ロンドン・コーリング #4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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【ロンドン・コーリング】#4 pic.twitter.com/0NVm8gcOuo

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「ヌウウウウーッ！」シリーンホースは凄まじい勢いで踏み込み、軍刀を振りかざした。恐るべきケイムショのパラディンが率いる武装ズンビーは、一人、また一人と、脳天にスリケンを受け、破壊されていく。シリーンホースの繰り出す軍刀を受けたのは、歴戦の大業物、マストダイ・ブレイドであった！　1

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「今です！」ユカノはカタナ越しに敵を睨み、叫んだ。ユカノのマストダイ・ブレイドは刃の返しで軍刀を捉え、容易に離すことがなかった。闇の坑道の壁から壁へ、黒橙の火花が跳ねた。トライアングルリープを幾度も繰り返し、黒いニンジャは斜め上方より襲いかかった！「イイイイヤアーッ！」　2

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「グワーッ！？」栓抜きめいて、サツバツナイトは手でシリーンホースの馬彫像首と鎖骨の合わせ目を刳りながら回転した。丁寧に周囲のズンビーを倒し、ドラゴン・ニンジャと連携をとった上でのアンブッシュ攻撃であった。「グワーッ！？」360度に血飛沫が飛び散る！ヒサツ・ワザ！デス・チョーカー！　3

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馬彫像首は高速回転しながら千切れ、真上へ跳ね跳んで天井に突き刺さった。その瞬間、ドラゴン・ニンジャは刃の返しで軍刀を跳ね除け、下から上へ刃を刳り上げた。「アバーッ！」腐った内臓がこぼれ、シリーンホースのボディは呪われし心臓ともども真っ二つとなった！「サヨナラ！」爆発四散！　4

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「本当にやっちまうとはな！」スプリガンは口笛を吹いた。彼の右足には今や、抵当に入っていた自慢のサイバネ脚部が装着されていた。報酬前払いの一環で、フジキド達が支払ったのだ。「なるほど実際、大英博物館を目指すというのは酔狂でもなさそうだ」「今にしてわかったのですか」と、ユカノ。　5

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「そうだ。客を端から信じとったら、自分まで引き際を誤るわ」スプリガンはいかにも物騒な事を言った。「行けるところまでは送り届ける、ガイドの誇りにかけてな。後は知らん。なんにせよ俺は生きて帰る。そういう事だ」「それでよい」フジキドは頷いた。「我らも目的あっての旅。無謀ではない」　6

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「今の所はな」と、スプリガン。「パラディンを倒せるほどのカラテ自慢のニンジャを導いた事も過去にはある。今、そいつは仕事を変えて、ケイムショに仕えとる。要するに、新たな使い捨てのパラディンとなってな」「油断すべからず。そういう話ですね」ユカノが言った。スプリガンは鼻を鳴らした。　7

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「お前らがシリーンホースにバカ正直に向かっていった時は、雇い主死亡で短い商売で片がつくと思いかけた。だが撃破したとなると、逆に大いに近道が可能」スプリガンは小型端末を操作し、マップを確認した。「うむ、ここからならば、ほれ。そこを上がるぞ」指差した先には停止エスカレーターがある。 8

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残念ながら機械は生きていない。停止エスカレーターの長い長い階段を歩いて登るうち、上方からは湿った空気が流れてきた。スプリガンは問う。「それで？お前らは大英博物館に何を求める」「ゴダ・ニンジャです」「……フン。やはりそこらのダンジョン・アタッカーと違うな。その名を知ってるとは」　9

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フジキドとユカノは顔を見合わせる。彼らも逆に同じ気持ちだった。ネクロポリスに詳しいと豪語するガイドが、大英博物館のリアルニンジャを知らぬようでは、この先も危ぶまれる。「彼に用があります」ユカノは言った。歩きながらスプリガンは長煙管に火をつけた。「ゴダに用がある奴らは多いぜ」10

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「つまり……」「ケイムショの眷属どもは、ゴダの領域を侵犯しようと躍起だ」彼らは長いエスカレーター跡を登り終えた。本来天井があった筈の頭上は崩壊し、邪悪な色彩の空が彼らを見下ろしていた。瓦礫の崖を彼らはフリークライミングじみて登った。登った先……蔦の絡まる庭園が待ち構えていた。　11

