- pascal_syan
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『師匠、助かりました…!ありがとうございます!』 『まだまだ未熟だの』 『す、すみません……油断していました……』 『良いか。あれが四天王の強さだ。……このワシでも、全霊を以てしても仕留め切れんかった。恐ろしいやつよ……』 「いや、お前ならもっとできるよ」 「最強さん??」
2021-09-07 18:40:31『僕は……勝てるのでしょうか……?』 『勝てるか、ではない。勝たねばならんのだ。まずはその聖剣を引き抜き、その力を100%引き出せるようにならなくては』 『……師匠……』 『どうした。今更怖気づいたのか?』
2021-09-07 18:42:19『やはり師匠が抜くべきです。今の僕は……あまりにも無力すぎる!』 「勇者、まさかの弱音!」 「先代が強すぎますもんねー」 『仲間の力があって、ようやくこのほこらに辿り着けた。師匠みたいに、一人じゃ何にもできなかった!今だって、師匠がいなきゃ……今頃……』
2021-09-07 18:44:08『馬鹿者!』 『うぅ……』 『確かに今のお前は弱い!魔物の子を見逃すほどの甘さもある!だが……そんなお前でなくては、救えないものがあるのだ。だからお前は進まなくてはならぬのだ……!』 『僕にしか、救えないもの……?』
2021-09-07 18:47:24『お前は他人のために笑い、泣き、怒ることができる。弱いが故に、弱い者の気持ちを理解し、尊重し、手を取り合うことができる。……ただ強いだけでは、全ては救えぬのだよ』 『師匠……』 「先代勇者、穏やかな表情です」 「そんな顔するんだあ……」 「対して、最強さんは複雑そうな表情です!」
2021-09-07 18:49:10『大丈夫だ。お前は必ず強くなれる。このワシが言うのだから信じろ。そして進むのだ!』 『……はいっ、師匠っ!やってみます!!』 「反吐が出るような綺麗な展開です。師弟愛と言うものでしょうか。素晴らしいですね、最強さん!」 「そうですねー。はい。」
2021-09-07 18:51:33『ワシは行くぞ。儀式の邪魔だからな。聖剣はお前の心にきっと応えてくれるだろう。……では、さらばだ!』 「先代勇者が颯爽と退場しました。さあ、あとは勇者が聖剣を抜くだけです。」 「どうあがいても勇者は誕生しちゃうんですよね。」
2021-09-07 18:53:08『僕にしか救えないもの、か……』 「師匠の言葉を反芻するように呟きます。彼にしか救えないものとは一体何なのでしょうか?そんなことより聖剣の抜刀が間近です!皆様ご注目ください!」 『……聖剣よ……!我を選びたまえ!』 「いったあああーーーーーーッッッッッッ!!!!」
2021-09-07 18:55:57「凄まじい閃光!聖なる力が溢れます!!遠景カメラの映像もご覧ください!世界樹が!光っています!それはそれはもう!忌々しいほどに光っています!!!」 「眩しいですね。」 「勇者誕生ッ!勇者誕生ですッ!聖剣抜刀成功です!おめでとうございまあああす!!!!!!死ね!!!!!」
2021-09-07 18:58:03「さあ!神々しく光る聖剣を手に!勇者が!ほこらから出てきました!!仲間たちが喜びをいっぱいにして迎えています!」 「よかったですね。」 「申し訳ありません申し訳ありません申し訳ありません殺してください」 「いや、余、そんな怒ってないって」 「一方、二番目さんは土下座ですっ!!!」
2021-09-07 19:00:01「二番目さん、お疲れ様です。先代の乱入さえなければ……惜しかったですね!コメントを頂いてもよろしいですか?」 「えー……はい。予定なら聖剣を反転させ、魔剣にして奪取する予定だったのですが…全く力が及ばず。本当に悔しいです……」
2021-09-07 19:02:06「しかし、帰り際は爽やかな笑顔を浮かべていらっしゃいました。あの笑みにはどういった意図があったのでしょうか?」 「実を言うと、先代に『爆弾』を仕込みまして。」 「爆弾、とは?」 「フフフ、それはね、爆発したときのお楽しみということで!」
2021-09-07 19:03:40「なるほど!やられっぱなしじゃない、ということですね!?」 「そういうことです。フフフ。」 「いや、無駄だと思うんだけどなあ……」 「何だと!?最強さん、それは聞き捨てならないが!」 「あいつなら耐えるよ。無駄無駄」 「な、なに…!?」
2021-09-07 19:07:45「二番目さんと最強さんによる一触即発の空気が胃に効いてきました。そろそろ生中継もお開きとしましょう。今回は勇者誕生の瞬間をお送りしました。次回の生中継は一体どんな内容になるのでしょうか?楽しみですね!」
2021-09-07 19:11:14「実況は私、四天王最弱。解説は四天王最強さんでお送りしました。長時間のご視聴、誠にありがとうございます。魔王城TVでは今後も勇者の行動を追っていきますので、続報にご期待ください。それではまたお会いしましょう。さようなら〜!」
2021-09-07 19:12:43