くにちょぎリレー小話

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 部屋に着くと長谷部くん、物吉、主が俺を待っていたようで、勢いよく手を引っ張られる。「いきなり何かな！？」ビックリして声が上ずってしまう。「山姥切長義、単刀直入に聞くが山姥切国広とはどういう関係だ？」「私も聞きたくてずっと待ってたの！」「僕もずっと気になってて」

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 立て続けに言い捲られる。「どういう関係って、何でそんなこと？ただの本歌と写しじゃないか」当然だろうという顔で伝える。「すまんが俺たちにはそうは見えない。最近の山姥切国広は表情筋が緩み捲っているじゃないか。密会しているようだし本丸内でも2人が恋人同士ではないかと噂になってるぞ？」

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 恋人同士？は？俺の耳にはそんな噂入って来てないぞ？内心慌てながら「何を言っているんだ。ただ話をしてるだけだ。恋人って何でそんな…」言い切る前に主が俺を見つめながら「長義くん顔赤くなってるし口調も///私は2人の気持ちを尊重するし。だって国広の方は長義くんの事好きでしょ？」

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 「だから何を言って！？」主は嬉しそうにこれまでの国広の行動を話し始める。俺が配属され近侍を務め始めた頃からどんな話をしたのか？俺の好きな食べ物や好みの物、とにかく俺に関することは何でも教えて欲しいと必ず聞きに来たそうだ。その行動は勘の良い連中には既に周知されていたようで殆どの者が

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 国広が俺を好いている事、たまにいつ告白するんだと冷やかしを受けたりしていたらしい…バレバレかよ。「僕達、徳美の刀にも良く聞きに来てましたよ。実は洋菓子よりも餡子の和菓子が好きって教えたのも僕達で」そんな噂の中、先日の任務について詳細は伏せられてはいるが国広と共に本丸へ帰城して

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru その後毎日の様に部屋に通うとなれば恋人と疑われるのも無理はない。それに国広は俺が配属されてから少しずつ好意を寄せていた様だし。そんなに俺が好きだったのかよ…羞恥心と嬉しさで複雑な気持ちだ。だが国広真っ直ぐな気持ちにより愛おしくなる。はぁ…もうこれは逃げられないな。

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 「山姥切長義、お前はあいつをどう思っているんだ？俺はここの初期刀であるあいつがあんなにも表情豊かで幸せそうな姿はこれまで見た事がない。仲間として陰ながら応援していた身だ。だがお前にその気持ちがないなら早めにそう伝えるべきだと思う。」真剣な顔の長谷部くんに主も物吉も頷く。

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru もう覚悟を決めるしかない。 「俺も国広を好いている。だが俺の矜持はそう簡単に捨てる事はできない。だから"今は答えられない"と伝えたんだ。そしたらいつまでも待つと…正直どうしたらいいのか悩んでいるんだ。あいつの真剣な気持ちに答えないままでは…悲しませてしまう。それが辛くなってきて…」

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru みんな真剣な顔でどう答えようか考えている様だ。「すまない、また巻き込んでしまったね。俺たちの問題なのに…刀として生きてきたのにこんなにも人の感情に悩まされるなんて思いもしなかったよ。難しいね」

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 俯く俺の肩に手を添えた主が「名前の問題…私達が口を挟むことじゃないって思って見守ってきたつもりよ。でも、私も本丸のみんな国広も、この世で本歌と写しが揃って伯仲の出来と言われているのは山姥切長義と山姥切国広だけってとんでもなく誉高い事だと認識してるし、国広自身が本歌が美しいからこそ

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 自分はこの世に写しとして打たれた。俺は自分が誇らしいんだ。俺だけの大切で誰にも譲れないものだからなってよく話してるんだよ。」「僕も聞きました。嬉しそうに話してらっしゃいましたよね！」そうか…国広はそんな風に思ってたのか…不安だった心がじんわりと満たされていく

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 俺は国広との最初の会話で俺の写しであるという事、山姥切の名前なんてどうでも良いと言うことを突きつけられ正直に言えばショックを受けていた。本歌が写しという存在を疎ましく思うわけがない。誉高い事なんて分かっているし俺自身写しが打たれると聞いた時は嬉しくて早く会いたいと焦がれていた位だ