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「市街地心臓部へようこそ……と言ってやるには、まずは、この庭園を抜けねばならん」スプリガンは二人を振り返って言った。開け放たれた門扉の奥、格子塀に絡みつく蔦はザワザワと誘うように蠢く。「それから遠くに見えるデカい光源……直視するな。見られるのもダメだ。悪名高きロンドン・アイだ」12

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「ロンドン・アイとは？」「その名通り、ロンドンの眼、ケイムショの眼よ。いいか、比喩じゃねえんだ。巨大な目玉、生きた目玉が、ネクロポリスの全てを見通し、呪いで繋ぎ止めるのさ……」「常識の通じる地ではない」フジキドは呟き、カラテを漲らせた。スプリガンは駆け出した。「ゆくぞ。走れ」　13

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ホッ、ホッと声をあげて、スプリガンは走るペースを早めた。フジキドとユカノはそれを追う。格子塀の薔薇蔦はあきらかに意思をもって、三人に棘まみれの蔦先を伸ばしてきた。「ここじゃ俺たち生肉が異物よ。ま、所詮は植物。どうという事はない。ただ、気をつけなきゃならんのは……」「アバーッ！」14

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応えるように、彼らの真横の蔦格子から、黒いコールタールめいた塊が飛び出した。一番近くにいたのはユカノ！黒い塊がのしかかるのを、咄嗟のスライディングで回避した！「うむ、それだ！」走りながらスプリガンが振り返った。「オオオンン……」黒い塊は人型に隆起し、三人を追う！　15

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「構うな！アレはこの薔薇園の主だが、本体ではないぞ！」「イヤーッ！」フジキドは振り向きざまにスリケンを投げ、スモトリじみた泥人形の頭部を破壊した。「アバーッ！」小径を走り抜けた三人は、中央に噴水のある広場に出た。たちまち、広場に繋がる三つの道のアーチ門を蔦が塞いだ！　16

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「閉じ込められた」ユカノは見渡した。スプリガンはやや考えた。「お前らのカラテで正しき道を塞ぐ茨を壊せ」スプリガンは言った。「この方角ならば、あのアーチ門を……」「アバーッ！」噴水の黒水が盛り上がり、泥人形が立ち上がる！各門からも一体ずつ、染み出す！ナムサン！計四体！　17

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フジキドとユカノはスプリガンをかばうようにカラテを構えた。泥人形の頭部が蠢き、中から異様な骨の仮面が浮かび上がってきた。そして一斉にアイサツした。「「「「ドーモ。アッシュクロフトです」」」」「……ドーモ。サツバツナイトです」「ドラゴン・ニンジャです」「スプリガンです」　18

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アイサツを返したものの、スプリガンは二人に忠告した。「いいか。いちいち関わるな。アッシュクロフトの本体は泥人形どもではない。壊しても壊しても、薔薇園に居る限りは際限なく戦う羽目になるのだ。あのアーチ門を強行突破し、先に進むが得策」「遠隔操作の類いだな」サツバツナイトは言った。　19

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「……何？」「この手のニンジャとは対戦経験がある」彼は腰を低く落とし、ジュー・ジツを構えた。「ユカノ。セイシンテキを高めるのだ」「言われずとも」ドラゴン・ニンジャは微笑み、深く息を吸った。スプリガンは訝しんだ。「俺が言った話は聞いていたか？」「アバーッ！」最も近い一体が動いた！20

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「イヤーッ！」サツバツナイトは突進してくる一体に立ちはだかり、体当たりをガードすると、その勢いを利用して肩で担ぎ、投げつけた！「イヤーッ！」「アバーッ！」逆方向の一体に叩きつける！KRAAASH！黒土を撒き散らし、二体は粗雑な粘土を押し付けたように不気味に潰れ、融合した！二倍サイズ！ 21

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「オオオオオン！」二倍アッシュクロフトの咆哮の凄まじさにスプリガンは顔をしかめた。サツバツナイトは既に次の動きに出ていた。もう一体のアッシュクロフトをめがけ、彼はフックロープを投擲した。「イヤーッ！」「アバーッ！」ロープはたちまち黒土の肉体をグルグル巻きにした！　22

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「イイイヤアアーッ！」サツバツナイトは凄まじい膂力で三体目アッシュクロフトをハンマー投げめいて振り回した。「アバーッ！」四体目に衝突！これで二倍が二体！「何を！」仰天するスプリガンが見守る中、ドラゴン・ニンジャはそこへ追い打ちをかける！瞬時に踏み込み、両手掌打！「キエーッ！」　23