笹では弱すぎるので、やはり竹を使う。年に一度の行事ともなれば気の入り方も違う。川の向こう側も準備は万端だろう。「姫村の奇襲だッ」見張りが叫ぶ。回り込まれた。竹が節でバラされ男衆が群がる。爆竹の導火線に火が点けられた。竹のバリケードに駆け寄る。短冊には「星村勝利」 #twnovel
2011-07-07 00:00:03昔は年に一度の交流があったらしい。とても信じられない激しい攻防が続く。星村の爆薬は密に折った防御布に弾かれる。仕込んだ金属の短冊も星を散らし落ちた。姫村が強靱な糸を張った弓から矢を射掛ける。織機を改造した連続射撃だ。笹の葉型のナイフが突き出された。既に接近戦か。 #twnovel
2011-07-07 00:12:11六月終盤、七夕で企画をしようと持ち上がり、生徒会は七夕の準備をした。学校の中に葉が生い茂った竹を置いて飾り付けた。「短冊とペンはここにおきますね」会計の少女が言う。「一号は俺が」「何を願うんだ」美術部部長が短冊に書いた願いは絵が速く仕上がります様に、だった。 #twnovel
2011-07-07 00:12:28#twnovel 「承認お願いします」星が彦星と織姫の前に短冊を置く。「聞いてますか?承認を…!」何度言っても、再会した二人に星の声は届かない。「お二人の承認が入らないと願いを叶えてあげることが出来ないんだが」頭を抱える星に、二人はペロリと舌を出す。だって願いは、自分で叶えるもの
2011-07-07 00:13:50七夕,天の川に思いを馳せる。遠距離恋愛を経験してから,僕はほんの少しこの伝説に対してやさしい見方ができるようになった。 #twnovel
2011-07-07 00:17:58#twnovel 「織姫と彦星って、一年に一度しか会えないんでしょ? 何だか可愛そうだよね」「星座自体は移動しないよ。二人は一年中一緒さ。それなのに、一年に一度しか会えない“振り”をしている」「目立ちたいんだね」「案外私たちと変わらないんだね」
2011-07-07 00:19:40#twpoem #twnovel 君がいま、大好きだと言う男の話を聞きながら。僕は君への想いを封印する。そう言えば今日は七夕だったよな…君と別れたあとの帰り道。僕は梅雨空の雲の隙間に見えた輝く星を見上げながら願ったんだ。君が幸せになりますように、って。少しだけ寂しさを感じながら…
2011-07-07 00:31:09#twnovel 織姫と彦星は年に一度しか会えないからロマンチックなわけだが、実は彼らが1ヶ月後に北でこっそり会っていることはあまり知られていない。
2011-07-07 00:32:38七夕というロマンチックなイベントに今年も出会えてよかった。さすがに空を見上げることはしなくなったが、織姫に自分の姿をなぞらえる癖は幾つになっても変わらない。こんな夜、彦星はなにをしているのだろうか。そんなことを想像しながら眠りに着くのは、やっぱり多分悪くない。 #twnovel
2011-07-07 00:45:41#twnovel 一年ぶりに逢えたというのに、突然の通り雨。「どこかに入ろうか」「今夜は七夕だよ」放射能を言い訳にした男に少しだけ腹が立って、彼女は気まぐれに牽制する。二人に降り注ぐ天の川は1ベクレルも寄せ付けない。
2011-07-07 01:08:23今日は七月七日だ。彼女は泣き腫らした目で夜空の下自分の体を抱いている。失恋したのだ。俺はそれを横目に、何も言えずに街の明かりを見下ろしている。雨上がりで湿度が高く、不快さが肌に張りつく。「いい夜ね」と彼女が唐突に言う。「え、なんで」「雨だもの」いい気味…あ、うん。#twnovel
2011-07-07 01:47:37僕には織姫と彦星のように運命の人なんていない。今すれ違った見ず知らずの人が運命の相手なのかもしれないけど、それは可能性という限り無く不確定な上に少しの隙間から手のひらをすり抜けてしまう頼りないもの。僕はそれに縋ったり、それを憎んだり、遣り場のない感情をぶつてる。 #twnovel
2011-07-07 01:56:03七夜物語(六)欲しいものはないのか? 友だちだって色々持ってるだろ。今まで苦労を掛けた分、わがままを言ってもいいんだぞ? ……そうか、何もいらないか。じゃあ、願い事はないか? 短冊を書こう! どんな願い事でも、幾つあってもいい。――俺が傍にいるだけで、いいのか? #twnovel
