猫の日企画【222散歩】~2016
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にゃー。なんて鳴かないわ。わたしをそこら辺の猫と一緒にしないで。にゃー。なんて、欲しがり屋さんみたいじゃない?にゃー。なんて、鳴かないから。鳴かないけどね眼はいいの。鳴かないけどねちゃんと視てるし視えてるし、居心地の良い場所を。今日は雨。髭と肉球濡らさない。鉄則よ。 #222散歩
2016-02-20 09:45:44街のざわめきを潜り抜けて満月の日通い慣れた秘密の抜け道を辿りいつもの場所へ向かう。濃い夜の匂い。煤けた風とネオンサイン。暗がりを行く俺たちのことなど誰も気に止めない。だからさあ、今宵も始めようじゃないか。ほんの少しの木天蓼酒と拾い物の魚の残骸で楽しい宴になりそうだ。 #222散歩
2016-02-21 22:29:23必死に追ってくる相手をちらりと見やって、近くの塀にひらりと飛び乗る。こんな街の片隅まで追いかけて来なくとも、ちゃんと「お嬢様」の帰宅時間には戻る予定だ。彼女の泣き顔は見たくないのは同じだが、たまには息抜きも必要だ。今はまだ捕まるわけにはいかない。 #222散歩 #twnovel
2016-02-22 00:01:12肉球鳴らさず鳴き声立てず。月の明かりは朧月。少し前は眩しかった丸い月。空も気まぐれ猫に勝るとも劣らない。ほんのり明るい闇の中。いつもの道をと言う事もなく僕は気ままに行きたい方へふらふら歩きとことこ走る。明るくなる前には帰ろうか。昼間の猫は仮の姿さ。あぁ喉が鳴る。 #222散歩
2016-02-22 00:04:56ととととと 夜中の横断歩道を渡る猫。首輪の鈴が鳴る。小さくなってゆく鈴の音に微笑みながら見る猫の夜行性。どこの猫かな。闇夜に光る猫の瞳に映るのは。夜の景色と野良猫一匹 。ものがたりのはじまり。 #twnovel #222散歩
2016-02-22 00:06:18人の輪の中で楽しそうに笑う君の腕の中からするりと抜け出て月夜の散歩。野良の頃に歩いたアスファルトの道は相変わらず冷たいけれど、君が拾ってくれた今は怖くない。甘え下手なのは僕だけの君じゃないのを知ってるから。いつか君より先にいく、僕の精一杯の強がり。 #222散歩 #twnovel
2016-02-22 00:16:00車がいっぱいの道から横道に入るだけで静かな世界。アタシはそこをてくてく歩く。人間はいるのに姿を見せないから、安心して歩ける。すると日当たりのいい駐車場があるの。「あ、来た」「また来た」先にいた猫たちが言う。そこはアタシの特等席なんだから退きなさい! #222散歩 #twnovel
2016-02-22 09:30:41路地を抜けると、漂う煮干しの匂い。そーいえば、ここで、この時間、煮干しを御馳走してくれるおばーちゃんがいたニャ。気配に振り向くと半透明のおばーちゃんが、手招く半透明のおじーちゃんの元に駆けていく。そーいうことね。逝ってらっしゃい。サヨナラの代わりに尻尾を一振り #222散歩
2016-02-22 14:44:23コードが沢山の黒い箱の間を歩く。あら?誰かいるみたい。声を掛けてあげる「猫が見つけたぞ!」白衣の人達が御札と数珠と十字架を手に集まってくる「マザーコンピュータから余計な電気信号を排除しろ!」あらあら、誰かさんが追い回されてる。大変ね、と欠伸を一つ #222散歩 #SFっぽい怪談
2016-02-22 16:46:34黄昏暮れなずむ川縁を小さな俺と三本足のあんたとでのんびり歩いたこの道を今は独り歩く。お前は元気だなと柔らかな声であんたがくれた名前を呼ばれるのが好きだった。大丈夫心配すんな。あんたがくれたものを抱えてたら俺は独りでも生きていけるよ。例え今日も冷たい夜が来たとしても。 #222散歩
2016-02-22 18:56:09細い視界。人影を確認すると目を閉じる。夢をすり抜け目を覚ませば再び細い視界に人影。タタタとすり寄る。食事をねだって満足すると再びまぶたが落ちてしまう。裏通りの店で手に入れた魔法の猫目石であの子の視界を映し出す。視界のはじまりとおわりにはいつだって私。#222散歩 #twnovel
