タイラント・オブ・マッポーカリプス:後編 #8
【タイラント・オブ・マッポーカリプス:後編】#8 pic.twitter.com/eMV9l4vnDN
2020-09-08 18:04:05ホンノウジ・テンプル城の上空も例外ではなかった。ネザーの異彩の闇は消え去り、暮れゆく空が出現した。「アガガッ……!」ヴェイパーは胸ぐらを押さえ、血走った目を見開く。身体に刻まれたコクダカが明滅する。ニンジャのイクサに一瞬の隙は命取り。タイタンズフィストが仕掛ける!「イヤーッ!」1
2020-09-08 18:09:01DOOOM!拳がヴェイパーの胴体を貫いた。さらに、シリンダー機構が作動!DOOOM!「アバーッ!」ヴェイパーは壁を割り、吹き飛び、さらに奥の壁を割って爆発四散した。「サヨナラ!」「年収年収年収年収!」タイタンズフィストはイクサの高揚と愛社に酔う!「年収年収壮大大大!」 2
2020-09-08 18:11:27彼女の周囲では叩き潰されたゲニンの死体が壁の染みと化している。『引き続き、天守閣破壊を継続しなさい』ショーグネイターのIRC通信が入ってきた。『増援部隊としてモーターワコク6機が着弾しています。破壊しなさい』「オムラオムラ!」タイタンズフィストが叫んだ。オムラドレナリン過剰分泌! 3
2020-09-08 18:14:32ショーグネイターは現在も中庭にて敵の主力部隊とのイクサを継続している。ネザーキョウの「天下布武」によってオムラが被った被害は既に年収換算で天文学的数字である。決断的報復作戦の成否は今後の暗黒メガコーポのパワーバランス維持の如何にも関わるのだ。タイタンズフィストは柱を殴りつける。 4
2020-09-08 18:17:58今や彼女は異常興奮状態にあり、コトブキがその付近をしめやかに通過しても気づくことはなかった。だが新たな殺気には反応した。彼女の背後に水が滴り、ニンジャの姿をとったのだ。「ドーモ。リキッドです」「ドーモ。タイタンズフィストです」「この城は明智常醐のもの。それ以上の狼藉は許さぬ」 5
2020-09-08 18:20:37「イヤーッ!」タイタンズフィストがシリンダーパンチを繰り出した。SPLAAASH!リキッドは恐るべき速度のパンチを受けて飛び散った。タイタンズフィストはリキッドの残骸の更に奥、ツカツカと近づいてくる敵を見た。黒い口髭と顎髭を伸ばし、切れ長の目を紫の敵意に輝かせるニンジャだった。 6
2020-09-08 18:23:44タイタンズフィストの網膜に「負傷存在」のインジケータが灯る。傷口が紫色に輝き、彼女の網膜にノイズの焼け付きを生んだ。「オムラ!イチバン!」彼女は屋内で躊躇なくミサイルを撃った。「……アケチ・ジョウゴ、参る」ジョウゴは身を沈め、ミサイルをすり抜けるように躱して接近した。 7
2020-09-08 18:26:17ジョウゴはタイタンズフィストの鋼鉄装甲に刃を押し付ける。「イイイイヤアアーッ……!」「グワ……アバーッ!?」タイタンズフィストの身体にゆっくりと刃がめり込んでいった。ヘシキリブレード。ジョウゴはそのまま、この不遜なオムラのニンジャを真っ二つに断ち割った。「サヨナラ!」爆発四散! 8
2020-09-08 18:29:56「御見事にござります……」リキッドが身体を形成。ザンシンするジョウゴに声をかけた。「クルシュナイ……」ジョウゴはザンシンすると見せながら、やがてそのカタナを杖のようにして、身体を支えた。傷口がドクドクと脈打っている。その輝きの周波数はヘシキリブレードの刀身の輝きと同期していた。 9
2020-09-08 18:32:15魔剣ヘシキリブレードの刃には、かつてのオダ・ニンジャの……そして、タイクーンのカラテが残存している。キキョウのネザー領域が失われた今、彼は深海で酸素ボンベを呼吸するように、この魔剣から力を得ていた。ネザーキョウの理(ことわり)に異状ある事は間違いなし。これが、どれほど保つのか。10
2020-09-08 18:35:28「おのれ……」ジョウゴは低く呟いた。「殿……!」リキッドが躊躇いがちに近づいた。彼もまた、当初の潜入時に、致命傷を疑う傷を受けている。水と生身を行き来する奇怪なスイトン・ジツの使い手であるが、負傷を無効化することはできぬのだ。その時!「デアエ!」「デアエ!」近衛ゲニン達! 11
