みんなの嘘抜粋

皆様への嘘抜粋プレゼント企画・まとめ
6
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@akiko0813 2日ほど地鎮祭を早めたいと村長から頼まれた。慌てて昨晩に殺した金貸しを埋めに行くと、すでに数人埋まっていて、金貸しを合わせると4人になる。その上に神棚を設置した。8万円ほど村長から追加料金を頂くとしよう。 沼津賢吉 著 『比例定数』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-08 00:03:43
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@nightmilk_oo_ 友人の家は高層マンションの一室だ。もう一人の友人と遊びに行った帰り、階段とエレベータで競争した。 私は階段を駆け下りた。やたらと広いエントランスにエレベータの扉は1つも無かった。 今はただ、血のように紅い夕焼けを見つめる。 田崎美香 著 『深層』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-08 00:17:48
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@koharunya 不義密通したる女、男をことごとく沼に沈めけり。蓮根の沼なり。泥のなかより出し蓮根の穴五、六ほど空きたれば、男どもの薬指の白骨となりし入れり。 その夏に盛りし蓮の花の数こそが女の業の数なりと、たそ言へり。 大西銀河 著 『極楽』より抜粋

2021-03-08 22:30:57
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@ringoarashiyama 「ヨシコ!トモエの眼鏡一緒に買いに行こ」 「めんど」 「冷たっ、雪女、冷え性」 じゃれているとトモエが大きな1つ目をパチクリ。私は首を4㍍伸ばして笑う。 私達はスカートをに春の風を浴びながら青春の歌を口ずさむ。 高田すみれ 著 『妖怪道中三重奏』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-08 23:42:54
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@meanderuntildie 「焼き肉最高。こんなに喰わせて俺を出荷するつもりか!肉い奴!なんちゃって…」 (ん、夢か、体がうごかな、) 「よし、バラすか。凄い脂だな。」 男は巨大なノコギリを動かす。 (エッ夢??やめて〜ヤメて〜…、) 食肉工場の朝は早い。 萩原秋人 著 『朝にみる夢』より抜粋

2021-03-09 10:15:06
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@PiccadillyEros 怖い思いをした時は南無阿弥陀仏と3回唱えろが父の教訓。 「お化けはお経が苦手?」と聞くと低い声で「そんな言葉を3回もいってるうちに気持ちが落ち着く、それで消えなかったら本物だ」 僕は寺に住み着いて300年だが、まだ消えていない。 寺坂銀河 著 『田舎道』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-09 12:50:02
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@kino_zack 「美味しいね、お父さん」 「うん、お父さん、おいしいよ、」 「お母さんもオイシイヨ」 滝マサムネ 著 『ファミリーレストラン』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-09 21:03:12
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@0__shiina 走り続けなければ、両側に何もない道を、灰色の道を繋げなければ、ざらついた思想と共に、崖を飛び越えよう。 そして、ようやくシナプスを掴む。 ロバート・キングズリー著 『脳を走る』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-10 15:20:22
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@samon_4482 「ひ」でも 「ふ」でも 「へ」でも 「ほ」でなく。 「は」、まぎれも無い「歯」。 抜けた前歯を床下に投げるおまじない。無数の歯を床下で鼠がかじっておりました。私の歯も例外なく。 それ以来、私の歯はネズミさんの歯なのでございます。 山本最上川 著 『比べっこ』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-10 23:30:46
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@5000004xxx 死んだ恋人に会うため地獄の門番と取引した。 「会えるが片道切符だ」 構わない。僕は無造作に切られた半券を握り地獄に落ちた。 落下する僕とすれ違うように恋人が上昇する、その手に握られた半券は僕の券の切り口とは合いそうにない。 北条孝雄 著 『短編集・恋』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-11 21:53:59
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@K_Sumire_ 口中に土の香りが広がる。俺の手には歯ブラシではなく特大のキノコ、悪い夢だ。風呂に飛び込むと水が氷のように冷たく、慌ててシャワーの蛇口をひねると無数の山ミミズが出た。 遭難生活が長いと、夢ですら下界の暮らしを忘れるようだ。 太郎坊サブロー著 『仙人道』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-12 11:18:55
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@kaorukimi 百円のガチャガチャに『あなた』と書かれていた。 硬貨を入れツマミを回す、カプセルを開けると子供の頃無くした玩具、次々出る思い出、昨日外した結婚指輪、最後の百円で出てきたカプセルには夫だった人の耳が入っていた。 「あら、あなた」 葉山幹房 著 『種無葡萄』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-12 23:55:04
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@mafmafdaisuki 桜が満開の、この道を歩く間だけ青春時代に戻してくれるらしい。 私と同じく年老いた妻と"青春の木道"を行く、車椅子を押しながら。 妻と私は相変わらずしわくちゃのままだったが夜桜を眺めながら『星影のワルツ』を口ずさんだ。 高山佳代子 著 『木漏れ日詰合せ』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-13 00:41:15
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@hinata165 山深き里に某という山師なる男あり。男、野山にて獣を捕らへその肉を食む。 山中に古びたる屋敷あり、住みたる山姥、彼の男を招き、つひに首をかきにけり。 山姥は山の神にてありなむ。 神崎茂生 著 『山霊加護』より抜粋 #嘘抜粋 #エセ古文

