【ORIRONPA🎮404】Chapter 3（裁判後編）

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▶「さて。今回も恒例、シロとクロの身の上話をさせて頂きます。事件に関わった以上、彼らの秘密も明かさねばなりませんね」

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▶「…ああ、そうだ。香水の件でシロとなった未更様については、裁判で既に話しているので一つだけ…」

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▶「未更様はまだ何か、大切なことを皆さんに対して隠しているようですよ。…いえ、偽っている、と言った方がいいでしょうか」

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▶「彼の真のジョブは…交渉人ではなく盗賊。こうしてバレた訳ですし、これからは盗賊様とお呼びしなくてはなりませんね」

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▶「…ふふ、それでは本番です。まずは超高校級のトレイサー、ニンジャこと『天海翔』様」

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▶「弟の天海渉様がいる関係で、彼は四人家族の長男でした。お父様は酒癖が悪く、日常で抱えるストレスを暴力という形で彼にぶつけていました。彼は兄だからといつも弟様を守り、代わりに痛い思いをしていたのです。しかしある日、皿の割れる音に不快感を覚えたお父様は破片で彼の顔を傷つけ始めます」

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▶「気の弱いお母様は泣くばかり。お父様に反抗した弟様は首元を刺され、それを見た彼は思います。家族を守らなければと。そして衝動的にお父様の頭部を酒瓶で殴打。正当防衛にはなったものの、二人の息子を一人で養うことになり疲弊していくお母様を見ていられず、彼は自ら親戚のもとへ引っ越します」

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▶「例の件の影響で先端恐怖症になった彼。中学校に転入しても傷のことばかり指摘され、彼は不登校になりました。紙袋を被り顔を伏せるようになり、ネットで知ったパルクールを持ち前の運動神経でマスター。動画サイトに投稿したことで人気パルクール配信者となりました。これが才能の所以ですね」

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▶「弟様の傍にいられなくなった彼は、才能を認められた後でも弟様のことを心配し、また笑ってくれるよう願っていたそうです。その願いが叶う日が果たして来るのか、そこまでは私も知りませんけど」

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▶「次に。才能を思い出せないと語る、裁縫師こと『福間鈴蘭』様」

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▶「彼女は御婆様のもとで育ってきたおばあちゃん子でした。教えてもらった遊びの中で、彼女が一番のめり込んだのは裁縫。彼女が服を作ったり刺繍をしたりすると、御婆様や親戚は褒めてくれました。それが嬉しくて、彼女は綺麗な服を沢山作りました」

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▶「しかし彼女が中学生の時、ずっと一緒だった御婆様が亡くなってしまいます。そのことで彼女は深く悲しみ、大好きだった裁縫もやめて塞ぎ込みました。そんな彼女を不憫に思ったのでしょう、親戚の女性は彼女に依頼しました。自分が結婚式で着るドレスを作って欲しい、と」

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▶「不思議とそれを作っている間だけは、御婆様を喪った悲しみを忘れられたそうです。少しずつ完成していくキラキラと輝くドレス。それと同時に彼女は、御婆様との思い出を次々と思い出します。彼女にとっては、それが人生で最も幸せな出来事となりました」

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▶「…ああ。このままだと何だかいい話で終わってしまいそうですので、少し付け加えさせて頂きますね。彼女は才能を忘れた、と言っていますが…決して忘却した訳ではありません。私から言えるのはそれだけです」

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▶「そして最後。超高校級の切手デザイナー、旅人こと『寿彩春』様」

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▶「彼女は生まれつき、上手く記憶を保持できない病気を持っていました。新しいものを一つ覚えると、記憶の中の古いものを一つ忘れる。それが楽しい思い出であったとしても。それが嫌だった幼い頃の彼女は、写真や日記と、あらゆるものを駆使し記憶を形にして残そうとします」

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▶「しかしどれも、赤の他人の過去を見ているようで虚しくなり失敗。諦めかけていた時、何気なく見つめた切手に彼女は目を奪われました。そして切手をひとつの作品として、素敵なものを閉じ込めておけるものとして扱い、それの中に自身の思い出を描くようになります。才能を得る切っ掛けでしょうね」

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▶「切手デザイナーとして認められた時の衝撃と喜びは今でもハッキリと覚えているようで、彼女は過去ばかり振り返るのをやめ、明日を、未来を見ようと考え方を変えました」

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▶「…もっとも、今の彼女は自身が切手に思い出を描くようになった理由さえ、忘れてしまっているんですけどね。切手が作品として残れば、覚えていたかったものをいつかふとした時に思い出せるかも…なんて、微かな期待をして始めたようです。実際思い出せているんでしょうかね」

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▶「負傷者の狩人様は生きていますから、重大な秘密はバラさないでおきましょう。ひとつ言うことがあるとするならば…彼は男らしくとか女らしくとか、そういった概念がとても嫌いなようです」

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▶「…以上、それでは。無意味な命乞いと遺言の時間です」

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▶【発言可能】

二嶋 凪 @recorder_404

「…………一応遺言なんだから…無意味って言うなよ……(目を逸らしつつ小さい声で呟き)」

踊り子 @404_dancer

「……………(話を聞き終われば首を傾げつつ。視線を無造作に2人に移して)」