fMRI effective connectivity: DCM vs. GCA

fMRI effective connectivity解析の双璧であるDCM (dynamic causal modeling)とGCA (Granger causality analysis)。その両者の違いを適当に呟いてみました。
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@vikingjpn

昨夜、DCMをちょっといじってみた。SPM公式サイトで提供されているサンプルデータで走らせてみたんだけど、大体予想通りの挙動と展開。個人的にはSPM上でしかDCMが走らない点に不満を覚えた。独立したtoolboxを提供してくれればいいのに。SPMへの囲い込み意図ありあり。

2011-08-12 12:41:00
@vikingjpn

何というか、fMRIを使う研究者にとって大事なことは、(例えば)SPM / BVQX / FreeSurfer / AFNI etc.というようなプラットフォーム依存のデータ解析に固執せず、生データを抽出して自ら(例えば)matlab上などで処理できることだと個人的には思う。

2011-08-12 12:42:44
@vikingjpn

さもないと、SPM vs. BVQXみたいにプラットフォーム固有の特性や制限に縛られた中でしかfMRI研究を進めることができないからだ。「DCMしかやったことがない」とか「GCAしかやったことがない」なんて研究者が多いのはおかしい。

2011-08-12 12:44:55
@vikingjpn

GCAはGoebel(というかRoebroeck)一派以外にもSethみたいな傍流がいてtoolboxまでリリースしているので、生fMRIデータから始められる環境が整っている。けれどもDCMはSPMというブラックボックスの中でやるしかない。

2011-08-12 12:47:12
@vikingjpn

結果的に、DCMは「SPMに付属していたからただやってみました」的研究が多くなってしまい、その原理的限界や制約、そして解釈について深く考える研究者が少ないまま。これではDCMが正しくその実力を発揮しているとは言えまい。勿論GCA(BVQXベース)にも似たような問題がある。

2011-08-12 12:49:08
@vikingjpn

個人的には、DCMを触ってみて強く感じたのは「ガチガチのモデルベースだな」ということ。入出力は明確に定義しなきゃいけないし、モデル優劣の判別もrigidにやるしかない。そこまで事前に明確にわかるものは、そもそもDCMにかける必要なんて全くないと思うのだが。

2011-08-12 12:50:55
@vikingjpn

ガチガチにmodel-drivenなDCMに対して、GCAはdata-drivenという側面が非常に強い。けれども、Sethのtoolboxなど生fMRIデータからうまくアプローチしていけばmodel-drivenにもやれる。その辺の柔軟性はGCAの方が上回る印象。

2011-08-12 12:52:04
@vikingjpn

ただ、入出力が明確な早期感覚野まわり、で単に特定の要因(認知状態など)がそれぞれのconnectivityにどう影響するかが知りたいという場合には、圧倒的にDCMに分がある(GCAには感覚入力を定義できないという致命的な欠点がある)。

2011-08-12 12:53:50
@vikingjpn

ということでまとめると、DCM=感覚入力から直接たどれる早期感覚野まわりでconnectivityの強弱を知りたい時に使う、GCA=感覚入力とは直接関係しない連合野まわりでconnectivityの条件間変化を知りたい時に使う、が妥当な選択基準だと思う。 #fMRI_J

2011-08-12 12:56:15
@vikingjpn

あと、GCAはbivariateでやると非観測量からの影響が全く否定できなくてハマる可能性がある(というかほぼそれが全部)ので、最低でもmultivariateでやった方が良い。でもそういうことは日本では誰も教えてくれない。海外の誌上論争では散々議論され尽くしてる話なのに。

2011-08-12 13:09:54
@vikingjpn

ちなみにGCAの非観測量からの影響を排除する方法は他にもいくつかあるので、興味のある人はご自分で調べられたし。

2011-08-12 13:10:18
@vikingjpn

ちなみにbivariate GCAが非観測量の影響でぐにゃぐにゃに歪むという話は、一昨年のシカゴSFNでも盛んに議論されてた。Corbettaのところの台湾人?の女の子がmulti-bivariateとかいうネタで発表をしてたらボコボコに突っ込まれてて泣きそうになってたな。

