新型コロナウイルスとコウモリの関係に関する3つの論文・記事

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influenzer @influenzer3

B系統は世界的に主流となった系統であり、野生動物も扱っていた武漢の海鮮市場を訪れた感染者のサンプルもこの系統に含まれている。A系統は中国国内のみで拡大したもので、武漢の他の市場で感染したサンプルを含んでいる。

2021-09-23 19:34:57
influenzer @influenzer3

・重要な問題はこの2系統がどのように関連しているかだ。もし、B系統からA系統へ、あるいはその逆の方向でウイルスが進化したのであれば、祖先ウイルス(progenitor of the virus)が動物から人へとたった一度だけジャンプした事になる。

2021-09-23 19:34:58
influenzer @influenzer3

しかし、この2系統が別々の起源を持つのであれば、複数回のspillover eventがあったという事になるのだ。

2021-09-23 19:34:58
influenzer @influenzer3

virological.orgのdiscussion forumサイトに投稿された今回の最新の解析結果は、2つの系統をつなぐゲノム(を持つウイルス)の存在に疑問を呈し、後者の仮説(2系統は別々の起源を持つ)を支持するものになっているのだ。

2021-09-23 19:34:58
influenzer @influenzer3

・ウイルス学者のRobert Garry氏によると、今回の知見は、SARS-CoV-2が野生動物売買に由来するものではなく実験室から流出したものだという仮説を、「窮地に追いやるもの(dagger into the heart)」になるだろうと述べた。

2021-09-23 19:34:59
influenzer @influenzer3

しかし、パンデミック初期のゲノムデータが限られている事を考慮すると、さらに検討する必要があるという意見もある。

2021-09-23 19:34:59
influenzer @influenzer3

・「これは非常に重要な研究だ」とGarry氏は述べた。「A系統とB系統が2つの異なった先祖を持っており、2度のspilloverがあったという事が証明できれば、実験室流出説はほぼ完全に排除されるだろう」。

2021-09-23 19:35:00
influenzer @influenzer3

ウイルス学者のDavid Robertson氏は、「今回の知見は、SARS-CoV-2が少なくとも2回以上人間社会に入り込んできた(at least two introductions)、と考えれば説明できる」と述べた。

2021-09-23 19:35:00
influenzer @influenzer3

・A系統とB系統は、2つのkey nucleotidesの違いによって区別される。しかし、初期ウイルスゲノムのいくつかは、これらの違いを組み合わせで持つものがあった。研究者らはこれまで、このゲノムを2つの系統をつなぐ進化の中間過程だと考えてきた。

2021-09-23 19:35:00
influenzer @influenzer3

しかし、今回の解析に携わった研究者らは、これらのゲノムを詳細に解析した結果、いくつかの問題点があることに気がついたのだ。

2021-09-23 19:35:01
influenzer @influenzer3

・彼らはオンラインのGISAIDに登録されている1716件のゲノムデータを解析し、このような中間体(intermediate)を38件特定した。

2021-09-23 19:35:01
influenzer @influenzer3

しかし、これらの遺伝子配列を詳細に調べた結果、ゲノムの他の領域にも複数の変異を持っており、これらは明らかに(definitively)A系統あるいはB系統のいずれかに関連したものであった。

2021-09-23 19:35:02
influenzer @influenzer3

これはこれらのウイルスが、2つの系統の中間体(intermediate stage)であるという仮説を否定するものである、と彼らは述べている。

2021-09-23 19:35:02
influenzer @influenzer3

・著者らはこれら中間体のゲノム解析の際に、2つの変異の1つの配列決定の過程で、実験室あるいはコンピューターレベルでのエラーが発生したのではないかと推測している。

2021-09-23 19:35:02
influenzer @influenzer3

「調べれば調べるほど、これら移行期のゲノム配列のいずれも信用できないと思えてくるのです」と共著者のMichael Worobey氏は述べている。

2021-09-23 19:35:03
influenzer @influenzer3

・このようなシークエンスエラーは珍しい事ではない。時々、ソフトウェアは生データの欠損部に間違った配列データを挿入する事がある。

2021-09-23 19:35:03
influenzer @influenzer3

コンピューター生物学者のRichard Neher氏は、「このようなミスは驚くべき事ではない。特にパンデミックの初期では、プロトコルも十分確立しておらず、人々は先を競ってデータを作成していたのだ」と述べた。

2021-09-23 19:35:04
influenzer @influenzer3

・今回の検討にも使用されたゲノム配列決定に関わった研究者の何人かは、Nature誌に対し、この2つのkey nucleotidesを含む配列決定に誤りがあった可能性は低いと述べている。 (続く)

2021-09-23 19:35:04
influenzer @influenzer3

(続き) しかし、今回の研究の著者らは、たとえゲノム配列が正しいとしても、他の部分の配列やサンプルの採取場所により、2つの系統のどちらかに属していることは明らかであると反論した。

2021-09-23 19:37:19
influenzer @influenzer3

共同執筆者のJoel Wertheim氏は、「これら中間体(intermediate)のゲノムが、2系統の移行期のゲノムであるとは考えにくい(very unlikely)」と述べた。

2021-09-23 19:37:19
influenzer @influenzer3

・もしも、ウイルスが動物と人間の間を何度も行き来しているとすると、A系統とB系統は異なる市場を訪れた人から分離されている事から、SARS-CoV-2の先祖ウイルス(progenitor)は複数種の複数の動物から、少なくとも2つの場所で人間に感染し、武漢を経由して広がっていった事になる。

2021-09-23 19:37:20
influenzer @influenzer3

6月に発表された報告では、タヌキやミンクなどSARS-CoV-2に感染可能な動物が、武漢の多数の市場で生きたまま売買されていた事が判明している。SARSに関する過去の検討でも、原因ウイルス(SARS-CoV)の先祖が、動物から人へ恐らく何度も感染していたと結論づけていた。

2021-09-23 19:37:20
influenzer @influenzer3

・研究者らは、既知のSARS-CoV-2の多様性を説明するのに、どの程度の回数のヒト感染(spillovers)がもっとも適合しうるのか、コンピュータシミュレーションを行うことを計画している。 ----

2021-09-23 19:37:20
influenzer @influenzer3

→このA、Bの2つの系統は、かつてはclade 1、clade 2と呼ばれていたものです。 流行初期ではL型、S型とも呼ばれていた事があり、L型がclade 1、S型がclade 2に相当しています。

2021-09-23 19:37:21
influenzer @influenzer3

武漢での流行はほぼすべてL型で、その後の欧州での拡大ではS型が主体となった事から、L型からS型へ変異したと当初は考えられていました。 今回紹介した検討では、2系統に共通の先祖は存在せず、それぞれ独立して人間界に入ってきたのだと主張しているわけです。

2021-09-23 19:37:21