ヴェルヴェット・ソニック #8
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
回転盤は加速！加速する！サロウはさらに速度を上げる！表情は必死の形相、残像を伴い、回転盤を回り続ける。ナンシーは彼を見下ろす。サロウは……「グワーッ！」KRAAASH！暴れ馬から振り落とされるように、弾き飛ばされ、落下し、超自然的な「49」の数字に叩きつけられた！「グワーッ！」 20
2021-10-21 22:55:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「「「ウォアー！」」」群衆めいてトラフィックが歓声をあげた。サロウは「49」のマスで痙攣していた。ナンシーは冷徹にそのさまを見下ろし……ハッとして顔をあげる。テーブルの対岸で前屈みに立つサロウが、「49」の自分を眺め、薄ら笑っている。「確かにな。速いだけじゃダメだ。勉強になるよ」 21
2021-10-21 22:57:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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プレイヤーのサロウが示した先、テーブルには「49」の数字に、天まで届くようなチップが積まれていた。「俺の総取りだな。自分を客観視するのッて、大事だ。オッズはどうなるんだ？」「ンアーッ！」ナンシーは不可視の衝撃に打たれ、後ろへ吹き飛ばされる！サロウは吹き飛ぶ彼女に追いつく！ 22
2021-10-21 23:00:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「TAKE THIS！」サロウはナンシーの頭を掴み、力任せに床に叩きつける！「ンアーッ！」01のノイズが飛び散り、電子亀裂が生じた。オイランドロイドのボディ爆発！ウシゴームのIPアドレスが開示！サーバー解放！「TAKE THIS！」サロウはナンシーの頭を持ち上げ、更に叩きつける！「ンアアアーッ！」 23
2021-10-21 23:03:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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キョート、ガイオン第7層無許可データセンターのIPアドレスが開示！サーバー解放！「TAKE THIS！」「ンアアアーッ！」アラスカ近海の洋上データセンターのIPアドレスが開示！サーバー解放！「TAKE THIS！」「ンアアアアーッ！」経由地が次々に根を上げていく！「見えるぞ！フジサンが！」 24
2021-10-21 23:06:52
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「オイッ！」ターン！01分解しかかったカジノホールの大扉が開け放たれた。勇ましく両手で扉を開き、エントリーしてきたのは、蝶ネクタイと燕尾服、そして「オーディン」と書かれた黒い眼帯で着飾った、くたびれた男だった。歩きながら前につんのめる。その勢いで、テーブルにチップを叩きつけた。 25
2021-10-21 23:10:03
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「まだ賭場は開いてるだろ？ディーラー＝サンよォ！」震える男の眼帯「オーディン」が01ノイズと共に霞み、「TAKI」に変わり、紐が切れて落下した。「オレがゲームに新規参加する！」「プッ。何だそりゃ。内股でビクついちゃって」サロウは振り返り、嘲笑した。「まるで他の狩人の前に居る時の俺だ」26
2021-10-21 23:14:47
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「うるせェな。オレは……そのう」タキは燕尾服を手で擦った。もう２枚、チップを探し出し、テーブルに乗せた。「と、とにかく無視しちゃいけない筈だ！」「許可するわ、タキ＝サン……」床に倒されたナンシーが掠れ声で言った。サロウは肩をすくめた。「あんな奴に任せるのかよ。切羽詰まってるね」27
2021-10-21 23:19:48
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「いつだって切羽詰まってるわ」「大変だね」サロウはテーブルに向かった。そして全ての数字に均等にチップを載せた。「別に何でもいいんだ。タキ＝サンだっけ？その３枚で、じゃあ賭けなよ。YCNANはあンたの友達なんだろうけど、負けたら負けなんだからな」「うるせえな。しっかり決めさせろ」 28
2021-10-21 23:27:17
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タキは電子汗を垂らしながら、３枚をどこに置くか、慎重に見定めようとしていた。サロウはあくびをした。念の為、彼は床で動けないナンシーを確認した。動けていない。「早くしてくれ。俺はフジサンまであと少しだったンだ。YCNANの肉体をゲットするんだぜ」「オレごときにビビってんのか？」 29
2021-10-21 23:35:06
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「何でこんな面倒な事になるんだよ」サロウは舌打ちし、七色遷移の髪をいじった。「早くしろよな」「……ここだ」タキは49にフルベットした。サロウは眉を動かした。「ハ！俺の真似してるの？」「ア？オレはさっき入ってきたばかりだ。さっきの出目なんて知るか。キタノスクエアビル地下4階9号だ！」30
2021-10-21 23:43:09
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回転盤が動き出し、そこへ白球が投げ込まれた。サロウはもう一度、欠伸をした。「こんなの勝負する必要すらないんだよ。俺とあンたじゃ、速度が違いすぎる。このテーブルでいえば、俺はただ速度をチップに変えて均等に賭けてツブすだけだよ……」「来い……来いよ！来い！」タキは震える！白球！ 31