2011-08-12 13:11:57
@moomoo_phd

以前、(multivariate-)GCAネタで発表した際に高名な数学者の先生からボコられました。『GCAは線形データを対象とした方法だが神経データは非線形である。よって数学的に間違っている』と。 RT @vikingjpn GCA http://t.co/uFRaeog

2011-08-12 13:21:39
@vikingjpn

@moomoo_phd 線型性をある程度担保できるようなデータ区間(時系列)に限定して解析する、という考え方がありますね。

2011-08-12 13:23:35
@vikingjpn

@moomoo_phd あと、 http://t.co/wXbX1a5 でもコメントされてますが線型性を持つ子要素に分解して、そちらにGCAをかけるというアイデアもあります。Spectral GCAも一つの解決策です。

2011-08-12 13:27:02
@moomoo_phd

なるほど。でも、どっかの論文でSethもコメントしてた(?)ように、分解(or 変換)すると生理的な解釈が難しくなるんですよね。RT @vikingjpn http://t.co/jVCOAmT でもコメントされてますが線型性を持つ子要素に分解して、そちらにGCAをかけるという

2011-08-12 13:30:19
@moomoo_phd

私もShort sliding windowでやってたんですがね。でも、window幅を変えただけで結果が変わってくるので、どの時間幅が正しいのかの判断も難しいです。 RT @vikingjpn 線型性をある程度担保できるようなデータ区間(時系列)に限定して解析

2011-08-12 13:32:01
@vikingjpn

それはwindow幅をどう決めるかという別の根拠が必要ですね。数学的な理由以外の。RT @moomoo_phd 私もShort sliding windowでやってたんですがね。でも、window幅を変えただけで結果が変わってくるので、どの時間幅が正しいのかの判断も難しい

2011-08-12 13:35:58
@vikingjpn

これも一つ前のお返事と同じで、「なぜその分解を行うのか」という数学・生理学以外の面からの根拠が必要なんだと思います。RT @moomoo_phd でも、どっかの論文でSethもコメントしてた(?)ように、分解(or 変換)すると生理的な解釈が難しくなるんですよね。

2011-08-12 13:36:59
@vikingjpn

とはいえ、いずれnon-linear GCAの確立が求められるのは間違いない話で、それは我々が想像しているよりはかなり早く達成されるんじゃないかというぼんやりとした予感はあります。RT @moomoo_phd

2011-08-12 13:38:34
@vikingjpn

何故なら、いかに非線型な振る舞いを示すシグナル同士であっても、因果関係のあるもの同士を生波形で自分の目で見ていれば何となくピンと来るものだからです。その「ピンと来る感覚」をどう数式化するかが鍵でしょう。RT @moomoo_phd

2011-08-12 13:39:56
@moomoo_phd

それが確立されれば神経科学の分野でも、ものすごく威力を発揮できますね。 RT @vikingjpn いずれnon-linear GCAの確立が求められるのは間違いない話で、それは我々が想像しているよりはかなり早く達成されるんじゃないかというぼんやりとした予感

2011-08-12 13:40:57
@vikingjpn

ああそうか、非線型なシグナル中の「線型だと統計的有意に判定され得る部分をその都度検出して切り出す」アルゴリズムが確立すれば、非常に手っ取り早くnonlinear GCAが実現できるのか。

2011-08-12 13:48:12
@vikingjpn

となると、ある程度Bayseanみたいなことをやれば不可能な話ではないのかも。

2011-08-12 13:48:53
@vikingjpn

GCA談義続き。fMRIのBOLD信号の非線型性は、オーバーシュート10-16秒の間にニューロン活動が過剰に連続で起きることで生じる。よって、GCAを想定する場合は実験課題の繰り返しペースを15秒以上で1回ぐらいまで遅くする必要がある。

2011-08-12 16:37:42