四の舟×おろし丸による 『スケッチブック リレー小説~梶原姉弟編~』

スケッチブックの知識必須。姉弟の思い合いモノ。
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焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 夜は、嫌いじゃない。昼みたいに人も外を歩かなくなり、静かな世界がそこには広がっている。夜の風をそっと部屋に入れると、それだけで心が落ち着くようなそんな気持ちになれる。

2011-08-05 21:40:07
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 涼しい風の流れる部屋でやることと言えば、学校で出された課題を片付けたり、ブレイドをよんだりと、あまりいつもと変わらない。ところが今日は違う。鳥飼さんから電話があって、小一時間ほど電話をしていたのだ。

2011-08-05 21:45:45
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE あの時の事を思い出すと、今でも胸がとくんとくんと高なる。鳥飼さんの家にいって、何が起こったか。それを思い出すだけで心の中に温かいものが満ちてくる。

2011-08-05 21:47:51
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko あれから毎日会いたいと思っていても、お互い学校もあるし、鳥飼さんには部活もある。そういうわけで、時々こうして、鳥飼さんと電話をするようになっている。会って話せなくても、こうすれば鳥飼さんとおしゃべりくらいはできるのだ。

2011-08-05 21:50:00
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 電話をしている時は、本当に時間を忘れる。話す内容は別に変った事ではない。学校でこんな事があったとか、最近の部活についてとか、本当にごくありふれた日常を聞いたり話したりしている。それだけで嬉しいのだ。

2011-08-05 21:53:08
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko ただ、会って話すのと同様に、電話の会話もさよならしなければいけなくなる。もっと話していたいが、あまり電話代をかけられない鳥飼さんの事情もあって、この日も五十分くらいで電話を切った。

2011-08-05 21:54:51
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「はぁ……」どんな状況であれ、さよならしなければならないと言うのはつらいものだ。電話であれ直接会う事であれ。だがそれはどうしても避ける事の出来ない、代えられないものだった。

2011-08-05 21:58:00
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko まだまだ話していたいのか、僕は電話の子機を離せていなかった。右手に持ったまま、ベットに大の字になって天井を眺めていた。その時だ。部屋の扉がノックされ、(あお~。電話、終わった?)と、姉ちゃんがひょいと顔を出した。

2011-08-05 22:01:16
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「あ、うん、終わったよ」ぽん、と姉ちゃんに子機を渡した。「ん、ありがと」そう言う姉ちゃんの顔は、どこか妙に寂しそうでもあった。

2011-08-05 22:03:12
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「なんかあったの?姉ちゃん」 尋ねてみても、姉ちゃんは(なんでもない・・・)と言うばかりだ。いつも静かな姉ではあるが、妙に今日は寂しそうな感じがある。すると、姉ちゃんが聞いてきた。(・・・あお。 鳥飼さんとはどう?)

2011-08-05 22:06:27
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「え、いや、まぁ……順調、だよ?」詳しくいうのも恥ずかしいが、かと言って答えないのも姉ちゃんには悪い。ならばここは適当な言葉を選んで伝えれば良い。 想えば自分が鳥飼さんと付き合う事になったと知った時から、姉ちゃんはどこか寂しそうだったが…まさか、ね

2011-08-05 22:08:33
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「・・・姉ちゃん」 (なに?) 「ひょっとして、寂しいの?」 (!) 「あっ。痛い。痛い、ポコポコ叩かないで」 (むー) 「・・・ねえ、やっぱ姉ちゃんどうしたの? ちょっと様子がちがうけど」 (あおの、いじわるっ) ぷーっと、姉ちゃんが頬を膨らませた。

2011-08-05 22:12:00
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 何だかその表情は、こういっては失礼なのかもしれないけれど、異様にかわいらしく見えた。(長電話ばっかりしちゃ、いやだからね)「はいはい…」姉ちゃんは子機を受け取ると部屋を出ていった。

2011-08-05 22:13:41
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko なんなんだ一体と、思う。僕が鳥飼さんと付き合い始めて、たしかに姉ちゃんといる時間は減ったかもしれない。だが姉弟なんだから、そんなに寂しいとは思わないんだけど・・・。 コンコンッ また部屋がノックされた。 (あお~。お茶淹れてきたよ)

2011-08-05 22:18:29
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「あ、ありがとう」それでも、一緒にお茶を飲む事は続けている。お茶が大好きな姉ちゃんの影響で、自分自身もこの年にしては結構お茶にも詳しくなれた。

2011-08-05 22:21:09
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko ズズーッとお互いお茶を飲んでいる時は、心地よく静かで心地よい空気が流れる。僕は姉ちゃんとお茶を飲む時が大好きだ。湯のみの中身が半分ほどに減った頃、姉ちゃんが言った。 (・・・あお) 「なに?」 (鳥飼さんの事、大好き?) 「・・・・・・好きだよ。心から」

2011-08-05 22:31:06
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そう言うのは少々恥ずかしかったが、だがこの気持ちは変えられない。まあこれ以上好きになっていくだろうとは思うが、今はこの言葉が一番彼女への想いを表していると思う。ただ問題は何で姉ちゃんがこんな質問を僕にしたのだろうか、という事だ。

2011-08-05 22:33:19
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「・・・どうして、そんなこと聞くの?」 (・・・・。) 姉ちゃんは黙ったままだ。姉ちゃんが湯のみを置く。すると、ベットに腰掛けている僕の前まで来て――僕をやさしく抱きしめた。 「ね、姉ちゃん!?//////」 (・・・あお、大きくなったんだね)

2011-08-05 22:39:37
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 鳥飼さんとも違う、それでも心地よい温かみを全身で感じていた。思えば最後に姉ちゃんにこんな風に抱きしめられたのはいつだっただろう。(いつの間にか、こんなに大きくなってたんだね)思えば、確かにいつの間にか身長ももうすぐ追い越してしまいそうなぐらいになっていた

2011-08-05 22:41:48
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 懐かしい姉ちゃんのぬくもり。家族で暮らしていても、こうやって抱きしめてもらったことなんていつ以来だろう。それでも、姉のぬくもりは今も昔も、温かく、力強く、やさしいものだった。 (あおも、人の事を「好き」になれるようになったんだね・・・)

2011-08-05 22:47:33
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「姉、ちゃん…?」(なんだろうね……あおが大きくなっていくのは凄い嬉しいし、鳥飼さんに素敵な恋人が出来たのは嬉しい……でも……)そう言う姉ちゃんの声は震えていた。声だけじゃない。抱きしめている腕もフルフルと震えていた。

2011-08-05 22:50:04
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko (でもね・・・・寂しいんだよ) 姉ちゃんの抱きしめる力が強くなった。「ねえちゃ、苦しいよ・・・!」 (あお、どっかいったりしたら、やだよ・・・) 「・・・! わかってるよっ!」 (・・・・ほんとに?) 「だって、姉ちゃんは鳥飼さんじゃないよ!」

2011-08-05 22:58:32
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko (あおって、昔と変わらないね) 「えっ?」 (あったかくて、力強くて、優しくて・・・) 「なんか、俺と同じこと言ってるね」 (でも・・・・) 「んっ?」 (ちょっと、大人になったんだね)

2011-08-05 23:14:22