茂木健一郎さん連続ツイート 『「まばたきする瞬間にせかいが変わっている」』

茂木健一郎(@kenichiromogi)さん連続ツイート
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茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(1)「アハ体験」とは、脳が瞬間的にあることに気づく現象である。ニュートンがリンゴが落ちるのを見て、万有引力を発見したり、アルキメデスがお風呂で「アルキメデスの原理」を見いだしたりするなど、まばたきする瞬間に世界が変わっている、そんな現象である。

2011-09-02 07:06:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(2)「アハ体験」の特徴は、そのコントロールができないということである。ひらめきがいつ訪れるかわからない。たくさんの人をりんご畑に連れていっても、万有引力の法則を発見するとは限らない。ひらめきの瞬間は、本人にとっても突然の、青天の霹靂として訪れる。

2011-09-02 07:08:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(3)「アハ体験」は、また、一回性を本質としており、二度と繰り返さない。その瞬間の後では、脳の回路網が不可逆的に変わっている。シナプス結合のパターンが変わるという意味で一つの「学習」であり、「一発学習」(one-shot learning)とも呼ばれる。

2011-09-02 07:09:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(4)ヴァレラたちの研究により、「アハ体験」の瞬間に、脳の神経細胞が広範囲にわたって0.1秒程度の短い間いっせいに同期して活動することがわかっている。この「脳のまばたき」の間に、何かが発見され、その結果がシナプス結合のパターンとして定着されるのである。

2011-09-02 07:10:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(5)「アハ体験」を研究しようとすると、いつ訪れるかわからないひらめきの瞬間を、ある程度制御可能なものにしなければならない。そのために、aha sentenceやhidden figureなど、さまざまな手法が開発されてきた。

2011-09-02 07:11:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(6)「アハ・センテンス」は、ある文章が単独では意味をなさないが、「ヒント」を出した瞬間に意味が了解される刺激である。たとえば、「太陽が出て来たので、家は小さくなった」という文章は、単独ではその意味がとらえにくい。いろいろ解釈しても、どうもしっくり来ない。

2011-09-02 07:12:21
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(7)そこに、「イグルー」(イヌイットたちのつくる、氷雪でできた家)というヒントを出した瞬間に、文章の意味が一気に明らかになる。このようにして、「ひらめき」の瞬間を、ある程度コントロールできるものにすることで、初めて「アハ体験」を研究の対象とすることができる。

2011-09-02 07:13:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(8)創造性の生理学としての「アハ体験」は、いつ訪れるかわからないもので、意識的にそこに自己を向かわせることはできない。ただ、一つの問題についてふだんから徹底して考えているという「準備」が、その実現に必要なこともまた事実である。緊張の後の弛緩が、ひらめきの種。

2011-09-02 07:16:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

ませ(9)日本テレビで「アハ体験」を紹介するようになったのは偶然の出来事で、いろいろ説明している中で、スタッフの方が「それ面白いですね!」とピックアップ。おかげで、街を歩いていて小学生に会うと、「アハのおじさん」と言われる。「アホのおじさん」にちょっと似ている。

2011-09-02 07:17:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「まばたきする瞬間にせかいが変わっている」ことについての連続ツイートでした。

2011-09-02 07:18:03