- laytooooon
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小麦
@laytooooon
アルバトロ、花殻の隙間を新緑で縫った枝を剣に、とりどりのペンキに錆の覗くジャングルジムを城に、世界は君のものだった。抜けた青も、追いかける茜も、微笑む明星も、クリスマスの一番星のように君の手の中にあった。アルバトロ、君の世界が誰かの世界になったこと、僕ら怒っていいんだ。
2021-04-22 20:03:05
小麦
@laytooooon
アルバトロ 煉瓦に土、泥にアスファルト。君の革靴が叩くそれは総じて「道」と呼ばれるけれど、きみは昨日歩いた道の色を思い出せるかい。前だけをみて、ここではないいつかのどこかをみて、それでも僕らの足は道にいるんだ。アルバトロ、下を向いたっていいんだ。
2021-04-30 22:34:51
小麦
@laytooooon
アルバトロ、それでも道はきみのもの足りえないのだ。蹲ってしまえば必ず誰かが責め立てにくるのだ。きみの濡らした苦しみも悲しみも明日になれば忘れ去られていくのだ。アルバトロ、きみはきみの行為を記憶に動く革靴を見つめるのだ。
2021-04-30 22:47:49
小麦
@laytooooon
アルバトロ。シャッターの半分降りた花屋に射し込んだ西日に、舞った埃は反射すること。月を求めて見上げた空に、とっぷりと雲は紺の絵の具を撫で揺蕩うこと。僕らそんな美しさを言葉にできず抱え込むんだ。アルバトロ、いずれ忘れゆく落胆の美しさ、どうか愛してほしいんだ。
2021-05-26 21:30:47
小麦
@laytooooon
アルバトロ、蜘蛛の巣のような言葉たちの上で僕ら踊らされていること、きみは誇っていいよ。悪意ばかりの粘性を纏って死を待つばかりのものたちを踏み越えて、たったひとすじ落とされた救いを見誤らないで、面皰から手を離したきみの、澄んだ感情を。煙すらたたない有象無象だとしても。
2021-06-03 21:46:28
小麦
@laytooooon
硬いベッドで痛んだ節を無理やり伸ばして、一定の明かりだけを零す小窓を背にして、罪というにはあまりに軽い鉄の鎖を手首に絡めて、時間のとまってしまったかのような日々を、しかしきみはちゃんと老いていくんだ。
2021-06-03 22:14:53