#34 幸福な死を

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｢…ちょっと、大人気ないですよ。｣ pic.twitter.com/hgfW9Uxav5

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｢アハハ、ごめんネ。｣

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そこに居たのはあいまだった。

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｢あいま……！｣ ｢やァ。来ちゃっタ。｣

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あいまはにこやかに一欠片のドーナツを食べながら僕の隣へと座った。

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あいまの手をぎゅ、と握る。 慣れたその感覚に、心は少し落ち着いた。

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｢そうか、お2人は仲良しでいらっしゃるのですね。｣ ｢ウン、そうだヨ。聞ク？お兄さん達の馴れ初メ。｣

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｢……あぁでは、聞いておきましょう。というか貴方が話したいだけでしょう？｣ ｢ハハ、バレた？｣

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あいまは楽しそうに僕達の出会いを話し出す。

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僕はそれを聞きながら、ようやくドーナツに1口目をつけた。

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｢殺させ屋……。｣ pic.twitter.com/wYxYbFdqPp

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路地裏でたまたま見つけた貼り紙を見上げる。

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自分の目線よりも少し高い位置に貼られたそれは、多分僕くらいの歳で見るべきじゃないんだと思う。

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でも僕にはそれが必要だった。

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住所をメモするために視線を落とすと、 ふ、と自分の影が大きな影に隠れた。

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｢君、こんなとこで何してるノ？｣

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｢ひっ……｣ pic.twitter.com/tbIVfmPURf

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上から片言交じりの声で話しかけられ、驚く。

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1人で出かけていたことがバレて怒られるかと思った僕は焦って声の主の顔を確認する。

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｢アァ、怖がらせてごめんネ。｣

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｢こんにちハ。小さな子どもがこんなところで何してるんだイ？｣ pic.twitter.com/5SvnD8RGQR

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黒マスクで、少し片言で、こんな平日の昼間からラフな格好で、路地裏にいる子どもに声をかける。

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状況を整理し、僕の中のその人への警戒はマックスに達した。

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でも、僕の心のどこかはその人に惹かれていた。