タイラント・オブ・マッポーカリプス:前編 #6

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」数度の打ち合い!機体は飛びながら上下逆さになり、二者はそのまま打ち合いを続けた。「イヤーッ!」「グワーッ!」稲妻纏う掌打が一瞬の隙をついてノーウインドの胸を打った。弾かれるノーウインドは、背中に雷撃を受け、強引に跳ね返される!「クウッ……これは!」 20

2020-07-19 21:56:19
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「嵐のロープだ」ヘヴンリイは舌なめずりした。「さっきの雑魚よりはヤルな、テメェ!これで逃げられねえ。ステゴロでやりあってやるよ。全身の骨折れるまでな……」「御免被りたい」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ワン・インチカラテ応酬!そして…打撃!「グワーッ!」21

2020-07-19 21:59:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

脇腹に拳を受け、ガード姿勢を取るノーウインドの首筋にヘヴンリイの手が伸びた。彼女がノーウインドの首を捉え、一撃でへし折ろうとした瞬間……!「イヤーッ!」「グワーッ!」膝蹴りが彼女のシックス・パックを打った!ノーウインドは手を振り払い、チョップを繰り出す!「イヤーッ!」 22

2020-07-19 22:00:51
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「イヤーッ!」「グワーッ!」ノーウインドは顔面に拳を受けた。ガードを破る打撃。怯むノーウインドに、ヘヴンリイは無慈悲な一撃を見舞おうと……そして舌打ちし、稲妻のフィールドを解除して、間合いをとった。「イヤーッ!」キリモミ回転しながら、加勢のニンジャがトビゲリで襲いかかった。 23

2020-07-19 22:03:06
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ゴウオオオン!機体が垂直上昇を開始。ヘヴンリイは装甲にチョップを突き刺して身体を支え、腕組みして直立するニンジャを睨んだ。司令官帽子を被り、バラクラバにメンポを装着した黒いニンジャである。「ドーモ。オメガコマンダーです」「……司令……ちと不甲斐ない姿をさらしました」「うむ」 24

2020-07-19 22:05:30
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「ドーモ。ヘヴンリイです。……司令ッつったか?」ヘヴンリイは口の端を歪めて笑った。「テメェはどこまでやるんだ?」「老兵だ」腕組みしたまま、オメガコマンダーは答えた。「だが、お前よりも経てきたイクサは長い」「いいや無理だね」ヘヴンリイは否定した。「テメェはオレのイクサを知らねえ」25

2020-07-19 22:08:49
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「作戦を継続せよ」オメガコマンダーはノーウインドに言った。「この者は私が引き受ける」「……アイ、サー」ノーウインドは頷いた。……キイイイ!機体が再び旋回した。ヘヴンリイは手を離し……空中を蹴り渡り、迫る!「イヤーッ!」オメガコマンダーは機体から飛び降りる!追うヘヴンリイ! 26

2020-07-19 22:11:19
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オメガコマンダーは空中でカラテを構え、ジグザグに接近するヘヴンリイを待ち受けた。「イヤーッ!」「イヤーッ!」カラテが衝突する!稲妻の爆発を次々に生じ、二人のニンジャは空を流れていく。遠ざかる機影を、地上の激しい掃射の炎を敵の肩越しに一瞥し、オメガコマンダーはカラテに集中した。 27

2020-07-19 22:13:10
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「イヤーッ!」「イヤーッ!」撃ち合いながら、ヘヴンリイのニンジャ第六感は、オメガコマンダーの左手の秘める危険を察知していた。すぐにそれは判明した。「イヤーッ!」「イヤーッ!」虹色の光沢を持った液体が分泌されているのだ。ヘヴンリイは角から放電し、毒を焼き払う。 28

2020-07-19 22:16:04
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バッ!バッ!ババッ!斜めに落下しながらの二者のカラテはチョーチョー・ハッシ!そして!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ヘヴンリイが繰り出した回し蹴りをクロス腕で受け、オメガコマンダーは横に飛んだ!足裏からジェット噴射し、推力を付与!「イイイイヤアアーッ!」ヘヴンリイはソニック連打! 29

2020-07-19 22:17:42
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KBAM!KBAM!KBAM!KA-BOOOM!帯電ソニックカラテ連打が追尾弾じみてオメガコマンダーを追い打つ!オメガコマンダーの後ろ、マグロツェッペリンが火を噴き、墜落を始めた。ヘヴンリイは舌を巻いた。「ホォ。防いだか。やる」彼女は空を蹴り、オメガコマンダーに再突進!「イヤーッ!」「イヤーッ!」30

2020-07-19 22:20:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴオン!檻の扉が開く重苦しい音がサクタ・イイダの耳に入った。サクタは不透明サイバーサングラスを装着させられた無視界状態で、近づく者の足音に意識を集中させた。彼の腕は椅子の背もたれの後ろに回され、拘束されている。「どなたです?無罪放免ですか?ははは……」乾いた唇を動かし、笑う。 32

