【何系でもない涙】福間健二 #k2fact303
会う人、その苦悩。困っていること、ないわけがなくて、なにか言おうとして、あせって、アヤヤヤ、理解力のない飛行機が雨雲のなかに消える。地名でもある黒い丘は悲しい思い出を次々に釈放する。いい人だ。人からもらったものを役に立てることで自分も役立つ人だ。(何系でもない涙1)#k2fact303
2021-08-12 15:02:54いやがらないタイプ。演じた霧の娘たち。百年も前じゃないが、野生の実を摘んで口に入れると、印象的には時間と距離の役割を逆にするイタズラ顔。錆びた釘の始末とかどうでもいいのはおばあちゃんになったからじゃない。何が寝ている。用途不明の新しい釘だ。(何系でもない涙2)福間健二 #k2fact303
2021-08-13 11:46:08やると決めたこと。だったら、ヒマワリ。急に住むことになった部屋。だったら、掃除と夏の対策。叫び声がした気のする川べりに出てタバコを吸うと節約気味の風と光で原則のパイナップルがやっと熟れている。日が暮れる。資本主義と泣き虫天使。明日はどうなるのか。(何系でもない涙3)#k2fact303
2021-08-14 11:35:11このへんで考えるゾーンは卒業だ。空気の、かすかな変化を感じとる。奪われていくもの。うれしい招待のことも、楽しみの缶詰も、大雨のニュースで知った地名、その感心した読み方も忘れて。川が、人間に対して。だれのかわりに泣いているのだ。未定。数字を求めない。(何系でもない涙4)#k2fact303
2021-08-15 11:54:43うるむ目の前に。雨が反マシーン的に飛ぶ。だれかにとっての水平線の切れはしを思いやることへの共感から。花火。重荷にならない息子になる。背の高い痩せた息子になる。ウイスキーで元気になったぼくにとっての泣き虫天使。けれどもやはり川べりの暮らしはいいですよ。(何系でもない涙5)#k2fact303
2021-08-16 16:54:28朝は、大きな川との合流地点まで。観察小屋がある。かすかに音楽が鳴っているのがわかる。鳥の家族。雲の家族。水と空のあいだのゾーン、でもいまはね。安っぽい葛藤を組み合わせるだけ。気温に関係なくあれこれ腐らせる資本主義。体操する人のじゃまはしないけど。(何系でもない涙6)#k2fact303
2021-08-17 11:34:17火のなかに放り込んで滅ぼさなくてはならないもの。道端にもきみのなかにも。わからない。その火を消さない、力の抜き方。アルコール依存症専用の病棟がある病院の前。泣きやんだ空を入れていまにも完成しそうな絵。わざと裂く。本当の合流地点はもっと遠くにある。(何系でもない涙7)#k2fact303
2021-08-18 11:01:11男性の音、女性の音、風が連れてくるもの。最後は、死者の入った箱の転がる音だ。すこし飲みたいな。では、と店をさがすうちに迷路と性別なしの新しい涙のために見失った人がショーウインドーに映って笑っている。手には、コンビニで買ったビールとチューハイの缶。(何系でもない涙8)#k2fact303
2021-08-19 14:02:39感謝しない街。周囲の何が何に飢えるのか。活気もゆっくりも足りなくて報告はしても発信しない。人は、いる。おいしいそうな漬物を並べた店もある。その裏あたり、飲み放題の焼酎をおいたテーブルの会話も。新顔のぼくたち、慣れていないハシゴを昇るのに苦労する。(何系でもない涙9)#k2fact303
2021-08-20 11:34:06小さな手が命令する系。ハシゴが飢える系。見ていて追いつめられるよりは、何系でもない涙。思いっきり。迷うとしても、密室の谷をすべる重みを骨にくらわないように。外の外、たとえばいつかの苦悩の人が言う。育ちすぎたキュウリとナスとシシトウ、もらってくれよ。(何系でもない涙10)#k2fact303
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