ある女の話

ものくろ @bakeneko_mono

「……、はあ…」 大広間で華を活けているが、ふと手を止める。 額に手を当て、重々しくため息をついた。

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「のしたんー？ため息なんかついてー」(ひょこりと現れてはへらりと笑い

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…火遠理さん…。…いえ、…少し、騒動があったようで…。…ままならないものだと…思いまして…。」 一度相手へ顔を向けてから、また俯き

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「騒動…？？(こてりと首を傾げ)……ふぅん？まぁあんまり思ったように事なんてすすまんよねぇ」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…ふふ、そうですね…。そうかもしれません。…ずっと、そうです。別館であの事件があった日以来…体すら、思うように動かない…」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「そっかぁ……。別館での事件ではあれなん？女将はんは女将はんやったん？？」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…はい、もう、この宿で女将を継いで…、そうですね、10年程たった頃でした」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「ほへーー、結構長いことやってんのんねぇ。…あれ？じゃあ10年ずっとだいたいこんなかんじなん？？」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…私が、宿を継いで、あの事件が起きるまでが10年。…事件のあとも、…こうなるまで少しは猶予はありました。…こうなってからは、…更に、月日を重ねています」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「ほへぇ、そうなんや………逃げ出したくはなれへんかったん？？」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…ないと言ったら、…嘘になります。…いまはここにいるのが、辛くて、かなしくて…。…でも、そうするわけにはいかない理由もありました」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「そう、……あれ？過去形？？今はちがうの？？」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…昔とは、理由が異なるところはあるかもしれません。…前は…ああ、でも、そうね。…あの時、逃げてしまえば良かった…のかしら…？そうすれば、こんなことには……」 頭痛を抑えるように額を手で覆う

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「そっかー、理由が変わってしまったんかねぇ。……大丈夫？？」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「……。大丈夫ではない、かもしれませんね…。あの方も…私も…もう、限界なのかもしれません…」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「そっかぁー。限界…？なにが？？」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…私の力は、…次第に弱まっています。正直に申し上げますと、今は彷徨う子らを抑えることだけで精一杯…。」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「なるほどなぁ……。みんなを抑えるのめっちゃ大変そうやもんな……こうやって居れるのももしかしたら女将はんのおかげかもしれんねぇ…。おおきにねぇ」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「…いえ、そんな…。こちらの事情ですから。…お礼を言われるようなことでは…」戸惑うようにたじろぎ

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「んー？そう？でも大体いつもどないかはしてくれるから、ありがたいと思っとるんよ」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 困惑するように小首を傾げ 「あの…どうにかなるような状況をつくっているのも…こちらなのですけど…」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「まぁまぁ、それはそれでこれはこれやん？？？」

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 「そう…ですか…？そうかしら…？(頬に手を当てて更に首を傾げる)」

パティシエ @Yuz_mapt

@tomosibi_Okami 「そうそうーーー」(にこにこ

ものくろ @bakeneko_mono

@Hiru_H_S 表情は見えないが、笑った気配がある。 「…ふふ、適いませんね、火遠理さんには」