米盛裕二『アブダクション』読書メモ集

米盛裕二『アブダクションーー仮説と発見の論理』(勁草書房、2007)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

「アブダクションは科学的探究のいわゆる「発見の文脈」(the context of discovery)において仮説や理論を発案する推論であり、帰納はいわゆる「正当化の文脈」(the context of justification)において、アブダクションによって導入される仮説や理論を経験的事実に照らして実験的にテストする操作」

2021-04-14 15:58:35
荒木優太 @arishima_takeo

米盛裕二『アブダクション』p12。

2021-04-14 15:59:02
荒木優太 @arishima_takeo

ローレンツには「現代生物学の立場から見たカントのアプリオリ論」という論文があるらしい。先験的なものを唱えるときカントは生物学に依拠しなかったが、現代においては、進化心理学ふくめ、生物学によってカント哲学の代わりが演じられているのかもしれない。

2021-04-17 13:33:37
荒木優太 @arishima_takeo

あ、そうなんですか。それは失礼。 twitter.com/katatemaru/sta…

2021-04-17 14:16:46
amtn @katatemaru

@arishima_takeo 実は、カントにおいて先験的なものと、当時の生物学は非常に密接に関わっているんです…。それが「理性の後成説」です

2021-04-17 14:06:53
荒木優太 @arishima_takeo

「帰納の拡張的機能は経験から一般化を行うことであり、アブダクションは科学的仮説や理論を発案し発見を行う拡張的推論です」(米盛裕二『アブダクション』35)。ふむ。

2021-04-17 15:51:30
荒木優太 @arishima_takeo

諸物体の落下の現象をどれだけ周到に観察し一般化してみても、創造的想像力、仮説的思惟の働かないところでは、直接には観察不可能な「引力」という理論的仮説的対象というものを考えつくことはできないでしょう。by米盛裕二『アブダクション』38

2021-04-17 15:56:16
荒木優太 @arishima_takeo

「しかし事実を集める場合、われわれは何の考えも目的もなく、求められる事実の意味も考えずに、ただ無方針に事実をあれこれ集めることはしないでしょう」(米盛裕二『アブダクション』159)。それな。

2021-04-17 16:29:55
荒木優太 @arishima_takeo

米盛裕二『アブダクション』読了。途中まで読んで、これ前読んだけど途中で放棄した奴だな、と気づいた。なんにせよ今回は興味深く読み終えた。帰納とアブダクションの差異はもちろん、アブダクションを二つの段階に分けて理解する(閃き的な洞察のターンと選択的な推論のターン)も明快に解説。

2021-04-17 22:21:37
荒木優太 @arishima_takeo

パースのいうアブダクション的閃きは、天才的な神来(インスピレーション)というより、本能、進化論によって根拠づけられているというのも膝を打った。プラグマティズムと進化論でいうとどうしてもデューイの印象が強いが、パースも当然進化論以後の哲学者だったな、と。

2021-04-17 22:25:05
荒木優太 @arishima_takeo

あと、いまさらだけど勁草書房の造本いいね。プラグマ系の堅いものを読もうとして最近よく手にするが、法政大学出版局より好きかもしれん。

2021-04-17 22:28:07
荒木優太 @arishima_takeo

勁草はカバー外して読むのがいい。反対に法政はカバーのままが読みやすい。

2021-04-17 22:30:34