最近、膠原病でアセトアミノフェンを併用している患者でCRPが上昇、発熱がマスクされていたこともあり、隠れた感染症に気づくのが遅れてしまって非常に悔しい思いをした事例がありました。ASTの担当薬剤師に見つけてもらって事なきを得ましたが・・・半分自分のためにまとめをします。
2020-10-05 23:34:19感染症があると上昇するマーカーは炎症性マーカー(CRP)が代表的です。しかしながら、上昇が必ずしも感染を指すとは限りません。より特異的なのはプロカルシトニン(PCT)ですがルーチンで測定されるものではありません。
2020-10-05 23:37:08最近が体内に入るとマクロファージが最近を貪食します。活性化したマクロファージは感染部位に対して好中球遊走刺激因子を産生して感染巣への好中球の郵送を促し、インターロイキン6(IL-6)を産生します。ILー6は肝臓でCRPの産生を亢進します。
2020-10-05 23:42:12細菌が血流に乗る菌血症が悪化し、臓器が炎症を起こす、敗血症に移行すると凝固系が亢進するため、血小板が消費されて減少し、フィブリノゲンも同じく減少します。
2020-10-05 23:44:45つまり、感染症になると 好中球、CRP、血小板、フィブリノゲンが通常とは違う動きをするわけです。 もちろん発熱や、白血球数の変動のチェックも基本中の基本です。
2020-10-05 23:46:40好中球は細菌を貪食する血球です。 感染症になると好中球が消費されるため、感染症が酷ければそれだけ好中球の消費も激しくなります。
2020-10-05 23:49:46つまり、好中球の変動を捉えることができればCRPや発熱で感染症をキャッチすることが出来なかったとしても感染症を捉えることができる可能性が格段にあがります。
2020-10-05 23:52:32好中球は造血幹細胞で作られ骨髄芽球→前骨髄球→骨髄球→後骨髄球→桿状核球を経て7~10 日で成熟好中球(分葉核球)になります。分葉核球は骨髄に蓄えられ、血中の好中球数を大体同じくらいに保っています。血液中の好中球が減ると、骨髄から必要に応じて好中球は血中に飛び出します。
2020-10-05 23:59:03骨髄に蓄えられた成熟好中球(分葉核球)が消費されると骨髄は好中球を作りますが、新たに好中球が出来てくるまでに12h〜24hかかります。 成熟した好中球の一つ前の状態の桿状核球は普段なら血中にごくわずかしかいませんが、それが10%-20%以上と高値を示すことがあります。これを左方移動と言います。
2020-10-06 00:04:25成熟した好中球が不足する事態、つまり感染症があると左方移動が見られるわけですね。見た目の白血球数が変わりなく見えても、桿状核球の割合が増加している場合は、細菌の血流感染の可能性があります。スクリーニングのために血液培養を2セットとってみるのも良いと思います。
2020-10-06 00:10:12日常診療で感染を疑うときは、CRPの上昇、発熱、白血球数の増加、のみをみてしまいがちです。 しかしながら、わかるときは杆状核球の割合もきちんとチェックしておきたいものですね。
2020-10-06 00:18:04