2011-07-07 01:56:27失恋した彼女は一年に一度しか会えない恋人同士すら呪っている。呪いのせいか今夜は雨だ。雲が垂れ込めているので、屋上には俺と彼女しかいない。「まあ確かにいい夜だ」「でしょ。リア充なんか爆発しろ!!」魂籠もってるなおい。でもそういうとこも、「可愛いなお前」「…バーカ!」#twnovel
2011-07-07 01:56:32「あら彦星。久しぶり、やっと会いに来てくれたのね」僕の彼女、織姫。一年ぶりに会いにこれたと思ったらこの言い草だ。「どう? 何か言いたいことはないの?」僕が言いたいことって、君が聞きたいことだろ? 言うけどさ。「ん。じゃあ、言って?」 #twnovel 去年の君より、可愛くなった。
2011-07-07 02:32:52雨が降りそうな七夕。織り姫と彦星は悲しいふりで、心の中では喜んでいる。本当は雨雲の向こう側で会えるから。誰にも見られず邪魔されず、愛を営める。 #twnovel
2011-07-07 02:34:07西の空が少し明るくなってきた。だが、空を覆う鉛色の雲。それでも、雲と雲の間からは微かな朝焼けが洩れている。今頃、この雲の遥か天界では織女が顔を赤らめて牽牛を待ち侘びているはず。一年ぶりの再会。だから、我々下界の人間は、どんな厄難に見舞われても、この日を祝うのだ。 #twnovel
2011-07-07 05:36:24「ねえ、七夕の短冊、なにか書いた?」「は?お母さん何言ってんの?七夕って、7月7日の夕方に好きな人に7回「好き」って連続でメールして、ウザがられなかったら両思いになれるってやつでしょ?」「うん……それはたぶん両思いだわ」 #twnovel
2011-07-07 06:01:08全国の彦星たちが集まっていた。「今晩の人達はそろそろ準備してくださーい。来月の人達はあっちでーす」 「私のところは晴れそうだ。3年ぶりかなあ」「東京は雨みたいだよ、よかった」「何かやらかしたのかい?」「最近夜が暗かったからつい遊び歩いていたのが、ばれちゃって…」 #twnovel
2011-07-07 07:01:10【天の神様日記】7/7、カササギたちがストライキを起こた。「給料上げろ」「織姫痩せろよ。重いんだよ」「彦星水虫治せ。足臭ぇ」七夕に雨が降るのはカササギのデモ行進で天の川が溢れるからだなんて、人間には教えられない。あと、チャーハンおいしくできた。やったね! #twnovel
2011-07-07 07:18:40友達以上恋人未満の大好きな彼。今更打破できない二の足を踏む現状はまるで天の川。河原に佇む私に彼は言った。「これからもずっと一緒にいよう」私だけの彦星が照れた笑顔で白鳥の橋を架けた。一面に広がる星たちが拍手をするようにキラキラと瞬いていた。#twnovel
2011-07-07 07:36:07七夕の夜、一人夜空を見上げながら逢えぬ貴方の事を思った。貴方は今、何処にいるの?何を思ってるの?逢えなくなって始めて貴方の存在の大きさに気付いたの。叶うならこの夜空を越えて、貴方に逢いたい…。#twnovel
2011-07-07 07:39:44#twnovel 七夕の願い事って誰に対してするんだろうと無粋な事を言ったら、んー自分自身なんじゃない?と、短冊を走らせるペンを止めてキミはそう言った。そっか、願いは祈りであるけれど、誓いでもあるんだね。そして、僕も短冊に願い事を書いた。「いつまでもキミの笑顔が続きますように」
2011-07-07 08:21:38七夕。笹の葉。星祭り。涙の雨で溢れた河が、儚い恋路の邪魔をする。願いを叶えられるなら、せめて一夜の逢瀬をおくれ。伸ばした指が貴女に触れる。願いはたったそれだけなのに。 #twnovel
2011-07-07 08:34:04#twnovel 七夕の夜に織姫と彦星が本当に移動して出会う。僕の彼女はそう信じている。三歳の頃に教えられて、それ以来ずっとらしい。でもそれも今年で最後だろう。一緒に夜空を見上げながら、僕は織姫と彦星が動き出したよ、と彼女に囁く。そしてこう願う。明日の目の手術が成功しますように。
2011-07-07 08:37:02