Dr. ファンクシッテルーによるDaft Pankの7+20年解説

2021年02月22日(日本時間23日未明)、フランスのダンス音楽ユニット Daft Pank(ダフトパンク)が解散を宣言する動画を公開しました。 この報に接して、近年『ファンクの歴史』シリーズを執筆している音楽評論家・ファンク演奏家のDr.ファンクシッテルー(筆名/芸名)氏が、Daft Punkの音楽的試みについて2日間かけて連投しました。ジョージ・クリントンなど、米国におけるP-FUNKからのディスコ全盛期に至る流れと熱気、その後のディスコへの長らくの不当な悪評判にも触れながらのDaft Punk解説は、ここ数日のDaft Punkに関するTwitter音楽評論の中でも特筆に値すると思います。
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Dr.ファンクシッテルー🤩【ファンクの歴史】 @DrFunkshitteru

Daft Punk - Epilogue youtu.be/DuDX6wNfjqc 今日と明日は、ファンク文脈から見たDaft Punkについてやります。ちょっとツイート多めです。 解散は非常に残念でしたが、彼らの功績は文字通り、地球の音楽の歴史を変えました。 #daftpunk

2021-02-25 12:00:13
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Dr.ファンクシッテルー🤩【ファンクの歴史】 @DrFunkshitteru

私がもうすぐ出版する「ファンクの歴史(下)」でも彼らについては大きく取り上げています。 Daft Punkはディスコファンクに強い影響を受け、ディスコミュージックが世界的にダサいものとして扱われていた時代でも、ディスコへの愛を貫き通しました。 youtube.com/watch?v=FGBhQb…

2021-02-25 12:00:14
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そしてGet Luckyで、世界に再びディスコブームをもたらしたのです。この功績は唯一無二だと私は考えています! 本当に素晴らしいグループでした。 youtu.be/ff7XiWrvkoc

2021-02-25 12:00:16
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Daft Punk - Da Funk (1995) youtu.be/PwILkY9gRrc Daft Punkは94年デビュー、この曲で一躍有名になります。ハウスミュージックですが、とってもファンキーです。 ギターのカッティング、シンセ、4つ打ちのドラム…これを生演奏にしてストリングスを加えたら、ディスコの完成です。 #daftpunk

2021-02-25 18:00:18
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Daft Punkは「フレンチ・ハウス」「フレンチ・タッチ」と呼ばれる90年代のムーブメントで誕生したグループで、それはそもそもディスコを強く愛するムーブメントでした。 redbull.com/jp-ja/it-happe…

2021-02-25 18:00:19
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アメリカでディスコが黙殺されていた80年代以降もディスコはヨーロッパのクラブで愛され続け、イギリスではアシッドジャズとしてその音楽性がリニューアルされます。 しかし生演奏ではなく、サンプリングとデジタルミュージックでディスコを愛し続けたのが「フレンチ・ハウス」でした。 pic.twitter.com/S1FEpotxqa

2021-02-25 18:00:21
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Daft Punk - Mothership reconnection (Daft Punk remix) (Musique, Vol 1, 1993 2005) HD youtu.be/3jvrX5PpPpw Daft PunkはP-FUNKのシンセからの影響も強いです。 P-FUNKの有名曲、Mothership Connectionをサンプリングしたこんな曲も出しました。 #daftpunk

2021-02-25 21:00:12
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そもそもP-FUNKの宇宙的シンセサウンドの影響で、ホアン・アトキンスがテクノを生み出しているので、ハウス/テクノとP-FUNKは密接に絡み合っています。 これがテクノの初期の曲ですが、まんまDaft Punkです。なぜか?どちらもP-FUNK(とディスコ)が影響元だからです! youtu.be/ZOwpGnV8HBM

2021-02-25 21:00:13
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Daft Punk - One More Time (Official Video) youtu.be/FGBhQbmPwH8 この曲の功績についても触れないといけません。昨日と今日はファンク(=ディスコ)から見たDaft Punk特集です。 松本零士のアニメPVも印象的なハウスミュージック。いや、本当に素晴らしいですね。 #daftpunk

2021-02-26 12:00:02
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この大ヒット曲は、Eddie Johns「More Spell On You(1979)」をサンプリングして作られました。聴いていただくと分かるのですが、まんまサルソウル系列の、完璧なディスコです。 ※サルソウルはラテンディスコのこと。それもハウス・テクノを生み出す大きな要因となった youtu.be/JYya05epoZ8

2021-02-26 12:00:04
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Eddie Johnsはアメリカではからっきしでしたが、Daft Punkのいたフランスのクラブではレア・グルーヴとして高い人気を誇っていました。あえてそういうレコードを使ってディスコ愛を表現してしまうのが、Daft Punkのスゴいところだったと思います。 pic.twitter.com/VQpDDGrpLY