2020-09-08 18:38:16ジョウゴはカタナを構えた。彼にはわかっていた。彼はネザーの空気無しでは生きられぬ。いかなる理由によってか、それが失われた。当面の頼りはこのヘシキリだ。このうえでタイクーンに勝利するならば、まず為さねばならない事がある。天守の奪取……明智常醐のノボリを掲げ、勝利宣言すべし! 12
2020-09-08 18:41:34彼は城内で合流した手勢と共に攻めのぼった。オムラのモーターワコク、近衛のゲニン、全てが敵だった。途中の茶室ではオムラの機銃に惨殺された寵姫、懐刀で喉を突いてセプクした寵姫の死体をまたぎ越えた。一人、また一人と手勢は減っていった。だが、死よりも速く進め。城を獲り……そして……! 13
2020-09-08 18:47:24……KA-DOOOOM!睨み合うヘヴンリイとショーグネイターの後ろで、天守閣に爆発が生じた。ヘヴンリイはそれを振り返りもしなかった。ショーグネイターは埃を払う仕草をした。頭頂の「邑」の紋が光った。「オムラは徹底制圧します。敵を許さないです」「うるせえ。そろそろ終わらせンぞ、惰弱野郎」 14
2020-09-08 18:51:50『電力サージを確認』『磁気嵐バランスの完全正常化』ショーグネイターのニューロンに、目視で確認できる空の異変……否……これが正常なのだ……を裏付けるモニタ報告が入ってくる。ともあれ、追い風である。原因は後の調査で判明するだろう。「その点については弊社も同意致します。終わらせます」15
2020-09-08 18:58:00「イヤーッ!」ヘヴンリイは左の角を掴み、自ら砕いた。ショーグネイターは訝しんだのはコンマ数秒。砕けた角から溢れ出た稲妻がヘヴンリイの身体の表面を激しく走り……彼女は、加速した。「イヤーッ!」「グワーッ!?」「イヤーッ!」「グワーッ!?」「イヤーッ!」「グワーッ!」 16
2020-09-08 18:59:55帯電する風めいて加速したヘヴンリイは、ショーグネイターの右側面、後ろ、左側面、死角から死角へ瞬間移動じみて移動しながら、凄まじきソニック・カラテを繰り出した!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ビビガガガガ!ショーグネイターは痙攣!電圧保護機能アクティブ! 17
2020-09-08 19:01:49「イヤーッ!」ワン・インチ・ソニックカラテがショーグネイターの首を刎ねにゆく!だがここへ至りショーグネイターは速度に対応!かろうじて腕をかざし、へし折られながらチョップを受ける!そして……「イヤーッ!」「グワーッ!」ボディチェック!ヘヴンリイを吹き飛ばす!ナムサン……! 18
2020-09-08 19:03:44「認めましょう……0101……小職の年収に挑む貴殿の気概……しかし……」ショーグネイターは腕から煙を噴き、よろめき、カラテを構え直した。ヘヴンリイは受け身をとった。折れた角がバチバチと放電していた。……彼女は目を見開いた。ショーグネイターの背後で、ニンジャがステルスを解いた。 19
2020-09-08 19:06:14「イヤーッ!」反射的にショーグネイターは裏拳を繰り出したが、パルスは高く跳んで躱し、背後からショーグネイターの腰を両脚で挟み込み、この偉丈夫の首元を、極めて危険なるワザ、ジュドー・ネイキッド・チョークで締め込んだ!パルスの両腕がパンプアップし、表面に01の表示が無数に踊る! 20
2020-09-08 19:11:55「グワーッ!?」「イサライトアーマー制御。データ強制解放命令。データ強制解放命令遂行。データ強制解放完了」パルスは淡々と宣言した。ナムサン。通常時のショーグネイターであればこのアンブッシュを許しはしなかっただろう。だが今の彼は極限状態であり……パルスもその瞬間をこそ狙っていた。21
2020-09-08 19:14:19この瞬間、ニューロン速度でショーグネイターは悟った。オムラ・エンパイアのシャナイ級機密、それもタイロー・クラス領域へのアクセス権が奪われる。この者はカタナ・オブ・リバプール社。奪取したデータは即座にIRC送信されるだろう。許すまじ。「オムラ!」ショーグネイターは瞬時にセプクした。 22
2020-09-08 19:18:50ショーグネイターが瞬時に体幹のエメツ反転心臓を自ら破壊し、オムラ・エンパイアの機密を守ったのと、「ち……」パルスが任務失敗に舌打ちしながら、爆発四散するショーグネイターから飛び離れるのと、稲妻を身にまとったヘヴンリイが突進してくるのは全て同時だった。「イヤーッ!」 23
2020-09-08 19:22:36