【ケイジ・オブ・モータリティ】 #4

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!?」バッカーニアは竜巻じみた鋼鉄鞭回転連続攻撃によって全身をズタズタに切り裂かれながら弾きあげられた。一方インシネレイトは空中で身体を捻り、上階から銃撃してくる銃火ギャングをカトンで薙ぎ払った。「イヤーッ!」KA-DOOOM!後ろの赤いドラム缶に引火!「「アババーッ!」」 22

2021-03-09 23:08:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

後ろで生じた爆発に吹き飛ばされ、銃火ギャング達は焼け焦げながら、吹き抜けに落下していった。この階数で既に致命的高度だ!ナムアミダブツ!「イヤーッ!」インシネレイトの攻撃は終わらない!彼は更に狙いの向きを変え、苦悶するバッカーニアにカトンを叩きつけた。「イヤーッ!」 23

2021-03-09 23:13:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KA-DOOM!「アバーッ!」カトンがバッカーニアのサイバネ亀裂の中へ入り込み、火薬に引火爆発!「サヨナラ!」爆発四散!「死んじゃッたァー!」薬物ハイのワープリングは涎を垂らして笑い、吹き抜け空中で無防備状態のインシネレイトにスナイパースリケンを向けた。「イ……」「イヤーッ!」 24

2021-03-09 23:14:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!?」ワープリングは延髄に鋼鉄鞭の柄を逆さに叩き込まれ、血泡を噴いた。インシネレイトの空中カトンの最中、凄まじいダッシュで吹き抜け沿いに回り込んだガーランドによる直接攻撃であった。「キク!」ワープリングは笑いながら姿を消そうとするが、クナイ・ウィップが絡みついている!25

2021-03-09 23:18:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガーランドの鞭に仕込まれた無数のクナイは獲物に深々と喰らいつき、使い手の許しなく離す事はない。離脱されるよりも早く、ガーランドは鞭をしならせ、吹き抜けから8階の高さを今まさに落下しようとするインシネレイトに向かって、ワープリングの身体を投げ放った。「イヤーッ!」 26

2021-03-09 23:23:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「キク……」もがきながら投げつけられるワープリングをインシネレイトは空中で受け止め、その身体にカトンを注ぎ込んだ。「イヤーッ!」「アバーッ!?」KA-DOOM!熱を注がれ、爆ぜるワープリング!「サヨナラ!」爆発四散!インシネレイトはその勢いを利用して、吹き抜けの淵に跳ね戻った! 27

2021-03-09 23:25:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「クッソ危ねえ!」インシネレイトは罵りながらスーツの煤を払い、吹き抜けの向こう岸でザンシンするガーランドを指差した。「こういうの勘弁してくださいや。俺ァ……」一階の床を見下ろし、瞬きして呟く。「この高さは勘弁だな……」インシネレイトのもとに、やがてガーランドが戻ってくる。 28

2021-03-09 23:32:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「高さがどうした」「……思ったンスけどね、ガーランド=サン」インシネレイトは眼鏡を直し、吹き抜けの上階を指差した。「このバルコニーみてぇなとこを、アンタが蹴りながら登っていきゃあ、上まで行けるンじゃねえスか?」「インスタントだな。考えなかったわけでもないが、見ろ」 29

2021-03-09 23:34:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

インシネレイトはガーランドに促されるまま、手をひさしに、吹き抜けの上を凝視した。赤いレーザーがやみくもに煌めく。赤外線の防備。何らかの拒絶反応を示すだろう。「上に行くほど厳重だ。既に俺達は上の連中に警戒されている」「面倒ッスねえ。エレベーター使いませんか」「状況次第だ」 30

2021-03-09 23:38:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……ソウカイヤの二人が会話しながら奥の闇へ消えていくその背中を、サイダ3は血走った目で見つめた。後ろからクレッセントが腕を回し、彼の口を手で塞いでいる。「……」「……」やがて彼を自由にする。「行ったようだ」激しく落書きされた缶マッチャ・ベンダーの陰から、二人は進み出た。 31

