谷川俊太郎は「後出しじゃんけん」を先に出されたような、やられた感が

首都大学東京の@acasaazul(福間健二)先生の、詩人論と、 詩人の@sechanco(宮尾節子)さんとのやりとり
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福間健二 @acasaazul

きのうの1限。井坂洋子の詩を読む、その2。電車のなかで目に入ってくるものを追う「緋の毒」は、前回の「GIGI」といい勝負の、大きな物語を呼び込む、境界線をまたぎこす作品。どうして〈厚化粧した女〉ってこの世にいるのか。しかもその〈ストッキングがたるみ靴紐はとれてい〉るのはなぜ?

2011-07-29 09:12:53
福間健二 @acasaazul

「緋の毒」の語り手は、自分がその女性とともにいた遠い前世の物語に踏み込んでゆく。それが力まかせにそうするというのではなく、ただ電車の座席で、その振動に身をまかせているだけだといった進行。まさに流れに乗るという書き方なのだ。「穀倉」「晴れの日の感情」「軽いひざ」と一気に読みすすむ。

2011-07-29 09:17:07
福間健二 @acasaazul

この「表象言語の諸問題」も、きのうが最終回。最初からちゃんとしたプランがあったわけではなく、そのときの思いつきから、荒川洋治、和合亮一、鈴木志郎康、井坂洋子の四人の作品を読んだ。和合作品の「機会詩的」「非作品的」な要素に対して、ものすごく意地のわるい選択になったかもしれない。

2011-07-29 09:22:20
福間健二 @acasaazul

詩人というものについて、二つのことを確認したと思う。才能の次元とは別な、その人の地力ということがある(現存で最高の、鈴木志郎康さんの地力が見えない人たちには、腹が立つ)。これが第一。普通に言えること、だれもがわかっているようなことを言う詩人はいくらうまくても退屈。これが第二点。

2011-07-29 09:28:38
福間健二 @acasaazul

2限、大学院の授業。バザン、ケイル、ドゥルーズの、映画への思考を考えてきて、では、日本では……と問うと、自分でやってくれということになる。次に、文化研究のなかの映画ということ。映画をただの文化の一項目としない方向への誘惑。それがぼくの授業の主題だったと、ここで気づいた。

2011-07-29 09:33:43
福間健二 @acasaazul

で、まとめの意味で見た映像は、ゴダール『映画史』の3A「絶対の貨幣」。絵画の時代の昔も、そして映画の時代の20世紀も、力のある国家の政府がひどいことをやりつづけている。この「歴史」があるからこそ、映画が存在する。当然、焦点のひとつは、第二次大戦から抜け出したところのイタリア映画。

2011-07-29 09:40:56
宮尾節子*MYO @sechanco

@acasaazul 「普通に言えること、だれもがわかっているようなことを言う詩人は、いくらうまくても退屈。」その志で、「現代詩村」に迷い込まないコツとは何なのでしょうね? そこから入った村民はぞんがい多いとわたしには思えるのですが。

2011-07-29 14:25:32
宮尾節子*MYO @sechanco

わかりきった「ありがとう」ひとつ妻に言えるのが、臨終の時だったりするのが普通ですよね。わかってても、いってほしい。普通も女も、ことばを、ほしがっているように思うのです。花には水を 女には言葉を♪

2011-07-29 14:40:59
福間健二 @acasaazul

いま、バーンと閃いたよ! はっきり言うと、だいたいだれもが思っているようなことをうまく言う最大の詩人は谷川俊太郎さん。正直、なぜ彼の仕事がおおぜいの日本人に受けるのかと思ってたけど、そうなんだ。日本人は、思ってても言わな。谷川さんはそれを、しかも上手に言う。@sechanco

2011-07-29 14:53:34
福間健二 @acasaazul

で、誤解のないように言いますが(笑)、ある意味では、「普通」以外に、詩が相手にするものはない。でも、「普通」にも広い領域があって、相手にしにくい「普通」に言いよるというのがいいんです。夫とか妻って、相手にしにくい「普通」のチャンピオンかもしれない。@sechanco

2011-07-29 14:59:55
福間健二 @acasaazul

朝の「普通に言えること、だれもがわかっているようなことを言う詩人は、いくらうまくても退屈。」に戻りますが、これは、「言いやすいことを言うだけでは、いくらうまく言っても退屈」の方がよかったかな。谷川さんは何をやってるのか。これの、ちょっとひねった版なんだよね。@sechanco

2011-07-29 15:04:41
宮尾節子*MYO @sechanco

@acasaazul 「言いやすいことを言うだけでは、いくらうまく言っても退屈」あ、これでよく入りました(笑)。みなまで言わせて、ごめんなさい。

2011-07-29 15:07:56
福間健二 @acasaazul

まだ言いきれてない(笑)。「現代詩村」に迷い込む悪い例は、「あたりまえのことを言ってもしかたがない」が「何を言ってるのかわからなくてもいい」へと簡単にすべる場合ですが、ほんとはそれでもいいんです。そこで生きることを忘れず、「地力」のない詩人のまねをしなければ。 @sechanco

2011-07-29 15:15:05
宮尾節子*MYO @sechanco

谷川さんに関しては「後出しのじゃんけんを、先に出されたような」やられた感があります。後で出してくれたら、ずるいって言えるのになあ、先だもんなあ、みたいな(笑)。いわくいいがたい、うまさ、ずるさを。

2011-07-29 15:15:35
福間健二 @acasaazul

あたり! 十代で、先まで間違えないように「見た」んです。RT @sechanco: 谷川さんに関しては「後出しのじゃんけんを、先に出されたような」やられた感があります。後で出してくれたら、ずるいって言えるのになあ、先だもんなあ、みたいな(笑)。いわくいいがたい、うまさ、ずるさを。

2011-07-29 15:20:57
宮尾節子*MYO @sechanco

@acasaazul 思ってることを、「下手に言う」のがあんがい、詩が立つときかもしれませんね。瓦礫のなかで綾乃ちゃんて女の子が、片っぽだけのサンダル見つけた時、捨てなさいと言われて、横に首を振り「あやのが、いっぱいつまった、思い出だもの」と言い間違った時みたいに。

2011-07-29 15:32:39
宮尾節子*MYO @sechanco

@acasaazul では、掃除の途中で、いろいろ、思いついたもので、掃除に帰ります。ありがとうございました。

2011-07-29 15:35:57