プレリュード・オブ・カリュドーン 4/7
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ソウカイニンジャを、ナメんじゃねえ」とアロガントは言い、鋼鉄ナックルのカラテパンチを繰り出した。 1
2021-01-13 21:03:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
狙いは相手の脇腹。殺すつもりはなかった。女とはいえニンジャだ。肋骨の二、三本でもへし折って、汚物まみれの路地裏に這いつくばらせ、この街のルールを"丁寧に"教え込んでやるつもりだった。多少の愉しみを交えながら。 2
2021-01-13 21:06:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「アッ？」だがアロガントの拳は、目にも留まらぬカラテ防御によって弾かれていた。ほぼ同時に、三発の掌打が返ってきた。アロガントの体は無重力めいて一回転した。重力を取り戻し、叫ぼうとした時には、首を掴まれ、高く掲げられていた。 3
2021-01-13 21:09:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「つけあがるなよ、モータル」呪術じみた大布を纏うハーフガスマスクメンポの女が、アロガントを睨め上げていた。アロガントの首を片手で掴み、軽々と吊り上げながら。露わになった彼女の額には、神秘的な「王」の紋章。大布に隠されていた彼女の腕は、四本であった。 4
2021-01-13 21:12:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「ザッ……！？」アロガントは首に力を込め、気管が潰されるのを辛うじて防いだ。「お前は、我の餌だ」女は別の手をアロガントの襟元に伸ばし、掴み、下へと動かした。ジャンクフードの袋を開けるように、無造作に、ヤクザスーツとシャツが切り裂かれて、刺青まみれの肌が露出した。 5
2021-01-13 21:15:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「なッ、何を……！？」アロガントが困惑した。次の瞬間、女の体を覆う襤褸布が、内側から爆ぜるように膨らんだ。裾や袖や首元から爆発的に飛び出してきたのは、ネオン色に明滅するバイオ蠅の大群だった。「死ぬのが怖いか？ 爆発四散するのを見たことはあるか？」 6
2021-01-13 21:18:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「アイエエエエエ！？ テメエは、テメエは……ニンジャじゃねえのか！？」恐怖と混乱が、アロガントのニューロンを引っ掻いた。彼が最後に見たのは、露出した自分の肌や柔らかな眼球へと群がってくるバイオ蠅どもだった。聴覚もすぐに、無数の羽音に覆われた。 7
2021-01-13 21:21:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「我もお前と同じ、穢らわしいモータルのニンジャ憑きであった。王から正しきカラテを授かるまでは……」女の声色は情緒不安定めいてコロコロと変わった。今は潔癖症めいた怒りに震え、奥歯をくいしばる音が鳴っていた。「それがなおのこと、腹立たしいのだ！このクソ野郎が！虫唾が走るわ！」 8
2021-01-13 21:24:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「アイエエエエ！ アイエーエエエエエエ！」アロガントは激しく痙攣し、生きたままバイオ蠅の大群にむさぼり食われ始めた。そして、十秒も保たずに爆発四散した。 9
2021-01-13 21:27:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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暗い路地裏に、ネオンの微小光点がワッと散らばった。それは不気味に暗がりを照らし、騒々しい羽音を立て、魚群めいて動いた。 10
2021-01-13 21:30:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「こんなものか、ネオサイタマ」女がため息混じりにそう呟くと、バイオ蠅の大群は、自分たちの巣へと飛び帰った。暖かいベルゼブブの肋骨の内側へと。 11
2021-01-13 21:33:00