第十話

登場人物:シナー、トウテツ スチル担当:うに、ぷお、スモモ
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___の箱庭 @kami_bake

彼はただただ眺めることしかできなかった。

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それは一瞬のことであったし、永遠にもよく似ていた。

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響く衝撃音と砂煙は、彼を現実に引き戻す。

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彼を愛した者の最期の言葉が彼に届いたのか否か、それは最早彼__シナーにしか分からない。

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先刻まで硬直していたのが嘘のように、彼の体は自然と動き出した。

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彼の体が、心が、ゆっくりと。そしてようやく、アレンに寄り添う。

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しかし、全てが遅すぎた。

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アレンはもうシナーを見つめない。言葉を返さない。名前を呼ばない。

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その体ですら、もうシナーの手を握ることもなく、ただただ黒い塵へと解して消えていくだけだった。

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「アレンくん、私、は、」

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__彼はずっと、それはそれは長い間。 ある一柱の神を愛していた。

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愛していた、つもりだった。

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___の箱庭 @kami_bake

愛を知った気になっていた。

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シナーがアレンを愛していたと気が付いたのは、シナーが愛を知ったのは。

2021-08-09 22:19:50
___の箱庭 @kami_bake

最愛のヒトを、失ってからだった。

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「無視してんなよ、なあ」

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___の箱庭 @kami_bake

淡々とした声が、空から降ってくる。

2021-08-09 22:24:29
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けれどシナーは気にも留めない。気にする暇もない。

2021-08-09 22:25:35
___の箱庭 @kami_bake

愛する者をこの手に掛けてしまったシナーは、「アレン、アレンくん、」と小さくその名を呼ぶばかりだった。

2021-08-09 22:26:51
___の箱庭 @kami_bake

「マジでさあ、俺は何見せられてるワケ?」

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