2016-02-22 18:56:46床に丸まって眠る ときどき顔を上げて僕を見る 近寄って膝を枕にする 規則正しく動くお腹と 動きを止める手の位置と どこにも行かないよ ここが気に入らなくなったら 勝手に出ていってもいいけど #222散歩 #twpoem
2016-02-22 19:04:26今日は予定があると言うと君は露骨に怪しむ顔をした。でもこれは僕だけの秘密。人間の皮を脱ぎ捨てて思い切り手足を伸ばして屋根を走る楽しみは早々口には出来ないでしょう。そっとベランダづたいに君の部屋を覗けばふてくされて眠っていた。ごめん明日は美味しいクレープ食べに行こう。 #222散歩
2016-02-22 19:08:20町内パトロールもそろそろ一息入れるにゃ。この時間なら、まあこの休憩場所が妥当かにゃ。「あら猫ちゃん今日も来たのね〜」うむ、来てやったにゃ。「ご飯替えてありますからね〜」苦しゅうないにゃ。「お水も替えましょうね〜」良きに計らえにゃ……にゃ!撫でるのは水を替えてからにゃ!#222散歩
2016-02-22 20:02:28#222散歩 縁側の日だまりに猫が体を伸ばしている。年老いた猫はもう外出をしないが、頭の中は旅の空だった。猫は川の傍で生を受けた。長じて若さに任せ、遠出の先で海を眺める。ある時、恋をして子を儲けた。しかし、今や庭の池を覗き、ひげの手入れをするのがようやくである。 #twnovel
2016-02-22 20:30:18外の世界が見てみたくて好奇心で部屋から飛び出した。細い塀も、高い屋根も、暗い路地裏も怖くない。知らないものがいっぱいの世界で、なくしたのはたったひとつの帰り道。でもひとつだけ知ってるよ。ボクを迎えにきて叱るアナタは、本当はボクが大好きってコト。 #222散歩 #twnovel
2016-02-22 20:58:44先ほどから少女が後をつけてくる。子猫ならまだしも私は妖怪一歩手前のくたびれた猫である。また物好きな、と振り返ると、少女はまだ着いて来ていた。しかし彼女は足音で想像していたよりずっと淀んだ暗い目をしていた。困っているのだね、仕方ない。特別な場所に案内するとしようか。#222散歩
2016-02-22 22:03:58#twnovel 黒い姿の君がいる。尻尾の長く、猫目の綺麗な、しなやかな体の君。いつものように、喉をごろごろ鳴らして私のそばに……いや、おかしい。いるはずがない。だって、君は数年前に死んだはずだ。目を擦る。君はいない。夢ではなかった。が、今のは一体……? #222散歩
2016-02-22 22:09:11#twnovel 便意を催したのでお気に入りのトイレに行く。生け垣をくぐり抜けた先の庭。ここは出したフンが勝手に処理されていて、いつも清潔で気持ちがいい。ここの人間はよっぽどオレのことが気に入っているみたいだ。ふと目を移すと水の入ったペッドボトル。これはどういう意味?#222散歩
2016-02-22 22:22:12さっき変な奴に追い掛けられたんだ。俺が駐車場の端を駆け抜けても、白い家の高い塀を登っても付いてくる。余りにも執拗いんで、俺が諦めたら頭を撫で笑っていたよ。優しい手、だったな。変な奴だったけど、悪くない気分だ。また会ったら、今度は素直に相手になろう。#222散歩 #twnovel
2016-02-22 22:25:00ぼくらはどこにでも赴く。トラックの下。アーケードの上。境内の中。檻の外。明日とか昨日とかよくわからないな。たとえごはんがなくても、助けがなくても、ぼくらはただその日を過ごすだけ。人の子よ、疲れた顔で頭を撫でる君の、その瞳の羨望をぼくは知っているよ。#222散歩 #twnovel
2016-02-22 22:45:52僕ももうすぐ大人の猫、縄張りを広げなきゃ。扉を抜けまだ見ぬ世界へ。見るもの全てが初めてで大興奮、たまらず僕がここに来た爪痕をあちこちに残してきた。あ、主が帰って来る頃だ。そろそろ戻ろうか。 #222散歩 主がケーブルがどうのって悲鳴上げてるけどどうしたんだろ。 #twnovel
2016-02-22 22:51:29