2021-10-21 23:46:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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ギュルギュルと回転する盤！前のめりのタキ！加速する白球！サロウは腕組みし、指をトントンと動かし、半開きの目で見守る！やがて白球は……跳ねた。ゆっくりと、放物線を描き、落ちてゆく……14のマスへ。タキは口を開ける。絶望に歪む顔。サロウは待ち構える。物理的な静止。終わりの時だ。 32
2021-10-21 23:51:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ハイッ！」その時だった。14のマスがパカリとクチを開け、豆粒サイズのコトブキが垂直に飛び出した。コトブキは黒いチャイナドレスで装っていた。彼女は落ちてくる白球に、オーバーヘッドキックを繰り出した。「ハイヤーッ！」白球を弾き飛ばす！「え？」サロウの眉間に、螺旋を描き、飛ぶ！ 33
2021-10-21 23:53:11
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010011……コトブキの動きのフレームレートはぎこちなかった。シグルーンのUNIXに直結し、無理矢理にログインしてきたのだ。サロウは反射的に白球を掴み取って止めた。タキ！タキは跳んでいた。テーブルに手をつき、乗り越えながら、ドロップキックを繰り出した！「TAKE THIS！」「グワーッ！？」 34
2021-10-21 23:58:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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KRAAAASH！サロウはカジノホールの窓に衝突し、キリモミ回転しながら飛び出した。「クソが！反則を……」「ルーレットのボールを掴んだのはお前だぜ！」タキが割れ窓から身を乗り出し、ファックサインした。「球蹴った小人の事は小人本人に訊け！オレは知らねえな！」「グワーッ！」 35
2021-10-22 00:05:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「不法ログインクソ野郎にはKICKあるのみ、そういう事だぜ！」タキはダブルファックサインし、ある事ない事まくし立てた。サロウはコトダマ空間に螺旋を描き、すぐさま態勢を立て直す。「１ニューロン秒だけ寿命が伸びた、それだけだ、お前は！」七色遷移残像流星は憤怒・殺意を伴って旋回！ 36
2021-10-22 00:10:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「アイエエエッ！」タキは悲鳴をあげ、身を守った。サロウはタキを貫こうとする。その周囲にキラキラと輝くパーティクルが舞う。サロウは訝しんだ。カジノホールの中、小さなコトブキが、倒れたままのナンシーのもとに走っていくのが見えた。このパーティクルは彼女の動作と関係している……？ 37
2021-10-22 00:13:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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ナンシーが動けないのは当然だ。経由プロキシに干渉し、速度を殺してやった。だからコトブキの行動に意味があるとは思えない。思えないが。コトブキが両手で掲げている物体。鍵だった。それを、ナンシーの首の後ろに挿そうとしている。物理世界の監視カメラ映像がサロウの視界に重なる。 38
2021-10-22 00:16:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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UNIXバイクにLAN直結したコトブキは、爆破されたナンシー・リンの生首を抱き、ぎこちない動作で、生首の首後ろのソケットに、奇妙なデバイスを挿し込んでいた。コトダマ空間において、それと同期する出来事が起こった。小人のコトブキがナンシーの身体をよじ登り、首の鍵穴に……銀の鍵を！ 39
2021-10-22 00:18:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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サロウは突進した。七色遷移破壊流星と化し、ナンシーのカジノホールごと、全てを破壊する……「TAKE THIS！」「アイエエエエ！」タキが頭を抱えてしゃがみ込んだ。サロウは突っ込んだ。衝突のコンマ000001秒前、七色遷移の光は銀のパーティクルに覆われ、凍りついた。流星は衝突し、砕けた。 40
2021-10-22 00:20:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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01001……010001……000001001……「……」打ち寄せる波がサロウの横顔を洗う。サロウは銀の砂に手をつき、身を起こした。頭上では変わらず、黄金立方体が冷たく自転している。「……」サロウは顔についた砂を払い、手のひらを見つめた。サロウは呟く。「妙だ」「だろうな」声が投げかけられた。 41
2021-10-22 00:25:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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サロウは振り返った。打ち寄せる波。そこに男が立っていた。鈍色の装束を着たニンジャだった。男の肩の向こう、丘の上には奇妙なシュラインが見えた。男は咳払いをひとつ。サロウは眉根を寄せる。「あンた……何だ？妙な感じがする」「同感だね」男は言った。「俺はシルバーキーだ、お客人」42
2021-10-22 00:30:40