掌小説語り~自作つぃのべる集~65
この戦で手柄を上げれば、貴方は僕を認めてくれるだろうか。凱旋したら貴方に想いを、そう考えていたのに。夜の戦場。奇襲に崩れる陣。不意の刃に倒れる。せめて敵に一太刀と振り仰ぐ。視界いっぱいに大きな月。貴方と見られたら、どんなに。『月が、綺麗だ』王国の未来より、最期まで貴方を #twnovel
2018-09-26 00:37:06知らない街、知らない人。過去を全て捨ててここでやり直すと決めた。環境さえ変えれば全て上手くいくと思っていた。だけどまた、同じ事の繰り返し。傷つき傷ついてまたやり直したくなる。きっと自分を受け入れてくれる場所があると信じてた。自分を変えない限りそんな場所は無いと気づくまで #twnovel
2018-09-27 00:52:29魔王は勇者の一太刀で斃れてしまった。なんてあっけない終わり。もっと熾烈で過酷な戦いを思い描いていたのに。仲間達もぽかんとしている。罠かもしれないと警戒していたが、魔王はもう動かない。配下の兵もいない。「とりあえず、戻ろう」魔王城を後にして知る。魔王の死こそが世界の終わり #twnovel
2018-09-28 00:08:12「僕を本当に愛しているなら早く人間になりなよ、僕は待ってるから」少年は笑う。解っているのだ。出来るはずがないと。彼を同族にする術は無く、一族の長である私が、一族を捨てて人間にはなれない。共に生きる道は無い。「お別れだ」背を向ける。「嘘つき」震えた声。これでいい、きっと。 #twnovel
2018-09-29 00:35:44どうあがいても、レプリカは真実になれない。私自身はもちろん、私を作った貴方にだって解っているはずだ。私の記憶はオリジナルのあの人のコピー。偽物の私では貴方を幸せにできるはずがない #twnovel 君がそんなに苦悩していたとは。記憶はコピーでも、これから作る想い出は君がオリジナルになるんだ
2018-09-29 22:32:51鍵盤を滑る細い指は、君が確かに神に愛された証だ。君の指が奏でる旋律は時に儚く時に雄々しく響き、聴衆の胸を打つ。この指を、君を、私のものにしたいなどと、そんな傲慢な事をどうして思えたのだろう。君の演奏を前に、私の恋心は完膚なきまでに叩き潰された。神のものに、手など出せない #twnovel
2018-09-30 23:30:44