札幌地裁・同性婚判決の論点

・札幌地裁令和3年3月17日判決 ・全文:https://www.call4.jp/file/pdf/202103/533e3260db61a96e84711d1f0c02d5d6.pdf
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吉良貴之|Kira, T. @tkira26

今回の札幌地裁の判決についてのメモ。 ・「憲法24条2項は、このような観点から、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示す…

2021-03-18 00:47:56
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

…ことによって、その裁量の限界を画したものといえる」(16頁)。 → 24条2項だけで家族制度構築の立法裁量を統制できるとしている? だとすると14条1項違反の結論は過剰では?

2021-03-18 00:47:56
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

同性婚の可否でなく、婚姻による法的利益についての異性カップルと同性カップルの平等を論じるには14条を用いざるをえないということかな。

2021-03-18 04:01:30
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

「本件規定を前提とすると、同性婚の場合には、異性婚の場合と異なる身分関係や法的地位を生じさせることを検討する必要がある部分もあると考えられ、同性婚という制度を、憲法13条の解釈のみによって直接導き出すことは困難である。  したがって、同性婚を認めない本件規定が、憲法13条に違反…

2021-03-18 00:47:56
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

すると認めることはできない」(19頁)。 → 「13条の解釈のみによって」は無理だろうが、13条を主張の根拠の一つとすることを認めているのか排除しているのかははっきりしない。

2021-03-18 00:47:57
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

「婚姻の本質は、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことにあるが、異性愛と同性愛の差異は性的指向の違いのみであることからすれば…」(25頁) → 異性愛/同性愛と異性婚/同性婚の違いを、当事者側に定位することで混線させ、次の問題を引き起こす。

2021-03-18 00:47:57
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

「本件規定が同性婚について定めなかったのは、昭和22年民法改正当時、同性愛者は、社会通念に合致した正常な婚姻関係を築けないと考えられたに過ぎないことに照らせば、そのような知見が完全に否定されるに至った現在において…」(26頁) → 同性愛の精神疾患性の否定という、争点になっていない…

2021-03-18 00:47:57
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

…事情に強く依拠しながら、被告主張「婚姻とは男女が子を産み育てる共同生活関係を保護するものとして創設されたもの」(42頁)という積極目的については、ほとんど建前論で否定しており(25頁)、再生産と結びついた婚姻制度の異性愛規範性という論点を落としている。この点は、本判決があくまで…

2021-03-18 00:47:58
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

…婚姻の法的利益を同性愛者にも及ぼすこと(つまり、同性パートナーシップ等)の立法不作為のみを問題にして同性婚そのものの法制化の是非に踏み込んでいないことにより、むしろ被告側の主張を裏から強化しているようにさえ思える。

2021-03-18 00:47:58
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

【まとめ】 ・婚姻制度の積極目的の検討を建前論で済ませ、また同性婚そのものではなく婚姻の法的効果の平等のみを問題にすることによって、婚姻制度の再生産志向的な異性愛規範性を温存している。 ・24条内在的規範のみによらず14条を上乗せすることによって他の制度的存在への射程を拡張?

2021-03-18 00:49:04
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

憲法論としてたぶん根本的なのは13条・14条のような一般的規範をどこまで個別的な憲法上の制度的存在を統制するものとして用いられるかで、

2021-03-18 01:17:41
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

いかにも無茶そうなことを言うと、国民は天皇となることの法的利益を平等に享受してはいないわけだが、そうすると天皇制は14条違反なのか。従来は「飛び地」論で回避してきたわけだが、今回のような論じ方をするとそれも問題になる。もちろん14条適合的に解釈していくべき、というた立場もある。

2021-03-18 01:17:42
吉良貴之|Kira, T. @tkira26

もう少し現実的な例にすると、たとえば宗教団体や大学に13条・14条による統制をどこまで及ぼすべきか?という話になる。近年の最高裁の傾向を見るに、特に14条については憲法制度構成的な利益への統制に用いるのにもさほど躊躇はない。

2021-03-18 01:17:42