2021-03-09 23:42:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「強行突入とは畏れ入る。あれがソウカイ・シンジケートのシックスゲイツというわけだな」クレッセントは呟いた。「吉と出るか凶と出るか。それに聞いたか、サイダ3=サン?」「何をですか?」「蝿のニンジャについてインタビューしていただろう?」「あ……そう……だったかも」 32

2021-03-09 23:45:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうだとも」クレッセントは美しい猫目を細めた。「彼らの目的が同じだとしたら、最終的に面倒が増える可能性はある」「あの……蝿のニンジャって、貴方とどういう関係なんですか?」「知りたいのか?」「し……信頼関係欲しいですよ。俺、生きる為に、貴方に雇用されたじゃないですか」 33

2021-03-09 23:50:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クレッセントは無雑作にサイダ3の頬を張った。「アイエエエ!」倒れ込むサイダ3の襟首を掴んで引き寄せ、覗き込む。「それはな、その蝿がウチの……ヨロシサンのプロダクトだからだよ、無論」「プロダクト?え、それってヨロシサンがバイオハザードを引き起こしたッて事……?」 34

2021-03-09 23:53:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クレッセントは返す手の甲でサイダ3の逆の頬を張った。「アイエエエ!」倒れ込むサイダ3の襟首を掴んで引き寄せ、覗き込む。「非現実的な憶測はシツレイだぞ、ビジネスパートナー。我が社はそのような非ESG的行為から最も遠い企業だ。むしろ我が社は被害者だ。蝿を悪用されているのだからな」35

2021-03-09 23:57:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「悪用……じゃあ、盗まれた的な事ですか?」「詳細な経緯はこれから調べるのだ、腰抜けのド屑が」クレッセントはサイダ3を壁に押しつけた。「さっきの君の話を総合するに、事態はなかなか、のっぴきならないところまで来ている」「そうですよ!」サイダ3は震えた。「本当は上に行くなんて狂気だ」36

2021-03-10 00:01:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クレッセントはもう一度サイダ3の頬を張ろうとした。サイダ3は緊張したが、彼女は手を下ろした。「行くぞ」「ハイ」サイダ3はソウカイヤとは違うルートに廊下を進んだ。閉鎖されたシャッターの前で端末を操作すると、容易に液晶がグリーンに点灯し、二人を近道に迎え入れた。 37

2021-03-10 00:03:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヨロシサンは貴方一人を派遣したワケですけど、もっとデカいチームで対応したほうがいいんじゃ……」「私をナメているか?それに、やはり何もわかっていないな、君は」クレッセントはサイダ3と共に歩きながら、彼を見ずに答えた。「解決チームなどナンセンス。いいか、問題は何も起こっていない」38

2021-03-10 00:08:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「え、でも、問題が起こったから貴方が来たワケで……」食い下がりつつ、サイダ3はループ思考でクラクラしてきた。クレッセントは息を吐いた。「私の役目は調査、その結果の報告、必要に応じてニンジャ的に対応だ。これのどこが事案だね?」「わ……わかりましたよ。頑張ります」 39

2021-03-10 00:12:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

油くさい廊下を進んだ先、貨物用エレベーターが二人を出迎えた。「ええと……これで一応、一発で77階までは上がれる筈ですけど……」サイダ3は首からLANケーブルを引き出し、操作盤に直結した。やや怯えた目でクレッセントを見る。クレッセントは無慈悲に頷いた。サイダ3は77階をタイプした。 40

2021-03-10 00:16:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギュグン。二人を乗せた貨物エレベーターが震動しながら上昇を開始。クレッセントは腕組みし、姿勢を超然とリラックスさせる。サイダ3はクレッセントから視線を逸らし、液晶パネルの増加してゆく階数字を見る。56……57…58、ガゴッ。なにかに引っかかったような震動。59でエレベーターは止まった。41

2021-03-10 00:20:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」サイダ3はLANケーブルをパネルから引き抜き、ゆっくりとクレッセントを振り返った。クレッセントはサイダ3の頬を張るかわりに、肩を掴み、後ろに庇った。一瞬後、SMAAASH!エレベーター扉が外側から破城槌じみた衝撃を受け、引き歪んだ。そして唸り声が轟いた!「AAAARGH!」 42

2021-03-10 00:22:18