不定期Twitter連載小説「九十九」

「いたたたっ」というPNでやってます @NFulA3rhf52bpQb

「九十九」 九十九 私。実は私自身が九十九だった。九十九達と接している間に気が付いてしまった。九十九神の事を記録していた記録帳が私だったのだ。 今回で最終回です。 読んでくれた皆様に心からの感謝を。 ありがとうございましたヽ(=´▽`=)ﾉ

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「九十九」 九十八 虫眼鏡。持ち主が子供の頃に使っていたが成長していくに従い使わなくなり持ち主が老人になると再び使われるようになった。使われるようになり喜んでいるが年を取った持ち主が弱っていくのを見るのが辛いと九十九仲間にはこぼしている。 了

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「九十九」 九十七 亀の餌。いつからあるのか分からないほどに古い。あまりにも古いので歴史的に価値がありそうだと思い持ち主は捨てられないでいる。ちなみに容器は木箱で墨で亀の餌と書かれているが中を見た者はいないので餌がどうなっているのかを知る者はいない。 了

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「九十九」 九十六 床柱。今はもう使われてはいないが材質が高価な木材なので保管されている。もう一度使われたいと思い人が近くに来る度に話しかけているがその事で怖がられ余計に使われなくなっている事に自身は気が付いてはいない。 了

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九十六 板発条。 ただの金属板にしか見えなかったので現在は壁の一部として使われている。事に酷く不満を持っていて他の九十九達が近付く度に自身の境遇について語り板発条らしく生きる事が夢だと必ず言っている。 了

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「九十九」 九十五 道路。どこからどこまでが九十九か分からない巨大な九十九。一説にはこの国のすべての道路が九十九であると言われている。道路を歩いていて誰もいないのに声をかけられたら気を付けた方がいい。道路の機嫌を損ねて事故にあった事例がいくつかあるのだ。 了

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「九十九」 九十四 骨の化石。どんな生物の骨の化石かは分からないが大きさがとても大きいので何か大きな生物の骨の化石だと思われている。本人には自身が朽ちて行く時の記憶があり自身がどんな生物であったのかを覚えているがその事は誰にも語らない。 了

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「九十九」 九十三 電気行火。怠け者で暖かくなると使用されなくなり仕舞われてしまうのが嬉しいと常々言っている。冷暖房機にとても愛されていて使われている時期は付き纏われているので口では嫌だ嫌だと言っているが冷暖房機に対する態度は優しい。 了

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「九十九」 九十二 蝉の抜け殻。元々は生き物であったので九十九となった今でも自分の事を生き物だと思っている。他にも九十九化している抜け殻達はいて抜け殻だった者同士は他の九十九達にはない仲の良さがある。 了

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「九十九」 九十一 本立て。意匠を凝らした品で一目見ただけでは本立てだとは思えない。本人もその事を気にしていて誰も何も言ってはいないのに唐突に自作の本立ての歌なる物を歌い出し自身が本立てである事を主張し始める。 了

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「九十九」 九十 ウィスキー。かなり古い物でこの酒の存在を知った者達が高額でこの酒を売って欲しいと持ち主に頼むほどの品なのだが酒自体が九十九なので持ち主には売る気がない。持ち主は別の酒を飲みながらこの古酒と語り合う時間を何よりも大切にしている。 了

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「九十九」 八十九 簓。長い間使用されていたのでかなりぼろぼろ。まだまだ現役だと自分では思っているが持ち主はこの簓に特別な思い入れがあるようで今は新しい簓を使っている。まだ九十九化していない新しい簓に嫉妬しつつも持つ主の為を思いいつも新しい簓に優しい言葉をかけている。 了

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「九十九」 八十八 薬莢。自身が砲弾の一部分である事をずっと悩み続けている。いつどこでどういう意図で使用されたのかを覚えていないのでその事も含めて撃ち出された弾頭がどこに行ったのかを探しており知らない九十九仲間に出会う度にその事を聞いている。 了

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「九十九」 八十七 たわし。植物繊維でできている部分がかなりなくなってしまっている為に使われなくなったが本人は使われなくなった事に安堵している。現在は百物堂で掃除用具達と毎日のんびりと何もせずに暮らしていてその生活を楽しんでいる。 了

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「九十九」 八十六 衣紋掛け。ハンガーとはライバル関係でお互いに自身の利便性などを主張しあっているが持ち主が喧嘩をしないようにと両方を使うようにしているのであまり意味がない。掛けられる服達はその事を知っていて温かい目で二人を見守っている。 了

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「九十九」 八十五 昆虫標本。二十匹ほどが同じ標本の中にいていつもがやがやとうるさい。なんの話をしているのかと聞き耳を立てると気配を察知して黙ってしまう。それでもあれやこれやと工夫して話を聞いた者の談によると標本の中の一匹がした悲恋の話で盛り上がっていたらしい。 了

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「九十九」 八十四 釘。錆びていて途中で折れ曲がり先端も尖ってはいない為にもう釘として使用される事はないが糠漬に使われているので本人はとても幸せにしている。最初に糠漬に釘を入れた人間にとても感謝をしていて糠漬の外にいる時には何かとその事を口にしている。 了

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「九十九」 八十三 羽毛。とても古い物なのだが真っ白で美しく汚れや傷が一つもない。明るく優しい性格をしていてなんでもよく話すが自身の事だけは決して語らない。一度この九十九の事を知っているという九十九が現れこの九十九の事を天使の羽根だと言っていたが誰にも信じてもらえなかった。 了

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「九十九」 八十二 着物。継ぎ接ぎだらけだが未だに使用されている。不思議な力を持っていて着ている者の身を護ると言われているがそれが真実かは分からない。背中に大きな染みがありそれは着ていた者の血だと言われていてその時にあった何かのせいで不思議な力を得たとされている。 了

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「九十九」 八十一 石臼。いつから存在しているのか分からないほどに古く今でも現役で使われている。昔の貴重な話を聞けるだろうと思い石臼の所に来る者は多いが寡黙でほとんど喋らないので話を聞きに訪れた者達は皆落胆して石臼のもとを去って行く。 了

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「九十九」 八十 鬘。かなり古い物で実際に使う事はできないが歴史的に価値があるという事で保管されている。空気に触れると劣化するという理由から密閉容器の中に入れられていて壊れて消えてしまってもいいので容器の中から外に出たいと本人は思っている。 了

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「九十九」 七十九 栞。本に挟まれている感触が好きで今も本に挟まれまま保管されている。今まで挟まれたページの内容はすべて記憶しているが断片的な物過ぎてなんの本のページの内容なのかはほとんど分からない。 了

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「九十九」 七十八 眼鏡。江戸時代から伝わる物で持ち主の一族に代々引き継がれていた。大切にされており破損した事が一度もなくレンズとフレームの二人の九十九は一度も離れた事がない。近いうちに百物堂に売られる予定で二人は持ち主の一族がもう誰もいなくなった事を悲しんでいる。 了

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「九十九」 七十七 からくり錠。複雑な機構を備えていて鍵穴の位置すらその機構を理解しなければ見付ける事ができない。現在は鍵が家出してしまっている為に開ける事ができないが何かに使われているわけでもないので誰も鍵を探してはいない。 了

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「九十九」 七十六 フィルム。映画のフィルムらしいのだが一部分しかなく景色しか映っていないのでなんの映画のどんなシーンなのかは分からない。本人はこの景色は主人公の心情が表されている作中でもっとも重要なシーンだと言っているが誰が見てもその事もさっぱり分からない。 了