2021-03-14 12:38:27
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@ikkou_ehime 白い轟音の中で俺はザイルをナイフで切った。3年前は俺が上で相棒のザイルだけ残った。 もがく手を嘲笑うようにすり抜ける雪。瞬間、右手が何かを掴んだ。雪崩のあと見やると、見覚えのある手袋を着けた腕が氷の壁から突き出ていた。 日野章太郎 著 『氷雪のアリア』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-14 14:19:24
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@yuon_katatumuri 書道家・芝崎葉山は悩んでいた。書道家として飯を食えるようになって40年、満足に『七』の字を書いたことが無い。脳内宇宙を巡る無数の『七』。芝崎は目を見開いた。 数時間後、芝崎翁は空の財布を懐に『パチンコ桃源郷』をあとにした。 芝崎葉山 著 『寝惚日和』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-14 15:07:20
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@_Osahiro 小学校から6キロ程先に実家がある。大人が歩ても遠い。駄菓子屋、祖父に教えてもらった馬酔いの木、赤鳥居はくすんで見える。 実家の庭に白髪の両親が佇む。 そうか俺の命日だ。 秋の日差しの中、年老いた二人と眼が合った気がした。 林城太郎 著 『ヒガシタカムラ4丁目』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-14 23:34:53
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@umiharasuzu 夫の愛人が、ワタシの美容サロンに来た。 「50代で肌白くてズルイ〜」 白白しい小娘め。 「美白の秘密を教えてさしあげます。どうぞ、こちらの浴槽へ」 女は声を上げたがワタシには聞こえない。酸で崩れた女の肉から真白な骨がのぞいている。 青嶺涼子 著 『女神の掟』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-14 23:57:22
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@sasimitabegoro 何度も見た。 僕は冷めたコーヒーに口をつける。 父がトーストを噛じる。 姉が乱暴に扉を閉める。 ここで溜息をつく決まりだが今夜くらいは、 「さよなら」 僕がそう言うと年老いた映写技師が「ありがとう」と口を動かした。 森哲道 著 『シネマティック』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-15 00:49:31
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@XavierCohen 「王様、こちら愚か者には見えぬ衣です」 「愚か者!仕立て屋。万人に見えぬ衣を仕立てぬか、興奮せぬ!」 「申し訳ありません。こちら万人に見えぬ衣です」 「うむ、支払いの金も誰にも見えぬ」 「電子マネーですね」 モリグチタケチヨ 著 『短編集・王様の耳』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-15 23:25:25
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@s2aw1s4n2ik2t1i わたしが一人暮らしをしているアパートの部屋にゴキブリが大量発生したのでバルサンを焚いてやった。 十数分後、見知らぬ男達が咳き込みながら逃げ出してきた。わたしは最後に出てきた父を踏みつけた。 「ゴキブリどもめ……」 隅田川段吉 著 『屋根裏歩こう会』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-17 10:29:44
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@kwaidanbattle 地球最後の日。 俺は慌ただしくノートパソコンを閉じ会社を後にした。 こんな日に仕事なんてどうかしている。 玄関では妻が薔薇のように赤く深くスリットが入ったドレスを纏い迎え、俺はネクタイを外した。たまには、こんなプレイも悪くない。 篠崎雷蔵 著 『愛妻家48手』より抜粋

2021-03-17 16:08:44
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@phonnocori 子供の頃からお坊さんはロボだと思っていた。昔と同じ所で経を支えるし袈裟の間からコードが見えた。 法事が終わり帰る親戚と入れ替わりに平面的な笑顔の男が母を訪ねた。 「娘様を回収に参りました」 「次は夫を若い型に変えて下さる?」 五所川原緑 著 『終わりの町』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-18 12:50:04
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@thankyoufnaf 庭の桜の下に老婆が立っていた。 老婆曰く「ご当主にお世話になりましたが、命幾ばくもないのでご挨拶に参りました」そう言うと我が家をあとにした。 翌朝、戸を叩く音がするので開けると根元から折れた桜の枝が風で揺れ、戸を擦っていた。 御坂霧江 著 『桜花春筍』より抜粋 #嘘抜粋

2021-03-19 00:55:47
長﨑太一(伊勢板 筑摩屋) @o0UpJRBXzV1sGhx

@atelierakiyama 的盧ハ黒毛ノ名馬ナリト伝ワル。 男、アル時ニ黒馬ヲ得。コレヲ的盧アランヤト野山ヲ駆ケルコト久シク、馬忽チ病トナリテ死ス。 伯楽曰、名馬トハ毛色ニアラズナリト。 上田堅鉾 著 『千里馬伯楽記』 #嘘抜粋 #エセ書き下し

2021-03-19 01:18:43