小林秀雄の喋り方が古今亭志ん生っぽいと聞いて思い出したこと。

小林秀雄の喋り方が古今亭志ん生っぽいと聞いて思い出したこと。
6
伊藤正宏 @ito3com

少し前に、茂木健一郎さんが、小林秀雄の喋りは志ん生っぽかったと書いていて驚いた。そんなこと思ったこともなかったから。でも、直後に「あ」と思った。うん、確かに似てたかも。…話は40年前に遡る。春、岡山で小林秀雄の講演会があると聞いた私は、高校を休んで大阪から聞きに行ったことがある。→

2020-09-26 00:40:55
伊藤正宏 @ito3com

→その時は、書籍の文体と違って面白い喋りの人だなぁとは思ったが、古今亭志ん生に似てるなんてことは考えたこともなかった。が、茂木さんの言葉を聞いて「あ」と思った。その理由は簡単だ。大阪生まれの高2の私は、まだ志ん生を聞いたことがなかった。志ん生を聞くのはそれから3年ほど後になる。→

2020-09-26 00:41:53
伊藤正宏 @ito3com

→大学のために上京して東京落語を聞いてから、志ん生を始め、故人の落語も聴くようになった。が、もちろん、志ん生を聞いて、小林秀雄に似てるな、なんて思わなかった。そりゃあ、そうだ。最近知ったが、小林秀雄さんは講演会のために、志ん生の喋りを研究したという。こうなったら聴くしかない!→

2020-09-26 00:42:46
伊藤正宏 @ito3com

→探すと、高2の春の講演会の録音は市販されており、すぐに手に入った。どうやらこれが、小林秀雄の最後の講演会だったという。当時、学校を休んで岡山まで行った自分を褒めてあげたくなった。さて、録音を聴いた。「そっくり」ではないが、「どんだけ志ん生を研究したんだ!?」という喋りだ!→

2020-09-26 00:43:22
伊藤正宏 @ito3com

→リズムから、呼吸から、研究の跡が凄い。「あぁぁ」という志ん生独特の声などは、かなり似ている。日本の数々の文学作品を研究しまくったこの文学者が、講演会のために、志ん生を研究したということに驚き、その研究レベルの高さにまた驚いた。あの時も、文学者なのに笑いも結構とっていた。→

2020-09-26 00:45:13
伊藤正宏 @ito3com

→この岡山での講演のCDには、別の講演会の録音も入っているのだが、そっちは影響こそ感じるもののそれほど似ていないので、いつもそうだった訳でもないらしい。その後、ネットで知った情報だと、この岡山での講演で小林秀雄は、異常なほど乗りまくり時間も普段を遥かにオーバーして喋ったという。→

2020-09-26 00:46:58
伊藤正宏 @ito3com

→あの日の小林秀雄の講演は、地元が生んだ文学者・正宗白鳥について語った。後半の真面目なパートの情熱的な喋りも印象的だったが、前半のノリノリトークの楽しさは出色だった。今聞いても、本当に楽しそうに喋ってる。彼が「どうも大変雑駁な話でした」という言葉で〆ると、場内大拍手になった。→

2020-09-26 00:47:50
伊藤正宏 @ito3com

→正直、体力的にはもうかなり弱っているように見えた小林秀雄さんだったが、この日同じステージに上がった、安岡章太郎、大江健三郎両氏の熱演を遥かに凌駕する面白さだった。割れんばかりの拍手の中、小林自身も満足そうな表情でステージを降りていったのを覚えている。

2020-09-26 00:49:07
伊藤正宏 @ito3com

ちなみに、このCDの『正宗白鳥の精神』というのが、40年前に聴いた講演の録音。当時は、二度と聴けないものと、大学ノートに詳細なメモ(なくした、涙)を取りながら聴いたものだが、完全録音が聴けた。ありがたいものだ。ちなみに、ライナーノーツを見ると、あ!…茂木健一郎さんが書いていた。 pic.twitter.com/zfX0Evv2tU

2020-09-26 15:28:08
拡大