不定期Twitter連載小説「九十九」

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 七十五 カーテン。歴史的に有名な未解決事件のあった建物で使われていて目の前で起きた事件の事をすべて語る事ができる。一度その事を親しくなった人間に語りその人間が本を出したがさっぱり売れなかった。どうやらその事件の真相があまりにも突飛な話なので真実味がないらしい。 了

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 七十四 隕石。数百年前に拾われた隕石だといわれている石。鑑定はされていないので実は本物なのかどうは分かってはいない。石の表面には透明な何かや鱗のような形をした何かが埋まっていて一部では龍石と呼ばれ龍神の化身などと言われている。 了

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 七十三 ゴム製の蜘蛛。人を驚かせる為に作られたのだが持ち主に溺愛され大切にされていたので一度も人を驚かした事はない。どこに行くにも持ち主と一緒だったがその持ち主も近年亡くなってしまい今は百物堂で九十九達とともに暮らしている。 了

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 七十二 コンセント。それ単体では役には立たないので古い物で珍しいという理由で保存されている現在では何もできる事がない。同じ理由で何もできない九十九達と秘密結社を作っており近々何かしらの企てを実行しようとしている。 了

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 七十一 扇風機。本来の機能は失われて久しいがレトロなデザインの為にインテリアとして使われている。本人としては直してもらいたいのだが部品を一から作らないとならずその費用が高額らしいのでその事を持ち主に話せないでいる。ちなみに生まれは明治二十七年。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 七十 靴紐。長い間一緒にいた靴だけが捨てられ今は別の靴に使われている。普通は一緒に捨てられるはずだという話を九十九仲間から聞きどうしてこういう扱いになったのかについて知りたがっているが今は持ち主が変わってしまっているので真相は分からない。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十九 まち針。縫針の事を永遠のライバルだと思っていて事ある毎に対抗心を燃やしていた。しかしとある事件をきっかけにまち針の心情に変化があり今は一方的に憧れている。その事件がどんな事件だったのかが気になるところだがまち針も縫針も決してその事件の事は語らない。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十八 煙草。灰皿とともにコンビを結成して九十九達を笑わせている。二人の息はぴったりで話はとても面白いのだが近頃は煙草の劣化が進み煙草が休む事が多くなっている。持ち主の意向で長期保存の為のパッケージングを行う事になり本人はこれで活動ができるようになると喜んでいる。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十七 輪ゴム。透明な容器の中で保管されていて長い年月を経る事ができ九十九化。容器から出ると劣化が始まってしまうので容器からは出ないようにと九十九仲間から言われているが容器の傍に置かれているクリップに恋をしていていつか外に出て一緒にどこかに出かけたいと思っている。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十六 化石。なんの骨かは分からない骨の欠片の化石の九十九。この九十九と知り合った当初は誰もがなんの化石かを当てようとするが当人も知らないので分からずに終わる。詳細は未確認だが各地で同じような化石の九十九が大量に現れているという情報がある。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十五 素麺。桐箱に入ったままとある一族に二百年以上伝来されている九十九。何やら大層な曰くがあるらしいのだがその内容は伝わってはいないので誰も知らない。ついでに中身の方も誰も見た事がないので今現在どうなっているのかは誰も知らないのであった。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十四。 メタルフラワー。数百年前に海外で作られた物で長い時を経る間に金属を食べて自らの体を大きくさせるという能力を得た。持ち主となった者を気に入ると酷く溺愛するようになり過去には持ち主を助ける為にその力を使って町を一つ滅ぼした事がある。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十三。 折紙。何者にもなってはいない折られる前の正方形の紙で誰が見ても折紙であるとは分からないのだが自分は折紙であると主張している。九十九仲間が一度折ってやろうと言った事があったが折り手が重要だとして断った事がある。いつか理想の折り手に折られる事を夢見ている。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十二。 蚊帳。九十九になってからも持ち主の家族から愛されていて大切に使用されている。季節に関係なく部屋の中に吊るされているが話ができるのでついつい家族と長話をしてしまう為に夜寝る時だけは畳まれてしまう事がある。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十一。 鉄棒。正確には元鉄棒。現在は壁に立てかけられているだけなので見た目は二本の棒が付いているただの棒にしか見えない。本人もその事を気にしていて事ある毎に誰に言うともなく自分が何者なのかを語っている。その語り口調は独特で面白いので九十九仲間からは人気がある。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 六十。 畳。九十九だと気付かれてはいけないと思い九十九化してからも長い間ただの畳のふりをしていた。百物堂に来てからは畳の九十九として過ごしているが人が店内に入って来るとついつい畳のふりをしてしまうらしい。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十九。 靴下。高名な者の持ち物だった為に長い間保管され九十九化。長い間使用されていなかった為に自分が何者か忘れていたが九十九仲間から教えられ自身が何者か思い出した。自身が靴下だと思い出してからは履かれたいと思っているが貴重な物なので誰も履いてはくれないのだった。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十八。 オートバイ。輸入された物なのだが長い間日本にいるので流暢な日本語を話す。色々な場所に行き色々な物を見て来たが乗り物にしか興味がなくその知識は偏っていて他の事はほとんど覚えてはいない。しかし自身に一番最初に乗った人間の事だけはしっかりと覚えている 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十七。 薬缶。九十九になった後も百物堂で使われているが火にかけられる事が嫌いで火にかけられそうになると怒って中の水を全部捨ててしまう。この薬缶の事を知らない者が火にかけようとして周囲を水浸しにしてしまう事があるのでこの薬缶には火気厳禁という札が貼られている。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十六。 釦。五人兄弟だったが使わていた服が捨てられる時に皆ばらばらになってしまった。各々が各々を探しているが未だに誰も再会してはいない。長男と末っ子が一番上の釦と一番下の釦として再び使われていた事があったが本人達は気が付かずまた離れ離れになってしまった。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十五。 チラシ。あまりにも古い為にもう何が書いてあったのかは分からない。自分自身も何も覚えていないので自分がなんのチラシだったのかを知っている者がいないかと新しい九十九仲間に会う度に聞いている。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十四。 表札。九十九化している今も使用されている珍しい物。話好きでうっかりその家を訪れた人に話しかけそうになるが驚かれ逃げられた経験がある為に昨今は話しかけないようにと必死に堪えている。この家に住む者達は九十九化している事を知っているので普通に話をしている。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十三。 釣竿。種々様々な魚を釣り上げて来た過去を持つ。古くなり傷んで来た為に、使用されなくなったが家宝並みの扱いを受けていた。魚釣りの事なら、大抵の事は知っているので、何かあったら聞くとよいだろう。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十二。 下駄。新品のまま売れ残りそのまま九十九化。誰にも履かれた事がない為に、九十九になる前の思い出が何もない。九十九化したばかりの頃は、思い出を作ろう考えて頑張っていたが、現在は今を楽しもうと考えを改めている。 了。

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 五十一。 点袋。持ち主の家族が突如としていなくなり、使われずに九十九化。その家族を探している時に、九十九が関わっていると知り、今はその九十九を探している。家族を探していた経験から、人探しや物探しが得意になり、頼まれれば探偵のような事もやってくれるらしい。 了。