第十話

＿＿＿の箱庭 @kami_bake

「こんな一周まわって笑えもしねぇ滑稽な茶番、ホント冷めるんだけど」

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「勝手に割って入ってきてさぁ、自分で殺したくせに。なんで死んじゃったの～って悲劇ぶって、バッカじゃねぇの？」

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トウテツの言葉が聞こえているのかいないのか、聞こえた上で無視をしているのか。 シナーはトウテツに背を向けたまま、嘲笑う声にすら反応を示さない。

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「……無視してんじゃねぇっつってんだろ」 pic.twitter.com/o2FNztWkVx

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トウテツの帯びる負のエネルギーが増していく。

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「最初はさ、アンタがオレを庇ったのかと思ってマジムカついたわ。」

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ブッ殺してやろうかと思ったしなぁ？なんて付け加えて、宙に浮かんだまま背中に語りかける。

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「でも、違うんだろ？アンタはいつも愛とかなんとかクッソキモいことペラペラペラペラ喋ってたけどさぁ、その実他人を思いやれるような神じゃない。」

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「アンタはどこまで行っても自分勝手。昔も、今も、ずぅっとそう」

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トウテツは、シナーにくるりと背を向ける。

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＿＿否、背にあった月の方を向く、といった方が正しいか。

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「アンタが守りたかったの、コレだろ？」

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トウテツの言葉に反応し、思わず月を見上げてそちらへと身を翻すが、遅かった。 言い終わるころにはとっくに月までたどり着いて、そして。

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「まんまるで、きれいで、昔はなかったのにいつの間にか出来ていた不気味なコレ。」

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「そういやアンタが今みたいなキッショイ性格になったのも、コレが現れたくらいの頃だっけ？」

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「気持ち悪かった。ずっとずっとブッ壊したいと思ってた。」

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そういうと、トウテツは拳を振りかぶって、

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「ブッ壊れろ！！！！！！！！！！！バァーーーーーカ！！！！！！！！！！」

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トウテツの一撃は、月を粉々にした。

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「ッぐ、ァ、…！」

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まるで、自分自身が粉々に砕かれたかのような痛みに、シナーは血を流し、呻かずにはいられなかった。

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ただの鉱物の破片に姿を変えたと思われた月は、さらに細かく、黒く、変色して＿＿＿トウテツに引き寄せられて、消えていく。

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「………アハ」 pic.twitter.com/xrdZWleCD9

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見下ろしたまま、にやりと口角を上げるトウテツを、シナーは見つめていた。

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憎悪のこもった眼で。