アメリカ軍の仮想敵航空機事情メモ

アグレッサー部隊の不足と再編成

18th Aggressor Squadron
2007年に仮想敵部隊に転換
64th Aggressor Squadron
1972年活性化
1990年不活性化
2004年活性化
65th Aggressor Squadron
1972年活性化
1989年不活性化
2005年活性化
2014年不活性化
2022年活性化
527th Tactical Fighter Training and Aggressor Squadron
1976年活性化
1990年代不活性化
2020年Space Aggressor Squadronとして宇宙軍隷下へ

米空軍では1970年代仮想敵部隊を複数部隊を設立していたが、冷戦の終焉と共に相次いで不活性化。再び2000年代に2個飛行隊の活性化するも、予算削減を受け再び1個飛行隊は2014年に不活性化。
対象仮想敵国の第4世代機の増加、第5世代戦闘機の登場により1個飛行隊が活性化。

機材はF-5→F-15/F-16と変遷。しかし2010年代から中露でステルス機の量産が確立。対ステルス機対処の訓練需要が増大。
これを受けてこれまでステルス機を保有する通常の戦闘飛行隊が仮想敵を務めていたものを新たにステルス機の専従の仮想敵部隊を設立（活性化）し対応。

民間業者の契約と運用器材
民間業者は政府と契約し、仮想敵機の任務を実施している。
Nahom: F-35s Must be the Aggressors at Nellis and JPARC, Contract AdAir Not Enough
ネリスではドラケンインターナショナルが空軍と契約し仮想敵任務を実施していたが、2022年になり契約解除。
仮想敵としての能力不足による。

導入が進む器材

ミラージュF1

ドラケンなどが購入
今後も中古器材が市場に出回ると考えられるため、導入が続くと
推定。

F-16A/B/C/D

ドラケン、TopAcesが購入
今後、ノルウェーをはじめとするF-35置き換え国から
中古器材が市場に出回ると考えられるため、導入が続くと
推定。

仮想敵機事情（新造）

米国の仮想敵国が低RCSの戦闘機・爆撃機を開発、量産、配備しようとしている。（例：ロシア　Su-57, LTS, S-70、中国　J-20, FC-31）これに加え、近年は極超音速兵器、高度な機動が可能なスタンドオフウェポンなどが登場し、従来の仮想敵役を担ってきたビジネスジェット、第4世代戦闘機等ではそれらを模擬できない飛行領域、特性をカバーできず、十分な訓練ができない恐れが出てきている。

低RCSという点ではF-35やF-22を利用する手段も存在するが、飛行時間あたりのコストが一般的なF-16に対して2～4倍と費用対効果を加味すると重用は難しい。
こうした中で、F-117をモスボールの長期保管から復活させ、運用を行っているが、これも機数に限りがあり、恒久ではない。

したがって、各種兵器の想定する飛行領域に応じた仮想敵機用器材の検討が行われている。

当然だが、これらの検討は費用F-35等を下回ることを念頭にされている。そのため開発・量産コストは極めて低減であることが望ましいこと、機体規模や複雑さがそのままコストに直結するため、コンパクト化、簡素化、つまるところの無人航空機での検討がされている。

このような開発にあたっては、ボーイング・ロッキードマーティンなどの大手に加えて、中小企業の能力を活用するように取り計らいがされており、ＳＢＩＲ制度などを通じて実際に開発を行っている。