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 実際に会う事は叶わなかったが、他の刀剣男士より早く政府より顕現され数年後、人の器を得た写しを見てとても悲しかった。どうして俺の写しは自身をそんなにも卑下し怯えているのだろう？綺麗と言われるのがなぜ嫌なんだ？俺とお前は共に並び立つ程の美しさなのに何故？悲しみよりも怒りが増した。

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru そんなあいつに山姥切の名を語る資格はないと、真の山姥切は俺なんだと示してやろうと向かった本丸で修行を終え極になったあいつは俺の存在など忘れたかの様に主の刀であると言っていた。俺を忘れたお前が居る存在があるのかを問うてやりたかった。

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 悲しい、苦しい、憎い…俺はずっとそんな気持ちで日々を過ごしていた。あいつのぶっきらぼうで無愛想な態度も気に食わなかった。益々俺に興味なんてないんだと思い知らされる様で国広の姿が目に入るのも嫌になった。もう一生わかり合うことが出来ないならせめてこの本丸で刀剣男士として山姥切は俺だと

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 実力で示してやろうと必死だった。周りから冷たいだとか、偽物くんと言う俺に苦言を呈する者も居たがそんな事知ったこっちゃない。お前は俺の事なんてどうでも良いんだから。俺は違うのに…八つ当たりだったのも事実、あいつに話しかけられる度に煩いと肩をぶつけその場を去るような幼稚くさい事まで、

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 俺なりに必死で立場を確立しようとしていた。そんな中、元監査官である俺だけに特殊任務の話が舞い込んできた。政府でもそれなりに戦や未だ周りに話せないような特殊任務を請け負ってきた俺の実力を示すチャンスだった。正直とんでもない結果になったが任務も無事に完遂し、

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 俺個人としての評価も上がったのは事実だ。だが、それは思わぬ方向に行ってしまったけれども…あの日からの国広の言葉や行動、今ここで聞いた俺が知らなかった国広の思いを考えると俺が抱えていた悩みの種は消えていたことに気づく。端折りながら胸の内を話し終えると

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 「それならその気持ちを伝えればいいじゃないか。今俺たちに話した事全て、あいつに話してやれ。それでお前がこれからあいつとどうしたいのかきちんと想いを伝えろ。」長谷部くんの言葉にはたまた大きく頷く主と物吉。「うん。あいつが帰ったら早速話してみるよ。…話を聞いてくれてありがとう」

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 心の内を話した事で今までにない程に晴れやかな気持ちだった。みんなもホッとした顔で頑張ってと応援してくれる。話し込んでしまったので急いで夕食までに執務を終えるよう集中しながらも、早く国広と話したいと言う気持ちでいっぱいだった。

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 無事に執務を終え長谷部くんたちと食堂に向かう。国広たちの部隊はもう少しかかるようでソワソワする俺を「落ち着け、大丈夫だから」と嗜めてくれる長谷部くんも何故か嬉しそうだった。夕食を終え、念の為湯浴みも終えいつでもお茶の用意ができるよう準備し帰りを待つ。

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru ソワソワ緊張しつつ部屋で過ごしていると、ゲートから帰還を知らせる音が鳴る。思わず障子を少し開け外の様子を見ると縁側から国広の姿が見える。長時間遠征だが疲れた顔もせずキリッとしている。流石俺の写しで部隊長だね…て、そうじゃない！既に21時を過ぎる頃だし、先ずあいつ部屋に来るのか？

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 約束もしてないなら、俺から誘うしかないんじゃ…よく考えると俺から部屋に尋ねたことも、話しかけたこともなかった。いつも国広から俺の所へ来てくれる…だが覚悟もしたしこれ以上待たせるわけにもいかない。みんなも応援してくれている。

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru 今日しかないと国広が一通りの用事を済ませ部屋に戻るであろう時間に尋ねよう。それまで心を落ち着かせるために本でも読んでいよう。集中できそうにないけれどね。そう思い、本を選んでいると廊下から近づく足音が聞こえ自室の前で止まった。振り返ると同時に「長義！開けてくれないか？」

鳥坊 @BN_takeiteasy

@meguriru ギョッとしながら「ふぇん(うん)今開けるよ」びっくりして変な声出たじゃないか！障子を開くと嬉しそうな顔で手に持っているものを差し出される「土産だ。遠征中に見つけたコスモスだが、とても可愛くて長義にも見て欲しくなってな。受け取ってくれるか？」「可愛らしい花だね。ありがとう。」