @urufffayn

ラジオ体操。隣のあくびがうつる。「あれー、けいちゃん、来てないの」「あいつスイカ食い過ぎて腹こわしたらしい」「まじかー」「スイカ持って見舞いに行こうか」セミに負けない笑い声があちこちで弾ける。スタンプ押してもらいながら、昼からプールに行く約束。夏休み。僕の夏休み。#twnovel

2010-08-04 09:13:19
フジキ@11/23東7V39b @24kisae

東京は星が見えないと息子が言った。この前まで居た夫の実家と比べれば雲泥の差だろう。ある日、深夜に帰ってきた私を、息子が部屋に引っ張り込んだ。そこには満天の空が広がっていた。部屋の中央には黒い球体が。「母さん、誕生日おめでとう」と息子が嬉しそうにはにかんだ。 #twnovel

2010-01-23 23:32:36
フジキ@11/23東7V39b @24kisae

寝坊した。焦るよりも先に面倒くさかった。グズグズとリビングに行くと、滅多に化粧をしない母が鏡に向かっていた。父と買い物に行くと言う。私は時計を見た。デートの待ち合わせまで残り30分。「女の本気をみせてやるか」私は浴室へ飛び込んだ。 #twnovel

2010-02-06 11:54:55
フジキ@11/23東7V39b @24kisae

ママがミックス犬を買ってきて、しきりに可愛がっている。チワワの大きな目とマルチーズの毛。いいとこ取り。ママとパパの悪い所ばかり遺伝した僕とは大違い。そんな僕はある日、素敵なものを見つけた。「ママ、紹介するね。僕の新しいママ。優しくて、美人のいいとこ取りだよ」 #twnovel

2010-01-28 09:01:32
フジキ@11/23東7V39b @24kisae

無性に爪の手入れがしたくなり、道具に手が伸びた。形を整えて、磨いて、色を塗って。集中していると頭が空っぽになる。でも、首の後ろの辺りが何かを処理している気配がする。両手の爪すべて仕上げた時、満足感と共に、私の中でひとつの決断が産まれてた。あ、私、悩んでいたんだ。 #twnovel

2011-06-09 08:08:17
フジキ@11/23東7V39b @24kisae

迷信なんて嘘っぱちだ。夜中に爪を切ると親の死に目に会えないというから、毎晩必死になって爪を切っていた。いつか親父と別々に暮らせる日を夢見て。けれど、今、親父が頭から血を流して倒れている。僕はため息をついて、バットを振り下ろした。ほら、迷信なんて嘘っぱちだろ。 #twnovel

2010-08-26 01:08:05
さとまる @satomaru76

#twnovel いつものカフェ、いつもの席。テーブルには赤いセルフレームのメガネ。忘れ物だとそれを取りに来たのは誰かに似た女性。2時間後、カフェを出た。あ。メガネ忘れた。カフェに戻ると席にいるのは赤いセルフレームのメガネをかけた、私に似た女性。そこは「カフェ・タイムマシン」。

2009-12-06 20:58:54
さとまる @satomaru76

#twnovel 大きな背中が緩やかに動く。彼は今日、定年退職の日を迎えた。引き継ぎも終わり、挨拶回りも済ませ。周りの邪魔にならぬよう気遣いながら、一人静かに机を片付けていく。柔らかな午後の光を浴びてその背中は清々しく、美しく。お疲れさまでした。感謝の気持ちは、届くだろうか。

2010-07-01 20:14:23
さとまる @satomaru76

#twnovel いつものカフェ。受験生らしい少女に話しかけた。手こずっていた物理の問題にアドバイス。帰りがけ、持っていた本を譲った。私も誰かにもらった本。自分の進む道を決めた本。彼女の指針になってくれるだろう。彼女は私。そこは「カフェ・タイムマシン」。

2010-09-29 12:24:44
さとまる @satomaru76

#twnovel あなた様が妻を娶ったと馴染みの旦那に教えられたあの日、私は風になった。なんの未練のあるものか、郭(くるわ)を離れられずに漂えば、愛しいあなた様のお姿が。今更身請けしたいなどと。我が自死を知り泣き崩れるあなた様を、今や抱き止める腕もなく。

2010-10-06 12:40:37
さとまる @satomaru76

#twnovel プロポーズした夜。帰宅すると、ドアの前に薄い青色の花を咲かせた小さな鉢植え。わすれな草。花言葉は「私を忘れないで」。空を見上げ、星になった君へ語りかける。忘れていないよ。君への想いも含めた僕を受け入れてくれる女性と出会ったんだ。これからも君のことは忘れない。

2010-10-19 22:54:28