kawaitoshio archive 2017

1
前へ 1 ・・ 119 120
川井俊夫 @toshiokawai1122

まったくクソったれだ。俺らしい年末年始の過ごし方ってやつか。今夜は朝まで死体と飲み明かし、元日が通夜で、2日が告別式。死神ってやつは本当にいるんだ。死はそこら中に溢れ充満している。俺は山ほどの死に囲まれ、それに触れ、生業として生きている。今さら思うことは何もない。

2017-12-30 18:37:56
川井俊夫 @toshiokawai1122

遺体のドライアイスの交換が終わり、縁の薄かった親族は部屋中を舐めるようにして金目のものを探し、こいつは俺が育てた、俺の弟子だったとのたまうクソジジイどもがやはりハイエナようにぞろぞろと登場し、さて、大晦日だ。明日は元日。俺はどちらも家族や友人とではなく死人と過ごす。

2017-12-31 18:05:51
川井俊夫 @toshiokawai1122

明るい夜と長い今か。死は未だ未知のもので、それ故に死者には敬意を払おう。しかし生者のあさましいことよ。たとえ身内であろうと親しかろうと他人は他人だ。その死を自分に都合のいいように解釈し、理解するのはなんと醜く、だが人間らしく可憐でもある。

2017-12-31 18:14:25
川井俊夫 @toshiokawai1122

正式な相続者は一名。彼がこのタイミングで死ぬ事で救われた家族がある。その僅かな貯えで子供の学費をまかない家計は首の皮一枚で繋がった。泣きながら膝を折り、情けない情けない、だがありがとうな、そう呟いていた。反吐がでるよ。彼はあんたを嫌っていた。死は彼が自分自身の為に用意した何かだ。

2017-12-31 18:20:32
川井俊夫 @toshiokawai1122

死者の声は誰にも聞こえない。彼の死が、各々の解釈によって生まれた幻想が、孤独な詩になるのか、いくらかでも共有され、忌まわしく邪な幻想になるのか、俺は知らない。知る必要もない。死者の思惑。そのなにごとかは、解釈するのではなく、ただ受け容れるだけでいい。いつかの別の死のときまで。

2017-12-31 18:36:42
前へ 1 ・・ 119 120