どこかで見た気がするグループ寄与法漫才

オカンが忘れたグループ寄与法の名前、考えてあげてください。
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けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「いきなりですけどね」 『はいはいはい』 「うちのオカンがね、物性推算で好きなグループ寄与法があるらしいんやけど」 『あっ そーなんや』 「その名前をちょっと忘れたらしくてね」 『ほー、グループ寄与法の名前忘れてもうて、どうなってんやそれ』 「でまあ色々聞くんやけどな」 『おー』

2021-12-20 14:02:49
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「全然分からへんねんな」 『分からへんの?』 「おー」 『いや、ほな俺がね、おかんの好きなグループ寄与法ちょっと一緒に考えてあげるから、どんな特徴言うてたかってのを教えてみてよ』 「とある大学院生の修士論文が元ネタでな」 『ほーほーほーほー』

2021-12-20 14:03:03
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「で、臨界温度は標準沸点から間接的に算出する手法やって言うねんな」 『Joback法やないかい、その特徴はもう完全にJoback法やがな』 「Joback法なぁ」 『すぐ分かったやん こんなんもー』 「でもこれちょっと分からへんのやな」 『何が分からへんのよー』

2021-12-20 14:03:19
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「いや俺もJoback法と思うてんけどな」 『いやそうやろ?』 「オカンが言うには、高度にハロゲン化された化合物でも良好な精度で推算できるって言うねんな」 『ほなJoback法と違うかぁ、ハロゲンの扱いがええ訳ないもんね』 「そやねん」

2021-12-20 14:03:38
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『Joback法はね、ハイドロカーボン主体だったらまあまあ安心して使えるんよあれ』 「そやねんな」 『な?Joback法もね、HFC系の冷媒に適用されたら荷が重いよあれ」 「そやねんそやねん」 『Joback法ってそういうもんやから ほなJoback法ちゃうがなこれ』 「そやねん」

2021-12-20 14:03:52
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『ほなもう一度詳しく教えてくれる?』 「なんであんなに高分子量の化合物の臨界温度ズレるか分からんらしいねん」 『Joback法やないかい、分子量500以上は誤差無茶苦茶デカイんやからあれ』 「おー」 『でも俺はね、あれはモデルをシンプルにすることを重視したからやと睨んでんのよ』 「おー」

2021-12-20 14:04:11
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『俺の目は騙されへんよ 俺騙したら大したもんや』 「まあねー」 『ほんであれよー見たらね、臨界温度を求める式に、グループ毎の臨界温度の合計の2乗を引くって項が入ってんねん』 「おー」 『俺は何でもお見通しやねんから』 「せやなー」 『Joback法やそんなもんは』 「分からへんねんでも」

2021-12-20 14:04:22
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『何が分からへんのこれで』 「俺もJoback法と思うてんけどな」 『そうやろ』 「オカンが言うには」 『ほー』 「大きな部分構造を認識するためにsecond-order groupを導入してるって言うねん」

2021-12-20 14:04:41
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『ほなJoback法ちゃうやないかい、シンプルなはずのJoback法でsecond-order group出てきたら全部0個って入れたるもんね』 「はいはい、おー」 『Joback法はね、first-order groupしか考慮してないのにあんだけ合うのが白眉なんやで』 「そやねんそやねん」

2021-12-20 14:04:54
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『な?沢山官能基が詰まってるとだんだん誤差出てくるから、最後ちょっと迷って他の方法使ってしまうねんあれ』 「そやねんそやねん」 『そういうカラクリやからあれ』 「そやねんな」 『Joback法ちゃうがな』 「おー」 『ほな、もうちょっとなんか言ってなかった?』

2021-12-20 14:05:20
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「使える原子団なんやけど」 『ほー』 「チオカルボニルは使えないらしいねん」 『Joback法やないかい、チオカルボニルケイ素リンは時々使いたくなるのにカバーしてないんやから』 「おー」 『あとホウ素も使われへんよ』 「おー」 『Joback法よそんなもん』

2021-12-20 14:05:33
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「分からへねんだから」 『なんで分からへんのこれで』 「俺もJoback法と思うてんけどな」 『そうやろ』 「オカンが言うには、アミンやイミンへの執着が明らかにおかしいって言うねん」 『ほなJoback法ちゃうやないかい』 「おー」 『Joback法に色々な窒素の区別なんかでけへんのよ』

2021-12-20 14:05:45
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「せやねん」 『Joback法はね、絞り込んだ原子団のセットでなるべく何でも合わせたいという思想が入ってんねん』 「せやねんせやねん」 『あれは煩悩にまみれながら断腸の思いで要素絞り込んどんねんあれ』 「せやねんせやねん」

2021-12-20 14:06:07
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『Joback法ちゃうがなほな、ほなもうちょっとなんか言うてなかったか?』 「融点の計算すると結構合わないらしいで」 『Joback法やないかい、Lydersen法と違って融点一応計算できるけど全然合わんねん』 「ほー」 『融点知りたいならConstantinou-Gani法とかになんねん』 「ほー」 『Joback法や絶対』

2021-12-20 14:06:32
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「分からへんねんでも」 『なんで分からへんのこれで』 「俺もJoback法と思うてんけどな」 『そうやて』 「オカンが言うには、何も参考にしてないし、誰も改良しようとしない、孤高の推算法やって言うねん」 『ほなJoback法ちゃうやないかい、色々な人が改良を試みてえらいことになっとんねんあれ

2021-12-20 14:06:46
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「おー」 『な?そもそもJoback法のご先祖様はLydersen法やねん』 「そやねんそやねん」 『ほなJoback法ちゃうやないかい』 「おー」 『ほなもうちょっと何かゆうてなかった?』 「直鎖のイミンが出てきたら詰むこと多い言うてた」

2021-12-20 14:07:29
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『Joback法やないかい、Joback法のイミンはパラメーターごっそり欠落してんのよ』 「おー」 『な?やっぱ他の推算法にせいっていう悪魔の囁きが聞こえてくるの』 「そやねんそやねん」 『他は大体大丈夫なのにイミンのだけちゃらんぽらん、Joback法に決まりそんなん』 「でも分からへんねん」

2021-12-20 14:07:41
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『分からへんことない、おかんの好きなグループ寄与法はJoback法、もぉ』 「でもオカンが言うにはJoback法ではないって言うねん」 「ほなJoback法ちゃうやないかい、オカンがJoback法ではないと言うんやからJoback法ちゃうがな』 「そやねん」

2021-12-20 14:07:54
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

『先言えよ、俺がイミンへの恨みを吐露してる時どう思っててんお前」 「申し訳ないよだから」 『ホンマに分からへんがなこれ、どうなってんねんもう』

2021-12-20 14:08:23
けみかたん@(化学/化学工学/生物) @chemica_tan

「んでオトンが言うにはな」 『オトン?』 「Wilson-Jasperson法ちゃうか?って言うねん」 『いや絶対ちゃうやろ、もうええわー』 「ありがとうございましたー」 -fin.-

2021-12-20 14:08:37