2021-02-26 12:00:07
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さらにただサンプリングするだけでなく、マニアにしか分からないような複雑でセンスのあるサンプリングを行っています。こうした表現も、ヨーロッパならではだと思います。👇 DAFT PUNK(ダフトパンク) ワンモアタイムの作り方 youtu.be/qfnfFUX7xdg

2021-02-26 12:00:09
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One More Timeのヒット、そしてサンプリング元の解析によって、Eddie Johnsやディスコをよく知らない90年代の世代にも、そうした音楽が紹介されていったのは間違いないでしょう。 サンプリングの流れについては、こちらの動画のほうが短いので、時間のない方はこちらを👇 youtu.be/DtLlVYcqHzs

2021-02-26 12:00:11
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Daft Punk - Harder, Better, Faster, Stronger (2001) youtu.be/yydNF8tuVmU この曲もやはり超有名ですね。One More Timeと同じく、1979年のディスコミュージックをサンプリングして作られています。この曲は比較的サンプリング元が分かりやすいという点でも注目を浴びていました。 #daftpunk

2021-02-26 15:00:03
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Edwin Birdsong - Cola Bottle Baby(1979) youtu.be/Z3AKrwna2C8 これがサンプリング元です。基本のリフがまんまですね。Edwin BirdsongはRoy Ayers Ubiquityのメンバーでもありました。つまり完璧にディスコ~サルソウルの文脈にあるアーティストの曲です。

2021-02-26 15:00:04
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Edwin Birdsongをサンプリングしたことも、やはりディスコを世界に紹介するよい教材となったことでしょう。当時ディスコは完全に黙殺されており、メインストリームでは扱われない文化でした。 サンプリングして原曲を聴いてもらうなど、こうやって遠回しに紹介するしか方法がなかったのです。 pic.twitter.com/YmIeyAPw6C

2021-02-26 15:00:07
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Daft Punk Feat Pharrel Williams - Get Lucky (Album Version Video) youtu.be/XkeIwhKIi84 2000年代はディスコからの影響をファンにしか分からないような形でアピールしていたDaft Punkですが、2013年のアルバムでついに、ディスコへの愛をオープンにします! #daftpunk

2021-02-26 18:00:09
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PVを観てもらうとすぐに分かると思いますが、ミラーボールが輝き、衣装はキラキラ、完全にディスコ文化をオマージュした映像になっています。 もし2001年にこのPVを出したら、酷評されたでしょう。当時まだディスコ文化は黙殺されていました。 pic.twitter.com/AIzjkuYdh0

2021-02-26 18:00:11
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細字の筆記体を用いるのも、ディスコのアートワークの典型的な例でした。こうしたフォントは2013年以降大人気になり、いまでもさまざまなものに用いられています。 最近のTシャツなどによく筆記体で書かれた文字がデザインされているのは、ここが影響元です。 pic.twitter.com/U9t2bPZecG

2021-02-26 18:00:14
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そして、レコーディングにはディスコ期のレジェンドが多数参加しました。なかでも、ディスコファンクバンド「Chic」のギター、ナイル・ロジャースの参加は大きな話題となりました。 当時のChicの映像を見ると、ステージのビジュアル面もよく似ているのが分かります。 youtu.be/RLTDpewIpfw

2021-02-26 18:00:15
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ナイル・ロジャース、ポール・ジャクソンJr.ネイザン・イーストなどのディスコレジェンドを呼び、作り上げたサウンドは完璧に「ディスコそのもの」でした。 この「Random Access Memories」の大ヒットによって、2013年から地球のヒットチャートは再びディスコでフィーバーする時代になります。 pic.twitter.com/nMVd8mn7iG

2021-02-26 18:00:16
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Daft Punk Pharrell Williams ft Stevie Wonder The Grammys 2014 -HQ youtu.be/AzJDIm7UtAg Daft Punkがグラミーを獲得し、この映像で与えたインパクトは素晴らしいものでした。 サウンドだけでなくビジュアル面でもディスコ期を再現し、2014年に「ディスコはダサくない」と明言したんです!

2021-02-26 21:00:02
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アルバムがグラミーの最優秀アルバム賞を受賞した瞬間です! youtu.be/ncnBz6A14i0

2021-02-26 21:00:02
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すでにタキシード「Do It」などにより、ディスコ&ブギーのリバイバルは音楽ファンの間にはやってきていましたが、このDaft Punkのグラミーが、より広く一般層にまでディスコの復活をアピールしました。ファンクの中でも特にディスコ文化はダサいものとして扱われ、長年の迫害があったわけですが、 pic.twitter.com/CoBi68Vguy

2021-02-26 21:00:05
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Dr.ファンクシッテルー🤩【ファンクの歴史】 @DrFunkshitteru

私はついにこのアルバムによって、大衆的にディスコは許されたと考えています。それがずっとディスコ愛を保ち続けたDaft Punkによって成し遂げられたことは、大変素晴らしいことです。 この話は私の「ファンクの歴史(下)」でも取り上げる予定です! pic.twitter.com/Rqae8t4DFb

2021-02-26 21:00:08
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