2020-07-19 22:26:02
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返事の代わりに、荒っぽい手が不透明サイバーサングラスを掴み、むしり取った。「眩しい……」「思った以上に元気で何よりだ。イイダ博士」「ア……」霞む視界でしかめ面をしている黒髪黒髭の男は、アルカナムのハイエージェント・ビル・モーヤマであった。 33

2020-07-19 22:28:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ア……良かった。ウチのカイシャの人が来たってことは、やっぱり無罪放免……」「セプクだ、イイダ博士」ビル・モーヤマはピクリとも表情を動かさずに言った。肩まで伸びた黒髪と、サングラス。「冗談きついですよ……」「私の冗談はきつい」拘束を解除。サクタは勢い余り、椅子から床に転げた。 34

2020-07-19 22:32:22
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「時間がないぞ。立て」ビル・モーヤマは埃を払う仕草をしながら、無慈悲にサクタが起き上がるのを待った。「その……一体どうなるんです」「状況は刻々と動いているわけだが、当然、社は君の首をヌーテックのイノシシの要望通りに諾々と差し出すつもりはない。カネをかけている故に」「やったあ!」35

2020-07-19 22:34:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「やったあ、ではない、博士。私個人としては、ここで君を厄介払いするのが一番簡単だ。まだその選択肢は残している」ビル・モーヤマは歩き出した。慌ててサクタはその後に続いた。「それは困りますよ」「ならば、ここからの君が我々の期待に応える事は非常に重要だ」「最初からそのつもりですよ」 36

2020-07-19 22:37:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

冷たい廊下を彼らは進んだ。「フラフラする……頭に糖分が必要だし、つらいです」「頑張りたまえ」ビル・モーヤマは手を貸さない。廊下を進み、エレベーターに乗り込み、壁に背中をつけ、後ろに手を組んで、値踏みするようにサクタを見守る。サクタは唾を飲んだ。「その……釈放の理由は?」 37

2020-07-19 22:41:01
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ビル・モーヤマは答えない。ポーン。電子音が鳴り、エレベータがアルカナム・フロアに辿り着いた。彼がサクタを連れ込んだのは、タタミ敷きのリラグゼーション・ルームだった。部屋の中央には黒漆塗りのUNIXデッキが鎮座している。ビル・モーヤマはキーボードをタイプした。「これを見ろ」 38

2020-07-19 22:44:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「はあ……ア、これ!?」サクタはモニタに映し出されたワイヤフレーム俯瞰地図と、そこに積み上げられた数値モデル図を、かじりつくように見た。「そうだ」モーヤマはいかめしく頷いた。「南方戦線の前線からリアルタイム送信されたデータ群だ」「す……すごい。こんなに精緻な」サクタは呻いた。 39

2020-07-19 22:47:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どうやって……ア!そうか。あのニンジャの人ですか?性能いいもんな。名前何でしたっけ?」「ライトニング=サンだ」モーヤマがサングラスを指で支えた。「このデータを確認するまでは、我が社としても君はセプクさせる方向で動いていた。彼の存在が、君の首の皮一枚を繋いだ。感謝する事だな」 40

2020-07-19 22:50:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウ、ウーン、そうですね、会ったらお礼を言います、ははは……」「特に注意すべきはこれら」モーヤマは表示の幾つかを示した。「戦場付近の五重塔の発光値。それからゲニントルーパーの眼球発光値の推移。見ての通り、弱化傾向にある。……これらを踏まえて、君の見解を聞きたい。イイダ博士」 41

2020-07-19 22:55:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……フーッ」イイダ博士はゆっくりと息を吐いた。精神が冷えていった。そしてニューロンが力強く駆動しはじめた。「こういう時、正直、ヌーテックの無骨な人らにイチから説明しないといけないのは本当無駄ですから、社内の人が相手で助かります。……これ、仮説の通りだ。間違いなく弱体化してる」42

2020-07-19 22:58:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ネザー・エネルギーの仮説だな」「そう」サクタはタイピングを開始した。「五重塔がアンテナになって、ネザーオヒガンの力を振り分けている。兄がもたらしたデータで、その辺はもうキッチリ確かめる事ができているワケですが……弱体化の理由は、雑多なネットワーク・トラフィックの増大です」 43

2020-07-19 23:02:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「君としては、自分が起こした騒ぎに因果関係を是非とも結びつけたいところだろうな」モーヤマは冷たく言った。サクタはモーヤマを振り返った。「本当にそんなカルい話だと思います?僕だってプロなんだ。遊びで命賭けたりしませんよ。アレは信念でやったんです」「……」「間違いないです」 44

2020-07-19 23:06:16