谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』読書メモ集

谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学―—ジョン・デューイとアメリカ哲学の系譜』(勁草書房、2021)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

久しぶりに一日の稼ぎが吹っ飛ぶ買い物をしたぜ。 pic.twitter.com/2XomJruPCd

2021-03-04 13:54:12
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荒木優太 @arishima_takeo

「デューイ研究の低調ぶりは、彼に縁のあったシカゴ大学やコロンビア大学が草稿や遺稿を収集せず、生前は特筆する接点のなかった地方大学(南イリノイ大学)が、収集と研究の拠点になったことからも察することができる」(谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』31)。へぇー。

2021-03-04 14:10:49
荒木優太 @arishima_takeo

「最果タヒは、「雪」という詩において、物に注目しながら自己亡き後の共同性を思い描いている」(谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』82』)。この種の本で詩人が出てくるのは珍しいな。

2021-03-04 14:49:33
荒木優太 @arishima_takeo

『信仰と想像力の哲学』、ちょっと略記号使いすぎでは。『イメージ』という本をIMに短縮する必要あるか?

2021-03-04 15:00:25
荒木優太 @arishima_takeo

GRはグラフィック革命。メモ。

2021-03-04 15:02:55
荒木優太 @arishima_takeo

「自己の統合が不十分な人は、日常のある場面で理想のために献身する一方で、別の場面で理想を裏切る行為をしても恥じないといった自己欺瞞を平気で行いかねない」(谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』63)。転向論みたいな話だな。

2021-03-04 15:41:33
荒木優太 @arishima_takeo

「デューイからの引用文に対して「デューイらしくないので原文を確認すべきだ」と査読コメントで書かれたり、コールリッジをL・コールバーグ(一九二七ー八七)と誤認したまま論評されたりといった、ほっこりエピソードもある」(谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』348)。笑った。

2021-03-04 20:17:16
荒木優太 @arishima_takeo

「躊躇いなく事に当たり、自分に揺らぎを認めないシンプルな発想を批判するオルテガの言葉は、専門職化した哲学教員たちをデューイが批判するときの言説と、くっきり重なっている」(谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』147)。ほう。

2021-03-06 14:19:20
荒木優太 @arishima_takeo

「また、ジェイムズから影響を受けた夏目漱石を、滑稽さの中に悲劇性を織り込み、喜劇性と悲劇性の緊張関係を捉えた作家だと位置づける研究もある」(谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』170)。ふーむ。

2021-03-06 14:53:30
荒木優太 @arishima_takeo

福嶋亮大『厄介な遺産』pp67−69が参照されている。

2021-03-06 14:57:19
荒木優太 @arishima_takeo

デューイの交通的公衆論は、G・H・ウェルズやグレアム・ウォラスに遡れるそうだ。勉強になる。

2021-03-06 15:56:10
荒木優太 @arishima_takeo

デューイの空想/想像力の区別はコールリッジに由来するそうだ。ところで、コールリッジの元になったカントは、デューイにとっていかなる存在だったのか。メモ。

2021-03-06 16:47:51
荒木優太 @arishima_takeo

「理想的目的をめぐる試行錯誤は、それと紐づく「理想」をめぐってなされる試行錯誤でもあり、試行錯誤の中で私たちの感覚している理想の方向性が明確化されたり改訂されたりするだろう」(谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』231)。うん、ここ面白いな。

2021-03-07 10:16:49
荒木優太 @arishima_takeo

二重の試行錯誤というか。田中王堂がいう「具体理想主義」もそういう方向で解釈したいと思っているんだよな。

2021-03-07 10:18:37
荒木優太 @arishima_takeo

初期のPSYでは人間側から「理想」を語るが、後年のCFでは「理想」側からの語りに変わる。メモ。

2021-03-07 10:21:57
荒木優太 @arishima_takeo

「適応は、意識レベルの問題でも、自由意志の問題でもない。それは否応なく生じてしまうものである。いわば、自己は、自己自身を超えた理想から憑かれたように動かされる理想の実現に、やむにやまれず駆り立てられるのだ」(『信仰と想像力の哲学』234)。これもロマン主義っぽい。

2021-03-07 10:26:13
荒木優太 @arishima_takeo

谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』索引。高村さん読むといいのでは(エアリプだよ)。 pic.twitter.com/cVE3uAMeP1

2021-03-07 10:50:14
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荒木優太 @arishima_takeo

谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』読了。デューイというと私はなに読んでも「相変わらずフツーのこといってんな」と思いがちなのだが、制度的宗教を斥けてなおなお残る信仰論として読むと、案外、読みがいがあるんだな、と。このポストトゥルース時代、「信ずる意志」(ジェイムズ)と共に現代性もある。

2021-03-07 12:51:26
荒木優太 @arishima_takeo

ロマン主義の財産の継承者としてデューイを読む視線も参考になった。ブランダムなどは、超越主義との絆を断ち切ったところで現代プラグマティズムを再描するが、やはりそれはプラグマティズムがもつ豊富な魅力を減らすことにしかならないのでは、という感想を改めてもった。

2021-03-07 12:54:51
荒木優太 @arishima_takeo

末尾ではデューイのエマソン引用が引かれているが、デューイのいう「庭」にはヴォルテールが響いているだろう(「ぼくたちの庭を耕さなければなりません」『カンディード』)。ここでフランス啓蒙思想とアメリカのロマン主義が出会っていることの意味は大きいと思う。

2021-03-07 13:00:18
荒木優太 @arishima_takeo

なお、本書では、リップマンと対決し消費社会・大衆社会を目の前にしたデューイ像が強調されるが、この文脈で興味深いのは、清水幾太郎だろう。

2021-03-07 13:03:07
荒木優太 @arishima_takeo

東大を追い出されたあとデューイに出会った清水は彼のコモンマン論に深く影響を受けるが、後期になると、消費社会のなかで主体性を失った大衆を批判して、オルテガの「貴族」を持ち上げるようになる。「霊的貴族制」を批判したデューイと対照をなすかのように。

2021-03-07 13:08:05
荒木優太 @arishima_takeo

清水が評価した、架空の庭師の話、アナトール・フランス『ピュトア』も絡めると、「庭」の話と接続できる。

2021-03-07 13:12:14
荒木優太 @arishima_takeo

『ピュトア』は『無責任の新体系』でも論じたのでみんな読むといいぞ(これは宣伝)。

2021-03-07 13:13:26
荒木優太 @arishima_takeo

とまれ、参考文献を見ると、狭義の哲学研究以外にもいろいろ考えてる著者だろうから、これからどしどしいろんなものを書いていくといいのではないか(…などと偉そうに言われる筋合いもないだろうが)。

2021-03-07 13:14:55