自動除算機能搭載!DeTeWe の機械式計算機 Hamann Manus R

DeTeWe の機械式計算機 Hamann Manusのご紹介。
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なにがし某 @sovtron

というわけで最近購入の待ちくたびれ物件。デーテーヴェーって読むのかな? DeTeWe (Deutschen Telefonwerke und Kabelindustrie A.G.) の機械式計算機 Hamann Manus。1953~1959年 ドイツ製。設計はクリステル・ハマン氏。 pic.twitter.com/0ECTcuiDxJ

2021-04-09 22:14:23
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なにがし某 @sovtron

DeTeWeの機械は国内では見たことないけど、ebay見張ってるとちょくちょく出てくる。このモデルはHamann Manus R。無印Manusシリーズに結果数転送機能(連乗機能)を搭載したモデル。めっちゃ緑! pic.twitter.com/N6iAhFtpQC

2021-04-09 22:15:18
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なにがし某 @sovtron

見た感じはよくあるOdhnerタイプの手回し計算機。キャパシティは9×8×13、数字間のピッチがOdhnerの7mmに対して8mmちょいあるのと台がついてるので、Odhnerと比べると一回り大きく感じる。あんまりスマートでないヘンテコなゴテゴテしたデザインだけど位取り指針のレール基部の旋盤加工とか良い感じ。 pic.twitter.com/dbKL7Nb5ht

2021-04-09 22:17:56
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なにがし某 @sovtron

入力ノブに指掛かりのプラキャップが付いてて、ノブが回転しない構造に工夫してあることが見てとれる。キャリッジ操作や各ダイヤルのリセット操作は右手側にまとめられている。 pic.twitter.com/m3deZr5iDG

2021-04-09 22:20:57
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なにがし某 @sovtron

内部構造は、入力ノブで数値を設定すると内部のカム位置でメインクランクを回すと設定した数字分、ラッチがオンになって歯車を回転し、加算を実行する。タイガー計算器の扇型歯車とかに似てる。(あっちはカム位置に応じて歯車が出てくる) youtube.com/watch?v=y1EgDd…

2021-04-09 22:21:36
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なにがし某 @sovtron

加算123+456。入力レバーで123を設定しメインクランクを一回転すると結果数ダイヤルに加算され、リセットバーがメインクランクの回転に連動して入力ノブをリセットする。続いて『456』を入力しメインクランクを一回転すると、結果数ダイヤルの『123』に『456』が加算され、和の『579』が表示される。 pic.twitter.com/Z46mN9jsKy

2021-04-09 22:24:09
なにがし某 @sovtron

結果数/回転数ダイヤルのリセットは右手側にまとめてあるレバーで行う。隣接してるので両方同時リセットも可能。 なお、メインクランクの回転方向は一方向のみで、逆転はできない。入力ノブの構造に起因するもの…ではなさそうな…普通に逆回転できそうな気がするけど。 pic.twitter.com/az4xoJzVpF

2021-04-09 22:26:22
なにがし某 @sovtron

で、減算はどうするかというと、メインクランク下の切り替えレバーで減算モードにすると、キャリッジが右に半桁ずれて間にギヤが一枚噛み、結果数/回転数ダイヤルを逆に回して減算を実行する。この『ハンドルの回転方向が単一』『キャリッジ位置で加算と減算を制御』というのがこの機械のミソである。 pic.twitter.com/d17WYFxNd2

2021-04-09 22:28:47
なにがし某 @sovtron

減算5432-1111。入力レバーで『5432』を設定しメインクランクを一回転すると結果数ダイヤルに加算される。切り替えレバーで減算モードにし、『1111』を入力しメインクランクを一回転すると、結果数ダイヤルの『5432』から『1111』が減算され、差の『4321』が表示される。 pic.twitter.com/p8zXX4al4B

2021-04-09 22:30:15
なにがし某 @sovtron

入力ノブの自動リセット機構は加算減算時はちょっぴり便利かも。当然この機能は乗除算を実行する時のために解除できる。…けど、乗算の時には大体解除し忘れててああああってなるので不便かも。デカマイナスねじがくるくる回るの素敵。 pic.twitter.com/GpTinTQqXh

2021-04-09 22:31:42
なにがし某 @sovtron

キャリッジは正面のレバーでロック解除して一気に移動することも可能。一桁ずつの移動レバーは右手側にまとめてある。 pic.twitter.com/VaH08dTsZq

