掌小説語り～自作つぃのべる集～66

リュカ @ryuka511

魔王を討つ過酷な旅の中で、私達は恋をした。魔王討伐を成し遂げると、魔力を持つ私の居場所は次第に無くなり、やがて魔族と同一視され迫害された。「世界なんて救わなきゃ良かったね」私の言葉に、恋人は迷いが晴れたと言う。そうして恋人は、私の為に魔王になった。救世の英雄はもういない #twnovel

リュカ @ryuka511

私のボディは完全防水ですので安心して存分にお泣き下さい。お嬢様は機械である私を唯一信頼できる存在だと仰いました。それはとても悲しい事ではないかと考えます。お嬢様の手から冷たいボディに移る体温は私の思考回路を混乱させます。お嬢様を笑顔にする方法を勝手に検索してしまうのです #twnovel

リュカ @ryuka511

そんなつもりじゃなかったのに。どうしてこんな事になってしまったんだろう。きっかけは些細な事だった。些細な諍いが徐々に大きくなって、止められなくなった。どうしよう、どうしよう。感情的になってはいけないのに。許して、許して。洗面台に流した懺悔は、鮮烈な赤を混じえて渦を巻く #twnovel

リュカ @ryuka511

君を前にいつまで理想の紳士を保てるだろう。「帰りたくない」などと言って部屋までついてきた。夜更けに君と二人きり。なぜそんなに密着して座るのか。君の体温と潤んだ瞳に、考えるより先に抱き寄せ口付けた。「やっとそういう顔、見れた」君の嬉しそうな囁きを耳に、ソファへ二人倒れ込む #twnovel

リュカ @ryuka511

私が消えたら君は気付くかな、ふとそんな事を考えた。ずっと近くにいるのに、君は全く私を見てくれない。本当に、消えてみようか。君の反応を見られないけれど、ずっとこのままでいるのは辛いから。 #twnovel 何だか肩が急に軽くなって、体調も回復した。事故物件ってやっぱり何かいるんだな。

リュカ @ryuka511

救済を求める人間の声に応える術はもうないというのに、天使はまだ手を差し伸べようとしている。創世神が人間を見限ったのに諦めの悪い事だ。いつまでそうしているつもりだ?我々は天使と戦ってまで人間を我が物にする気は無い。神が見限った人間をどう救うつもりか、見せてもらおうじゃないか #twnovel

リュカ @ryuka511

死者の国の扉が開く日。大勢の霊が家族の元へ向かう。僕もその列に並び君の元へ。君は憂い顔でキャンドルに火を灯す。僕に気づいていないけど、僕が戻ってきたと信じてくれてるのが解る。扉が閉まるまでの短く一方的な再会。もう少しだけここに、ジャックオランタンのキャンドルが溶けるまで #twTorT