掌小説語り~自作つぃのべる集~87

自作ついのべるのまとめです。 2020年7月分。
0
リュカ @ryuka511

「今日は休む」と連絡してしまえば案外簡単だった。休むよう背中を押してくれたのは、夢に出てきた兄だ。兄はもう私より年下になってしまったけど、今も心配してるんだろう。ふらりと雑居ビルに入り、屋上へ登って街を見下ろす。いい天気。兄は今度は腕を引くに違いない。うん、やめておくよ #twnovel

2020-07-25 23:49:56
リュカ @ryuka511

僕が戦ったのは復讐の為だ。僕の戦いの中で他の誰かが救われたとしても、それは僕には関係ない事だ。仇敵だけじゃなく、無関係な人間も大勢手にかけた。僕の行き着く先は地獄、礼も感謝も僕にはそぐわない。僕を善人にしないで。光と優しさに満ちた世界はもう、僕には失われているんだから。 #twnovel

2020-07-27 00:15:58
リュカ @ryuka511

ほしいものは人も物も何でも手に入れてきた。けど君は違った。手に入れたつもりが簡単に腕からすり抜けてしまう。今夜こそ夜を共にと思ったのに、君は子供にするようなキスを一つ残して笑い、テラスの向こうへ消えてしまった。僕のものにならないからこそ、頬に残る君のなごりさえも愛おしい #twnovel

2020-07-28 00:03:14
リュカ @ryuka511

貴方は息絶える時、決して後を追ってはならない、私の天寿を全うせよと言い残した。次の世でも必ず巡り逢えるようにと。貴方のいない世界に私を繋いだ永遠は、悲しみと苦しみしかない。何度生命を絶とうとしただろう。けど最期の約束は破れない。逢いに行けないなら、貴方が今すぐ逢いに来て #twnovel

2020-07-29 01:20:16
リュカ @ryuka511

騎士は最後の1人の敵兵を倒し、王国へ帰還する。だが長い戦いの果てに残されたものは、焦土と化した王国領だけだった。破壊され尽くした城で騎士は茫然と立ち尽くす。王に栄華を、民に平和を。その一心で戦った。仕える王と守るべき民、どちらも失われたと知らず戦い続けた滑稽さを自嘲する #twnovel

2020-07-29 23:49:07
リュカ @ryuka511

お金持ちの家に生まれた、それだけの事で皆が僕を嫌う。あいつらの血をひいてるとか、僕のせいじゃないのに。皆は勘違いしてる。痣と傷の多い胸や背中。あいつらは世間体が何より大事だから、頭や顔を殴ったりはしないんだよ。何も知らないくせに。親も友達もいらない、僕をひとりにして。 #twnovel

2020-07-30 23:40:19
リュカ @ryuka511

決闘を挑んできたのは今やその首に巨額の賞金がかかる昔の友だった。WANTEDの張り紙の0の数にDEADorALIVEの文字。だが奴の数々の罪より、俺の女を奪った罪はずっと重い。刻限より早く現れた奴へ酒場の陰から銃を向ける。何を思って来たか知らんがお前と正々堂々戦う気なんざ無いんだ、悪いな #twnovel

2020-07-31 23:31:28