2021-04-09 22:34:56
なにがし某 @sovtron

乗算は加算の繰り返しで計算する。これは普通にOdhnerタイプの計算機と同じ。5×3はメインクランクを3回回して5+5+5のように操作し、この時の乗数=加算の回数『3』は回転数ダイヤルに表示される。

2021-04-09 22:38:53
なにがし某 @sovtron

乗算221×498。100の桁221×400、10の桁221×90、1の桁221×8のように、キャリッジを移動しながら一桁ずつ計算する。結果数ダイヤルに積『110058』が表示される。 pic.twitter.com/xiHeYOE9CU

2021-04-09 22:40:22
なにがし某 @sovtron

ちなみに221×498は、221×(500-2)でもあるので、まず221×500の計算をして、そこから221×2を引いても計算可能。(結果数ダイヤルに10進機構が搭載されている機械でのみ可能な操作) pic.twitter.com/fG3PDGXzKj

2021-04-09 22:42:02
なにがし某 @sovtron

続いて連乗操作。乗算221×498×345。まず221×498を計算し、入力ノブをリセットしつつ結果転送レバーをONにしてから結果数ダイヤルをリセットすると、積『110058』が入力ノブに転送される。続いて×345を計算し、積『37970010』を得ることができる。 pic.twitter.com/i3wlCxAmIR

2021-04-09 22:44:33
なにがし某 @sovtron

結果転送レバーはこんな感じで、入力ノブのリセットバーを上げながら結果転送レバーを押し込むと、チェックダイヤル左の窓にオレンジ色の指標が出て転送モードに入る。 pic.twitter.com/0THGTl5rD6

2021-04-09 22:47:23
なにがし某 @sovtron

除算355÷133。キャリッジ移動ノブを手前に引き出して除算モードにし、キャリッジを右端に移動。被除数355を結果数ダイヤルに設定。次に入力ノブで除数113を被除数355と上位桁が揃う位置(左揃え)に入力。 pic.twitter.com/phoaTyPwml

2021-04-09 22:49:37
なにがし某 @sovtron

あ、『キャリッジ移動ノブを奥に押し込み除算モードにし、』だな。

2021-05-01 11:00:27
なにがし某 @sovtron

入力ノブで除数113を被除数355の上位桁と揃えて入力する為に赤丸の目印がある。 pic.twitter.com/d9TMRvhfwI

2021-04-09 22:51:50
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なにがし某 @sovtron

次に被除数355の小数点位置(10)と除数113の小数点位置(3)に位取り指針を置く。そして被除数の指針位置(10)-除数の指針位置(3)となる指針位置(7)に回転数ダイヤルの位取り指針を合わせる。忘れずにクラッチレバーを減算モードに切替。 pic.twitter.com/pj5du8ihx1

2021-04-09 22:53:46
なにがし某 @sovtron

ここからがこの機械のすごいところなんですが、メインクランクを回すと結果数ダイヤルの被除数355から除数113が引かれ、数字(余り)がマイナスになったらキャリッジが自動で半桁移動し、除数を一回加算して商をプラスに戻してからキャリッジがさらに半桁移動、次の桁の減算を開始する。自動で! pic.twitter.com/ptCCoVdh4R

2021-04-09 22:59:39
なにがし某 @sovtron

これを自動で繰り返し、回転数ダイヤルに商が算出されていく。『ハンドルの回転方向が単一』『キャリッジ位置で加算と減算を制御』という特徴がここで生きてくる。余りがゼロまたはキャリッジが左端に着くと計算終了。 pic.twitter.com/LFUvzA2445

2021-04-09 23:00:35
なにがし某 @sovtron

というわけで355÷133の計算結果3.1415929。円周率の近似値!普通の機械式計算機ではちょっと操作がめんどくさい除算を、この機械は自動で計算できるのだ。ハイテク!メインクランクをモーターで回せば電動計算機の完成だ。 pic.twitter.com/cQCu18jeKU

2021-04-09 23:03:26
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なにがし某 @sovtron

Manusはラテン語では『手』とのことで、Manusが出たすぐ後にAutomatという電動のモデルが出てることを考えると、もともと電動化を視野に入れた設計で、Manusは『手動』とかそういうニュアンスなのだろうな。と思う。

2021-04-09 23:04:46
なにがし某 @sovtron

思えば入力ノブが計算時に回らない構造も、電動化するなら必須だな…ノブがモーターで高速回転するとか危険すぎるw 自動除算機能搭載とか割と重要な機械の気がするけど手元にある『美 機械式計算機の世界』では自動除算については全く触れられていなかったので全然知らなかった。

2021-04-09 23:06:33