ガダルカナル戦史について その1

ガダルカナル戦史について、緒戦の敵情判断について呟いたものを纏めました。
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みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

「ガ島兵力逐次投入」と言う人らがいる。これまで多くの書籍でそう書かれているが、実際はどうなのだろうか。当事者である陸海軍は兵力逐次投入を分かってやったのだろうか。

2021-01-09 15:12:49
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

ガダルカナル島へ米軍が上陸してきた際、大本営陸軍部はこれに対応できる部隊として、当時大本営直轄部隊であった一木支隊に白羽の矢を立てた。世上では陸軍総意での支隊派遣のように見られがちであるが、実際には大本営陸軍部第二部や陸軍省軍事課は支隊投入に難色を示していた。

2021-01-12 23:42:50
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

大本営陸軍部第二部は情報部であり、米国通である杉田一次が所属していた。杉田はガ島へ米軍が来攻した事を知り、支隊をガ島へ派遣することを良しとはしていなかった。杉田はこれが米軍の反攻作戦だと考えていたのである。

2021-01-12 23:45:15
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

また陸軍省軍事課では、一木支隊の後方支援は聯合艦隊が行うという前提で編成された部隊であり、ガ島のような戦場で使用できるような状態ではなかった。これに軍旗まであっては、作戦指導が硬直化しないか、という懸念を持っていた。

2021-01-12 23:48:00
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

一木支隊が配属された第十七軍においても、支隊投入について意見が割れていた。支隊投入は歩兵第三十五旅団(川口支隊)と同時が望ましくさらに海軍の空母による航空支援の元に行うべきという主張を第十七軍参謀長二見秋三郎はしていた。

2021-01-12 23:51:17
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

これに対し、一木支隊即時派遣を松本博高級参謀、越次一雄後方参謀、平岡与一郎通信参謀、田中耕二航空参謀らは主張していた。その根拠としては、①敵はルンガ飛行場にまだ飛行隊を展開していない、②飛行場に対し陸上からの攻撃を行い、敵に飛行場使用の不安を感じさせること。

2021-01-12 23:53:48
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

③兵力投入が遅れることで敵の地上兵力が増強され、かつ飛行隊が進出してしまうと、爾後の日本軍によるガ島上陸が困難となること、ということであった。

2021-01-12 23:55:31
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

また、一木支隊が敵に各個撃破される恐れがある点については、敵は八日夜に行われた第一次ソロモン海戦の打撃により陸兵を撤退させているのではないかという海軍側からの情報も得ていたことから、この心配はないと考えていた。さらに10日後には川口支隊も上陸する予定であり、

2021-01-12 23:57:14
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

もし一木支隊が苦戦をした場合においても、ガ島の一角を占領して持久を策することは困難ではない、という判断であった。まだ不安を感じていた二見参謀長は、海軍の第十一航空艦隊参謀長酒巻宗孝少将を訪問して意見を求めたところ、酒巻少将は楽観的判断を述べ、二見少将はこの判断を受け入れた。

2021-01-13 00:00:40
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

ガ島情勢判断については、不十分な偵察と海軍側の楽観的判断が影響してしまったが、陸軍側も第十七軍司令部の参謀たちが直接現地を偵察していない。同司令部の参謀たちの対処については批判すべき点があると思う。

2021-01-13 00:06:57
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

ガダルカナルの戦いは日本は敗北したから否定的批判的に見られがちだが、この地域が戦争全体に与える影響を考えると、必然的に起こるものだと思う。もしガ島に海軍が進出しなければ、珊瑚海の制海権は不安定で、ラバウルの制空権はかなり危険なものとなる。当時の状況を考えれば、必然だと思う。

2021-01-13 13:55:21
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

ガダルカナル戦が兵力の逐次投入とか、しっかりガダルカナル戦を調べていたらそんな風には言えない。敵兵力を二千から五千くらいと見積もっていて、そこへ一木、川口両支隊を投入している。結果も大事だが、結果論で見てもいけない。

2021-01-13 21:15:24
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

大本営陸軍部は一木支隊第一梯団が潰滅したことをかなり深刻に受け止めている。昭和17年8月29日の大陸命第676号において、第十七軍へ第二師団を配属することにした。一木支隊全滅の詳細が分かった翌日のことである。

2021-01-13 21:43:33
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

この日の大本営機密戦争日誌には「『ソロモン』方面ノ戦況楽観ヲ許ササルモノアルニ依リ第十七軍ニ第二師団ヲ増加シ断呼[乎]米軍ヲ覆滅スルニ決ス(中略)『ソロモン』会戦ノ帰趨ハ昭和十七年ノ戦争指導ヲ左右スヘシ(後略)」とある。この事からも、陸軍は早期に事態の深刻さを実感していた。

2021-01-13 21:46:55
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

ガダルカナル攻防戦。一木支隊は約2000、川口支隊は約4000の兵力で、合わせて6000人。これに先に上陸した陸戦隊約200人がいる。当時、海軍は敵兵力2000人、陸軍は多めに見積もって5000人程度と判断していた。日本側判断からすれば、小出しでもなければ逐次投入でもない。本質的な問題は別にある。

2021-01-14 15:30:16
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

もちろん、陸軍部内でも敵兵力判断は色々あって、二見参謀長のように最大一万という実情に近い判断をしていた人もいた。しかし、現地からの情報や偵察報告を覆すだけの信憑性が二見参謀長の判断にあると言えるだろうか。

2021-01-14 15:34:14
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

一木支隊投入のタイミングについても、支隊が全滅したからアレコレ批判がされているが、当時の判断ではガ島奪還作戦で障害となる飛行場を早期に奪還もしくは使用妨害をしなければならない、というのは、実際のその後の状況から見ても正しい判断である。

2021-01-14 15:37:01
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

二見参謀長のような、一木、川口両支隊を同時に投入というのは結果から見れば正しいかもしれないが、当時の状況から考えると、他の参謀たちのように、早期に飛行場を何とかしないといけないという意見も正しい。というよりも、他の参謀たちこそ、最新の陸戦の性質を理解していたと思う。

2021-01-14 15:40:13
みきひでき@秘密結社ブランケット♪ @azulovesenshi

ガダルカナル攻防戦初期で何が求められていたかというと、スピード。占領された飛行場をいかに早く奪還あるいは使用妨害出来るか、だ。それがガダルカナル攻防戦の最初にやらなければならない事。川口支隊の攻撃失敗でその可能性がなくなった時点で、ガ島攻防戦のフェーズは変化してしまった。

2021-01-14 15:43:27