「個体発生は系統発生を繰り返す」についてのメモ
ちょっと個体発生と系統発生の反復説を考えた。自分が高校の頃なので結構な昔なのだけれど、ヘッケルの反復説を教わった記憶がある。「個体発生は系統発生を繰り返す」ってやつ。まず、ヘッケルが考えた反復説は間違ってる。
2011-07-23 17:25:41ヘッケルは進化の階層を意識していたように思える。例えば下層から順に魚<カエル<哺乳動物<ヒト。そしてヒトは生まれる前にこれらすべての祖先状態を経験する。
2011-07-23 17:28:32その証拠にヒトの胎児を見ていると魚に似た状態。カエルに似た状態。豚に似た状態が存在する。胎児はその時点で魚でありカエルであり豚なのだ。(豚に似ていると言ったかどうかは想像です)
2011-07-23 17:31:32これは明らかに間違っている。ヒトの胎児は胎児であって魚ではないからだ。ただし、ヒトの胎児のある時期と魚の胎児のある時期は似ているように見える。
2011-07-23 17:36:13異なるものの間に類似性を認めることは,観察という行為において避けられない結果である (Scholtz, 2005).したがって「誤った類似性」というものは存在しない.ただし,それに対する説明を誤る可能性はある(Riedl, 2000).
2011-07-23 17:36:10形態比較はその性質上,基準となる型を設定するため,型から外れる形態は自ずとその変形と捉えられる.しかしそれは,元来人間の認識から由来するものであり,必ずしも進化を反映するものではない.
2011-07-23 17:39:44カール・フォン・ベアはヘッケルの反復説には反対し、発生の初期段階で動物たちは似ているが、発生が進むにつれて各々の動物の形態は離れていくと主張した。現代ではこちらの考え方があっている。なぜ、自分がヘッケルの名前を覚えてフォン・ベアを覚えていないのか。教科書のせいか、自分の頭か。。。
2011-07-23 17:42:36ヘッケルの反復説は人種差別にも流用されて白人は進化した人種だから、大人の黒人と子供の白人は似ているといったような主張もされたらしい。(黒人の状態を経て白人に個体発生するのである。アホか)
2011-07-23 17:44:32ちなみに現代では個体発生の類似性は砂時計仮説が支持されているよう。 http://bit.ly/nb1lAU http://bit.ly/hDoLaL
2011-07-23 17:46:30@fiddler_K 私hもヘッケルのことしか習いませんでした.ヘッケルの説明が一見とても明快なので,いまだに高校の生物の教科書で使われているような気がします.また,現代生物学者でヘッケルやフォンベアなどを意識されている方はどのぐらいいらっしゃるのでしょうか?
2011-07-23 17:49:18@implaceable2011 やっぱりそうですか。エボデボ関連の本ではフォンベアを紹介している一般書も多いと思うのですが、僕の周りでは科学史はあまり注目されてはいないように見えます。
2011-07-23 17:54:19@fiddler_K 一昔前は,生物学ではフォンベアの言うことは誤りだから気にしなくていいという感じで,ある意味遅れていた古生物学ではまだ考え方として残っていたそうです.その頃ちょうどグールドも主張していましたね.最近はEvoDevoの台頭で,生物学にもまた復活したようですが.
2011-07-23 18:06:51@fiddler_K しかし,生物の教科書の進化の欄は元々とってもとっても少なく,今の生物学のマジョリティがそういうことを意識するか,勢力が変わらない限り,教科書の内容はあまり変わらないでしょう.今回の進化学会では,多様性や進化についての教科書内容に関する発表も一応あるようです.
2011-07-23 18:10:01@implaceable2011 なるほど。僕がグールド好きだから、逆にエボデボの予習ができたのかもしれません(笑)生物の教科書の進化欄は確かに少ないですね。おそらく今後も分子生物学が増えることの方があり得そうですね。進化学会の発表、注目してみます。ありがとうございます。
2011-07-23 18:15:11@fiddler_K 生物の本質を知りたくて,その変遷(歴史)を一生懸命探ろうとするのに,科学史は置いていかれがちですねw どちらも,隠れている本質は同じ気がするのですが.皮肉なことです.科学に限らないことかもしれませんねw こちらこそ,ありがとうございました.
2011-07-23 18:28:32@implaceable2011 同じ時間による変化を観る学問と考えれば、本当に同じだと思います。いろいろ考えさせられたというか、勉強になりました。
2011-07-23 18:32:23