ぼうけんのしょができるまで

3zen9作、Twitterショートストーリー
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ぜん @3zen9

王「彼の性格に付け入り・・・私は・・・」兵士1「・・・」兵士2「・・・」王「喋らず、笑うことも無い、ただの・・・機械のように・・・」

2010-04-26 04:37:10
ぜん @3zen9

兵士1「・・・駆けつけた兵士が」王「?」兵士1「彼が息を引き取る間際に一言だけ、声を聞いたそうです」王「・・・!」兵士2「!」王「・・・なんと言ったのじゃ?」

2010-04-26 04:37:42
ぜん @3zen9

王「・・・兵士1、兵士2よ」兵士1、兵士2「はっ」王「国民に今回のことを全て話す」兵士1、兵士2「はっ!」王「準備を」兵士1、兵士2「はっ!!」王「・・・いつまでも落ち込んではいられんからな」

2010-04-26 04:38:20
ぜん @3zen9

声を持たず、表情を無くした勇者は魔王を倒し、世界の人々を救った。彼にとってはたった一人のためだったこの戦い。しかしこの戦いによって救われた人は数知れない。

2010-04-26 04:39:19
ぜん @3zen9

たった一人のために放った最期の一言は違う一人を救い、そしてその一人が様々な人々を救った。王「今回のようなことが二度と起きないよう今後我々は全戦力をもって勇者と共に戦い・・・」

2010-04-26 04:39:55
ぜん @3zen9

そしてそのたった一人もまた。

2010-04-26 04:40:14
ぜん @3zen9

宿屋「いい?私達は勇者様の心の拠り所になるようにするの」女「拠り所ですか?」宿屋「そうよ、私達が勇者様を支えるのよ?」女「はい!」

2010-04-26 04:40:46
ぜん @3zen9

宿屋「じゃあ、ちょっと空けるけど大丈夫よね?」女「はい!まかせてください!!」宿屋「うん、よろしく!」女「ちなみにどこへ?」宿屋「ちょっと王様のところにね」女「・・・えー!?」

2010-04-26 04:41:04
ぜん @3zen9

×月××日「ふと思った。これから勇者になる人たちも僕みたいに喋ることをせず、表情が出ないように訓練させられるのだろうか。・・・かわいそうだ。僕には日記という捌け口があったからいいものを。」

2010-04-26 04:42:26
ぜん @3zen9

「勇者になってみて初めてわかった。勇者だって一人の人間なんだ。嬉しいこと、悲しいこと、嫌なこと、感じることはたくさんある。」

2010-04-26 04:42:52
ぜん @3zen9

「けれど勇者だから、自分は勇者だから。人々に希望を、安心感を与える人間でなくてはならない。そう思ってしまう。いや、正しいと言えば正しいのだけれど。」

2010-04-26 04:43:39
ぜん @3zen9

「きっとこの先、もしも喋らない、表情を出さない訓練をやめたとしても。きっと勇者になる人たちは少なからずこう思うだろう。」

2010-04-26 04:44:11
ぜん @3zen9

「僕をわかってほしい。」

2010-04-26 04:44:56
ぜん @3zen9

「いつか王様に進言してみよう。勇者のための、いや冒険する人全ての人のための」「日記帳を作ってみてはどうだろう、と。」

2010-04-26 04:45:12
ぜん @3zen9

「その日、その人にどんなことがあって、どんなことを感じたのか。みんなにわかってもらうために。」「また明日、がんばることができるように。」

2010-04-26 04:45:32
ぜん @3zen9

「けど、日記帳じゃちょっとアレだしな。・・・いい名前が思いついたら進言してみよう。」

2010-04-26 04:45:46
ぜん @3zen9

宿屋「・・・」宿屋「・・・冒険する人のための記録・・・」宿屋「・・・」宿屋「・・・ぼうけんの・・・しょ・・・」宿屋「・・・ぼうけんのしょ!」宿屋「なんてどうでしょうか?」

2010-04-26 04:46:26
ぜん @3zen9

そしてそのたった一人もまた、彼の言葉に導かれ、明日の勇者達を、全ての冒険する人々を救うことになる。「ぼうけんのしょができるまで」おわり。

2010-04-26 04:47:52
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