隠れキリシタンと潜伏キリシタンの歴史

幣束 @goshuinchou

クリスマスイブなので当垢的にキリスト教に纏わるものを 長崎市外海地区の大野集落は、江戸〜明治初期を通じて禁教とされたキリスト教を奉じた潜伏キリシタンが住んだ土地であり、彼等は信仰する神や聖人を集落内の神社の祭祀に密かに重ねて拝した。 大野神社 辻神社 門神社 として今も鎮座する。 pic.twitter.com/0Z9HEPAUlr

拡大

拡大

拡大

幣束 @goshuinchou

大野集落の南西、国道を下った所に鎮座する「門神社」 多くの神が合祀されており、石の祠内部には十字の紋様の入った御神体があるという。潜伏キリシタン達はこの神社の祭神を当地で活動した宣教師の名に重ねて「さんじゅわん」と呼び密かに祈っていたという。 pic.twitter.com/4azsXaSRwn

拡大

拡大

幣束 @goshuinchou

また、祀られる神々の中には島原の乱を逃れてきた本田敏光というキリシタン(恐らく武士)が居るという。小さな境内には合祀であろう金守神社と書かれた祠、そして「サツマノ人」と書かれた祠がある。薩摩の人、もしかしたらその人もキリシタンか…が祀られているのであろう。 pic.twitter.com/pJJ2hpPv1S

拡大

拡大

幣束 @goshuinchou

大野集落北東の少し山の中に鎮座する「辻神社」 山の神を祀るとのことだが、鳥居には八幡大菩薩とある。この時点でうひょーである。当社も潜伏キリシタンが自らの信奉する対象を重ねていたということであるから、日本の神、それと習合した仏教的な八幡大菩薩、そしてキリシタン信仰が重なり合っている pic.twitter.com/WnGPEKkz5L

拡大

幣束 @goshuinchou

社殿には石の祠が二つ、左にお地蔵さん。○に三の紋は大三島の三島大明神、即ち山神の大山祇神を祀るからであろうが、祠の装飾は金と赤文字で日月に十字的な紋が入っている。他にも九州の祠ではこういう装飾はあるので、これがキリシタン信仰に纏わるものかはわからぬが他地域では見ない独特さはある。 pic.twitter.com/UF43M8TZsH

拡大

幣束 @goshuinchou

国道脇、大野集落の氏神である「大野神社」 御祭神はウカノミタマであるが以前は修験の羽黒大権現であった。当社を中心として村の庄屋が神主となって他の2つの神社の祭祀が行われたが、その庄屋もキリシタンであったようで、神社に異教の祭祀が重複する体制が村ぐるみで行われていたようである。 pic.twitter.com/bO9HhafKkJ

拡大

拡大

拡大

幣束 @goshuinchou

禁教令が正式に撤廃されるのは明治6年。大野集落に宣教師が改めて派遣されて村民30戸が公にキリスト教信仰に復帰するのは明治11年のこと。大野神社の羽黒大権現がウカノミタマに変わったのは恐らく幕末〜明治初期であろう。表面の神仏分離から更に信教自由へ。我が国の近代の信仰の証人のような場所だ pic.twitter.com/OUHV8LqizG

拡大

幣束 @goshuinchou

そして後年、村民達は自らの信仰の拠り所となる大野教会堂を建てて晴れて神社とは別の祈りの場を手に入れる。その教会は現在国の重要文化財に指定され、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する。今は過疎化などによって普段は使用しないが年に一度礼拝が行われるそうだ。 pic.twitter.com/avoMlkSXZx

拡大

拡大

幣束 @goshuinchou

近年、キリスト教の宣教を西洋の侵略と「のみ」見るような言説があるが近視眼であると思う。中世日本に爆発的にキリシタン信仰が広まったのは既成宗教の堕落や戦乱や世情の不安、宣教師の魅力等多角的に見ねばならない。外海大野集落はそういった我が国の信仰の折り重なる歴史を考えることができる場所 pic.twitter.com/jsNxj23Pd2

拡大

幣束 @goshuinchou

隠れキリシタン=禁教令中に密かに行われたキリシタン信仰が変容し今もその信仰が続くモノ 潜伏キリシタン=禁教令解除後にカトリック等の正式なキリスト教信仰に戻ったモノ そういったニュアンスの違いがあるようである。どちらも大切な我が国の歴史。今後もそういった信仰の場を訪ねていきたい。終。 pic.twitter.com/Nq8QIn5uaw

拡大